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サムライの格好で異世界に来たんだが  作者: 志村けんじ


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刀の反応

♢


 少年が風呂から出ると、次にクレアが入れ替わりで風呂に入る。


「十兵衛、随分と長かったのね」

 そうクレアは言った。


「ごめん。ちょっと考えごとしてたから」

 そう少年は答えた。


「そう。それならあとで、それがなんなのかを聞くわね」

 そうクレアは言って、風呂の中に入っていく。


 その風呂のドアの前には、ビクトルとヒューゴが、静かに門番として立った。


 クレアが風呂から出ると、続けてビクトルとヒューゴが交代で風呂に入る。


「十兵衛。そのお風呂の中で考えてたことってなんなの?」

 そうクレアは聞いた。


「あぁ。それはこの刀《カタナ》のことだよ」

 そう少年は言った。


「この刀《カタナ》が、どうかしたの? さっきもこの刀《カタナ》を、わたしがが抜いたことに、少し驚いていたようだけど」

 そうクレアは言った。


「あぁ。この刀《カタナ》はね。元々、オレ以外には抜けない刀《カタナ》だったんだ。だから、ビクトルもヒューゴにも抜けなかっただろ」

 そう少年は言った。


「そうね。でも、わたしには抜くことができたわ」

 そうクレアは言った。


「そうなんだ。だから驚いたんだよ。クレアさ、刀《カタナ》を抜いたときに、何かを感じなかったかい」

 そう少年は聞いた。


「いえ。特に何も感じなかったわ」

 そうクレアは答えた。


「クレア。悪いんだけど、もう一度、刀《カタナ》を抜いてみてくれないかい」

 そう少年は、お願いする。


「いいわ。刀《カタナ》をわたしに」

 そう言ってクレアは、少年から刀《カタナ》を受け取る。


 クレアは、今度も何事もなく刀《カタナ》を抜いてみせる。


「抜いたわ。特に何も感じないわ」

 そうクレアは言った。


「そう。それなら、その抜いた刀《カタナ》を、ちょっと振ってみてくれないか」

 そう少年は、クレアに言った。


「いいわ。それじゃ、振ってみるわね」

 そう言って、クレアが刀《カタナ》を振り上げて振ろうとした瞬間。クレアの刀《カタナ》の柄《つか》を握った両腕は、突然手には持てない重さを感じて、そのまま柄《つか》を握ったまま、床に刀を落として柄《つか》を放す。


「大丈夫ですか、クレア様!?」

 それを見ていたヒューゴが、慌ててクレアに駆け寄る。


「ええ。大丈夫よ。心配してくれてありがとう。でも、どうしたのかしら。急に刀が、手に持てない重さになったわ」

 そうクレアは言った。


「それなら、その刀《カタナ》を、ヒューゴが拾い上げてみてくれないか」

 そう少年は言った。


 ヒューゴは、少年に言われた通り、刀《カタナ》の柄《つか》を握って、その床に落ちた刀《カタナ》を持ち上げようとするが、いくら両手で持って、その太い両腕で持ち上げようとするが、刀《カタナ》は物凄い重さでびくともしない。


 そんな重さを二人が感じているのにもかかわらず、床板は抜け落ちることもない。


 少年は、その床に落ちた刀《カタナ》を、何事もなくあっさりと拾い上げると、刀《カタナ》の刀身を鞘《さや》に収めた。


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