アークウィザードの存在
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クレアたちを騙そうとしたアムルは、アークウィザードという魔法使いの精神干渉を受けて操られていた。
その操られていたアムルの話によると、アークウィザードは、齢300年の生者と死者の中間に位置する魔法使いであり、デスナイトと並ぶリッチの副官だということだ。
そのアークウィザードは、アムルを操る際に、こう言っていたという。
「あの小僧の刀とやらのチカラを調べるための、実験台となってもらう。ワシのアークスケルトンにどこまでの能力を与えればよいのかの実験よ」
これが本当であれば、今回のこの村人たちの子どもを人質に取っての襲撃は、単なる実験だったということなのか。
ビクトルとヒューゴが馬たちに水を飲ませていたときも、あからさまに数体のスケルトンウォリアーが襲ってきたという。
つまり、すべてアークウィザードの計画だったのだ。
ただ、それでも少年には腑に落ちないこともあった。
何故、アークウィザードはそんなわざわざ回りくどくやり方をしたのだろうか。
そんな実験などせずとも、村人全員を人質に取って、襲撃してきた方がどうとでもなったはずである。
それに刀のチカラなど、とっくの前に知られているはずだ。
「わかんね……。
そう少年は呟く。
「十兵衛。何がわからないっていうの」
そうクレアが聞く。
「いや……。いろいろとわかんないことだらけでさ」
そう少年は答える。
「それだと、何がわからないのかが、わからないわ」
そうクレアが言う。
「それはそうなんだけど……。これまでの相手と違って、正面からじゃなく騙し打ちで、執拗に脇から攻撃されてるようでさ」
そう少年は答える。
「そうね……。それにあの強いアークスケルトンも、倒すのがこれまで以上に難しくなるわね」
そうクレアは、この先の戦いがもっと厳しくなることを心配する。
「我々も、クレア様をお護りするために、十兵衛さまに頼ってばかりもいられませぬ」
そうビクトルが言った。
「そうです。十兵衛殿には、これからフィラクトリーをすべて破壊して、最後にリッチを倒してもらわねばなりません」
そうヒューゴが言った。
もはや、少年のチカラなしにでは、リッチたちを倒せないことは明白だった。
それは少年も理解していた。
この異世界で、人間は魔法を使うことができない。
魔法を使う者に、対抗できるのは、魔法の刀を持つ少年しかいなかった。




