クレアの目覚め
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それからクレアはベッドの上で、三日三晩の間、ただ眠っていた。
熱があるとか、夢にうなされているというような姿もなかった。
本当に「眠り姫の」ように眠っていた。
クレアの傍らには、ビクトルとヒューゴのどちらかが、交替でついていた。
少年がクレアの様子を見ていると、ヒューゴが寝ているクレアの穏やかな顔を見つめている。
「どうだい。クレアの様子は」
そう少年は聞いた。
「十兵衛殿。見ての通り、ずっとクレア様は眠ったままです。それでも、こんな穏やかな顔で眠られているのは、いつぶりでしょうか」
そうヒューゴが言った。
ここまでクレアは、特にリッチのフィラクトリー (魂の器) を身体の中に入れられてからは、ずっと絶えることのない緊張の中で生きてきた。
少年と会ってからは、少しその緊張も和らいだところもあったが、それでも自分の身体の中にリッチのフィラクトリー (魂の器) があることで、その緊張が解けることはなかったのだろう。
「クレア様は、いつお目覚めになるのでしょうか。このまま……」
ヒューゴは、口にしてはいけないことを口にしようとして、そこでやめた。
「それじゃあ、もうそろそろ起そうか」
そう少年は言った。
少年は眠っているクレアのところに行き、クレアの耳元で囁く。
「クレア。起きて」
そう言ってみるが、クレアは起きない。
「クレア。起きて」
少年はさっきよりも大きい声で言ったが、それでも起きない。
「しょうがない。クレア! 起きろ!」
少年はクレアの耳元で、大声で言った。
「はい!」
クレアは驚いて、そう返事をして跳び上がるように起きる。
「今日のお目覚めはどうだい、クレア」
そう少年は聞いた。
「十兵衛。おはよう。なんだかスッキリして、まるで生まれ変わった気分だわ」
そうクレアは言った。
「それなら良かった」
少年は、そう返す。
「十兵衛。わたしの身体の中にあった、リッチのフィラクトリー (魂の器) はどうなったの?」
そうクレアは聞く。
「あぁ。それはこの脇差の鞘の中に封じ込めたさ」
そう少年は言う。
「そんなことができるの!?」
クレアは聞く。
「まぁ、そこはなんかできたから、取りあえずは大丈夫だよ」
そう少年は答える。
「なんだか、随分といい加減な答えね」
そうクレアは言う。
「ところでクレア。今もリッチのフィラクトリー (魂の器) の気配を感じることはできるかい」
そう少年は聞いた。
「わからないわ……。やってみるわね」
そうクレアは集中する。
「全然わからない。何も感じないわ」
そうクレアは言った。
「良かった。これでクレアの身体から、リッチの影響は消えたってことだね」
そう少年は言った。
「でも、それだとリッチのフィラクトリー (魂の器) を追うことができなくなったわ」
そうクレアは言う。
「大丈夫。これからは、この脇差が教えてくれるさ」
そう少年は言った。




