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サムライの格好で異世界に来たんだが  作者: 志村けんじ


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46/56

新たなる事実

♢


 このあとクレアたち四人は、数日この村に滞在することにした。


 それはこのアークウィザードに襲われたこの村の安全を確認するためでもあり、これまでの溜《た》まった疲れを、少し癒《いや》したいというのもあった。


「湯を沸かしましたので、風呂に入られてはいかがですか」

 そう村人が言ってくれた。


「そうね。ありがとう。十兵衛、先にどうぞ」

 そうクレアは言った。


「いや。そういうのは普通クレアからでは。クレアが先に入ってよ」

 そう少年は言う。


「ダメよ。あなたはこれからも、わたしたちの要《かなめ》になるんだから、あなたから入って」

 そう言われる。


「それじゃあ、遠慮なく。クレア、悪いんだけど、刀《カタナ》を見ててくれないか」

 そう言って少年は、腰帯から大刀《だいとう》と脇差《わきざし》を抜いて、クレアに手渡す。


「わかったわ。しっかりと見てるわね」


 少年の持つ刀《カタナ》二本と火縄銃が、少年以外に使えないことは、最初のときからもうわかっている。


 しかし、少年以外には使えなくとも、盗《と》られる可能性はゼロではない。


 それなので、少年はそう頼んだのだ。


「それじゃ、先にお風呂もらうね」

 そう少年は言った。


「ごゆっくり」

 そうクレアは言う。


 そして、そのまま少年が風呂に入りに行こうとしたとき、大刀《だいとう》の鞘《さや》を持ち、たまたま柄《つか》を握ったクレアが、刀《カタナ》を鞘《さや》から少し抜いた。


「えっ!?」

 それを見て、少年は驚いた。


 刀《カタナ》は確かに、少年以外には抜けないはずである。


 それが、クレアには抜けた。これは一体どういうことなのだろうか。


「ごめんなさい。十兵衛」

 そうクレアは謝る。


 そういえば、クレアが少年の刀を持ったのは初めてのことだし、少年は自分以外に刀が抜けないことも、この三人に話したことはない。


 それなのでクレアは、単に少年の刀《カタナ》を抜いてしまったことに対して謝ったのだろう。


「いや……。それはいいんだけど。あのさ、クレア。もう一度、刀《カタナ》を抜いてみてくれないか」

 そう少年は言った。


「えぇ、いいけど。それがどうかしたの?」

 そう、クレアは聞く。


「取りあえず、もう一度やって見せてくれないか」

 そう少年は、真剣な表情《かお》で言った。


「わかったわ」

 そう言ってクレアは、刀《カタナ》を全部抜いてみせる。


 これでクレアにも、少年の刀《カタナ》が抜けることがわかった。


「それじゃ、クレア。刀《カタナ》を鞘《さや》に戻して、今度はビクトルとヒューゴも同じことをして見せてくれないか」

 そう少年は言った。


 まず、ビクトルが鞘《さや》から刀《カタナ》を抜こうとするが、幾《いく》ら力いっぱい刀《カタナ》を抜こうとしても、まったく抜けない。


 それは次にやってみたヒューゴも同じだった。

 

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