蜃気楼
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少年は村を取り囲むこの丸太の壁が、現実ではなく偽物かもしれないと思った。
それは門からこの村の中に入ったときの、あの全体を取り囲むような違和感にあった。
それなので、クレアたちの後ろの丸太の壁を、試しに刀で斬ってみることにした。
もしこの丸太の壁が本物だったら、刀はただ跳ね返されるし、これがもし魔力によるものだったら斬れるはずである。
ただその前に、クレアたちの前にいるスケルトンウォリアーを二、三体倒しておかなければならない。
「うおぁーーーっ!」
少年は珍しくそう雄叫びを上げて、スケルトンウォリアーたちの注意をこちらに向けると、その間を縫うように駆け抜けて、三体を斬り倒していく。
そうして、クレアたちの頭上を跳び越えると、そのまま刀を右から左へと振り下ろして、丸太の壁を斬り裂く。
次の瞬間。その丸太の壁の空間が歪み、村の外の景色が現れる。
「みんな! 後ろに!」
そう少年が叫び、クレアたちが後ろに退く。
残り四体のスケルトンウォリアーは、少年を取り囲む陣形を取ると、火炎の球と火炎の息で一斉攻撃してくる。
少年は、その火炎の球を刀で斬り裂き、火炎の息を刀に巻きつけると、そのまま残りの四体を一瞬のうちに斬撃する。
前回戦ったときは斬れなかった、あの強いスケルトンウォリアーたちの剣ごと斬り裂いた。
少年は、刀を振って、その巻きついた火炎を掃った。
そうして四人の前には、村人たちだけが残る。
しかし、その村人たちは脅えたままである。
「まさか空間幻惑を破り、またしてもアークスケルトンをああも容易く倒してしまうとはな」
そう、アムルが言った。
「彼は人間なの? それともマヒムのような悪魔?」
クレアは、そう思った。
「さて、どちらでしょう」
そう、ふざけた口調でアムルは言う。
アムルの後ろにいる村人たちは、ずっと脅えてたままだ。
今すぐ確かめる方法は、一つしかない。
少年は間髪入れずに、アムルに刀を打ち込んだ。
少年の刀は、「魔」だけを斬る刀である。怪我はするかもしれ二位が人間は斬れない。そういう刀である。
しかし、アムルの胴に打ち込んだ刀は、そのままただ素通りする。
そのアムルの身体はというと、まるで蜃気楼のように揺れている。
「なるほど……。確かに「魔」を斬る剣というのは、本当のようだ。この男の身体も、ガキどもも返してやる」
そう声がすると、目の前にアムルがうつ伏せで倒れていた。
遠くから子どもたちの声が聞こえる……。
その声は次第に大きくなり、子どもたちが村人たちの前に現れた。




