新たな旅立ち
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そうして、数日間滞在した村を出立する。
これまでは、身体の中にリッチのフィラクトリー (魂の器) があったクレアが、その気配を感じて目的地を定めていたが、これからはそれを封じ込めた脇差を持つ少年が、その目的地を定める。
但し、それは少年がその気配を感じているというよりも、脇差が少年に教えてくれているといった方が正しい。
それは言葉で教えてくれているというわけではないが、少年はそれを感じるのだ。
「よし。それじゃ、行こうか。まずはあっちの方角へ」
そう、少年が乗った馬を先頭にして、クレアが乗った馬を護るように、ビクトルとヒューゴが乗った二頭の馬が後に続く。
クレアは、前を行く少年の背中を見て、これまでとは違う不思議な安心感を感じていた。
クレアは、馬を少し前に走らせて、十兵衛の乗った馬の隣に並べる。
「ねぇ、十兵衛。あなたはリッチのフィラクトリー (魂の器) を持っていて、怖くないの?」
そうクレアは聞いた。
「えっ? どうして怖いの?」
少年はそう聞き返す。
「だって、フィラクトリー (魂の器) があなたに何かしてくるかもしれないでしょ」
そうクレアは言った。
「あぁ。そういうことか。でも、大丈夫だよ。刀が絶対に護ってくれるさ」
そう少年は、何事もないように言った。
「確かに、それはわかるわ。見てて思うもの」
そうクレアは言う。
「それにリッチのフィラクトリー (魂の器) の一つを脇差に封じ込めたあとに、刀がオレにいろいろと教えてくれているように感じるんだ」
そう少年は言う。
「その教えてくれているっていうのは、どんな?」
そうクレアは聞く。
「どんなって。そんな何かを語り掛けてきてるわけじゃないけど、この刀や火縄銃の本当の使い方を教えてくれている気がする」
そう少年は、何か確信でもあるかのように言った。
「ふ~ん。その何かを感じるっていうのは、あなたにしかわからない独特の感覚なのかもね」
そうクレアは言った。
「まぁ、そこは本来の所有者であるオレにしかわからないことなのかも」
そう少年は、少し冗談交じりに笑って言う。
「そうね。それしかないわね」
そうクレアも、笑って答えた。
「それでクレアの方はどうだい?」
そう少年は聞く。
その少年が聞いたのは、クレアの魔法の感覚のことである。
「そうね。あのあと、ずっとわたしの魔法ことについて考えてみたわ。何をどう魔法に集中すればいいのか」
「それで何かわかった?」
クレアが言ったことに対して、少年は聞く。
「それはまだわからないけど、あなたと同じように、魔法のチカラを感じることが大事だと思うの」
そうクレアは言った。
「なるほどね。それなら、常に感じられるようにしておいた方がいいよ」
そう少年は答えた。




