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サムライの格好で異世界に来たんだが  作者: 志村けんじ


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新しい戦い方

♢


 そこから少年の示す、リッチのフィラクトリー (魂の器) のある方角は、クレアのときよりも正確さが格段に増していた。


 何故そういえるのかといえば、目の前に現れる敵との接触回数である。


 それはこれまでよりも、三倍以上にも達していた。


 リッチのフィラクトリー (魂の器) の気配が強まれば強まるほど、敵の強さが増す。


 アークウィザードが言っていた、あの「アークスケルトンにどこまでの能力を与えればいいのか」と言っていたことでも、その辻褄《つじつま》が合う。


 それにより戦いはこれまでよりも困難を極めたが、少年は戦いの仕方を変えていた。


 これまでは剣道のように刀《カタナ》の刀身と剣を合わせる、いわゆる「チャンバラ剣道」だったが、そうではない刀《カタナ》の刀身と剣を合わせない、本当の日本刀での剣術に変えたのである。


 リッチのフィラクトリー (魂の器) を持っていた、死の歌姫バンシーのエクセラと戦ったとき、それまでのスケルトンウォリアーとの戦いでは剣ごと刀《カタナ》で斬れていたものが、エクセラの持つ魔剣は、刀《カタナ》では斬ることができなかった。


 そのときは刀《カタナ》が折れないことを一か八かで確認して、現在《いま》の刀《カタナ》の刀身と剣を合わせない戦い方ではない、チャンバラ戦術で勝つことができた。


 それ以降は、その戦い方を続けてきたのだが、現在《いま》は従来のその戦い方をやめて、本来のサムライの剣術に変えている。


 もちろん、そうしたのにも理由がある。


 現在《いま》は最初の頃とは違い、刀《カタナ》を振うときは、まるでその重さを感じないぐらいに、まるで羽根のように感じられるが、アークスケルトンと戦う際には、その相手の剣の重さが強く、少し力負けするときがある。


 そのことで、激しく体力を削られるのだ。


 それなので現在《いま》の戦術に変えたわけだが、この刀《カタナ》の刀身と剣を合わせない戦い方というのは、本来は日本刀同士の戦い方であるために、相手の剣と刀《カタナ》を合わせないというやり方は難しい。


 それなので少年は、相手のアークスケルトンの正面に立つのではなく、身体を相手の左手側にズラシて刀《カタナ》を構えることにしたのだ。


 それに併せてもう一つが、踏み込みの速さである。


 その速さで相手の剣を躱《かわ》して、刀《カタナ》を打ち込み斬り裂くのだ。


 このことにより、新しくわかったこともある。


 それは少年の着ている着物や袴《はかま》が、アークスケルトンの剣を通さない、斬られることが無いということである。


 そのことはこれまで誰も気づかなかったが、少年の着ている着物と袴《はかま》が激しい戦いのあとでも、まったく痛んでいなかったことは不思議でもあった。


 ここに来て、このことに初めて気づいたときには、クレアは少年に対してこう言ってお互いに笑った。


「呆れたわね。今まで全然気がつかなかったの」


「そうだよ。まさか着ている服が、鎧《よろい》代わりなってるなんて思わないだろ」


「そうね。そんなのは誰も気づかないわね」


「だろー」


 そうビクトルとヒューゴも一緒に、四人全員で笑い合った、そんなつかぬ間の一時《ひととき》があった。


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