一つの可能性
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少年の疑問は、やはりクレアの身体の中に、リッチのフィラクトリー (魂の器) があるということである。
それが果たして、どんな影響を与えているかだ。
またクレアは、刀を抜くことはできても、それを武器として使うことができないことがわかった。
それなら、少年が片手で柄の端を持ち、クレアがクレアが握ったら、刀は振れるのだろうか。
それならば、取りあえずやってみようと、少年は思った。
翌日。そのことをクレアに話してみる。
「どういうこと?」
クレアは、怪訝そうな顔をする。
「いいから。取りあえず、やってみようよ」
そう少年は、気軽に言う。
「いいけど、大丈夫なの」
クレアは、昨日のこともあるので、それを心配する。
「クレア様。気をつけてください」
同じように、それを心配して、ビクトルが言った。
「それじゃあ、クレア。オレが端を持っているから、クレアは刀を抜いてみて」
少年はそう言って、クレアの左側に立ち、右手で柄の端を摘まむ。
「これだとなんだか、あなたの腕が邪魔で抜きにくいわ」
そうクレアは言った。
「それなら、一度クレアだけで抜いてみて」
そう少年は言った。
「わかったわ」
クレアは、少し緊張した顔をして、刀を鞘から抜く。
ここまでは、何の問題もない。
「それで、どうすればいいの」
そうクレアは聞いた。
「それじゃあ、一旦、刀を、振り上げてみてくれないか」
そう少年は言った。
「わかったわ」
クレアは鞘の方を少年に渡すと、一度息を呑み込んで、両手でゆっくりと刀を振り上げる。
そして少年が、柄の端を右手で摘まむのだが、やはり不自然な態勢になってしまう。
「十兵衛。やっぱりこれだと、やりにくいわ」
そうクレアは言った。
「そうか……。それならクレア、ちょっとそのままの態勢でいてくれないか」
そう言って少年は、柄から手を離すと、そのままクレアの背中にまわった。
「どうするの?」
そうクレアが聞く。
そうすると少年は、クレアの背中に右手を添えて、そこから手のひらを当てた。
「大丈夫なのですか、十兵衛殿」
そうヒューゴか、心配して言う。
「それじゃあ、クレア。そのまま刀を振り下ろしてみて」
そう少年は言った。
「わかったわ」
クレアは、もう一度、息を呑み込む。
「行くわ」
そうして、刀を振り下ろす。
昨日とは違い、問題なく振れた。
「全然、普通に振れたわ!?」
クレアは驚く。
それを見ていた、ビクトルとヒューゴも、驚いた顔をしている。
「それじゃあ、クレア。もう少し、刀を振ってみてくれないかい」
そう少年は言う。
「わかったわ」
クレアは、そのまま上下左右に刀を振ってみるが、問題ない。
「それじゃあ、クレア。今からオレがクレアの背中に当てている右手を離すから、もし刀に重さ感じたらすぐに手を放して」
そう少年は言った。
「わかった……」
クレアは、息を吞む。
「いいかい。離すよ」
少年は、クレアの背中から、当てていた手のひらを離した。
その瞬間。突然、刀は、持てない重さになって、クレアの両腕を下に引っ張り落とす。
クレアは少年に言われた通りに、すぐさま手を離した。
「どういうことなの!? 十兵衛がわたしの背中から手を離したら、突然、刀が前みたいに重くなったわ!?」
そうクレアは言った。
これで少年がまず思ったのは、少年が刀に直接触れていなくとも、クレアは刀を振ることができるということである。




