新しい戦い方
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そこから少年の示す、リッチのフィラクトリー (魂の器) のある方角は、クレアのときよりも正確さが格段に増していた。
何故そういえるのかといえば、目の前に現れる敵との接触回数である。
それはこれまでよりも、三倍以上にも達していた。
リッチのフィラクトリー (魂の器) の気配が強まれば強まるほど、敵の強さが増す。
アークウィザードが言っていた、あの「アークスケルトンにどこまでの能力を与えればいいのか」と言っていたことでも、その辻褄が合う。
それにより戦いはこれまでよりも困難を極めたが、少年は戦いの仕方を変えていた。
これまでは剣道のように刀の刀身と剣を合わせる、いわゆる「チャンバラ剣道」だったが、そうではない刀の刀身と剣を合わせない、本当の日本刀での剣術に変えたのである。
リッチのフィラクトリー (魂の器) を持っていた、死の歌姫バンシーのエクセラと戦ったとき、それまでのスケルトンウォリアーとの戦いでは剣ごと刀で斬れていたものが、エクセラの持つ魔剣は、刀では斬ることができなかった。
そのときは刀が折れないことを一か八かで確認して、現在の刀の刀身と剣を合わせない戦い方ではない、チャンバラ戦術で勝つことができた。
それ以降は、その戦い方を続けてきたのだが、現在は従来のその戦い方をやめて、本来のサムライの剣術に変えている。
もちろん、そうしたのにも理由がある。
現在は最初の頃とは違い、刀を振うときは、まるでその重さを感じないぐらいに、まるで羽根のように感じられるが、アークスケルトンと戦う際には、その相手の剣の重さが強く、少し力負けするときがある。
そのことで、激しく体力を削られるのだ。
それなので現在の戦術に変えたわけだが、この刀の刀身と剣を合わせない戦い方というのは、本来は日本刀同士の戦い方であるために、相手の剣と刀を合わせないというやり方は難しい。
それなので少年は、相手のアークスケルトンの正面に立つのではなく、身体を相手の左手側にズラシて刀を構えることにしたのだ。
それに併せてもう一つが、踏み込みの速さである。
その速さで相手の剣を躱して、刀を打ち込み斬り裂くのだ。
このことにより、新しくわかったこともある。
それは少年の着ている着物や袴が、アークスケルトンの剣を通さない、斬られることが無いということである。
そのことはこれまで誰も気づかなかったが、少年の着ている着物と袴が激しい戦いのあとでも、まったく痛んでいなかったことは不思議でもあった。
ここに来て、このことに初めて気づいたときには、クレアは少年に対してこう言ってお互いに笑った。
「呆れたわね。今まで全然気がつかなかったの」
「そうだよ。まさか着ている服が、鎧代わりなってるなんて思わないだろ」
「そうね。そんなのは誰も気づかないわね」
「だろー」
そうビクトルとヒューゴも一緒に、四人全員で笑い合った、そんなつかぬ間の一時があった。




