罠
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家から出てきた村人たちも特におかしなところはないが、気配というか何かがおかしい。
あのアムルという男は「クレア姫を丁寧にもてなすように」とは言っていたが、どうもそんな雰囲気でもない。
それに村人の何人かが、こちらをチラチラと見てくるのも気になる。
それが何かに脅えているようにも見える。
それと、この村には居てもおかしくはない。いや。居るはずの小さい子どもの姿が見えないし、その声も聞こえてこない。
「クレア……。村の中に入れてはもらったが、どうやら早々にここを出た方がよさそうだ」
そう少年は小声で、クレアに言う。
「十兵衛。この村に何かあると思っているの」
そうクレアが聞く。
「わからない。ただ何となく違和感があるんだ」
これは少年の単なる勘なので、そう答えるしかない。
「そうね……。確かに、普通ではないかもしれない」
そうクレアも答える。
「ビクトルとヒューゴが、馬たちに水を飲ませて戻ってきたら、すぐにここを出ましょう」
そうクレアは言った。
そこへ、先ほどのアムルがやってきて、
「どうぞ、クレア姫様。これからご案内する家の中でお休みください」
そう言った。
「そうね。でも、あの二人が戻ってからにするわ」
クレアは、そう答える。
「あのお二人は、あとからお連れ致しますので、ささ、どうぞ家の中へ」
アムルは、またクレアと少年を家の中に誘う。
そこへ、馬に跨ったビクトルとヒューゴが、もう二頭の馬を引っ張って、全速力で駆けてくる。
「クレア姫さまぁーー!」
「ここは危険です!」
二人は、そう叫ぶ。
やはり少年の勘が当たり、何かがあったようである。
クレアと少年は、その走ってきた馬の手綱を取ると、馬に跨り、まだ開いたままの門を目指す。
しかし、あと一歩のところで、門は締められてしまった。
そうして、各々の家の中に隠れていた、剣や斧の武器を手にしたスケルトンウォリアー、弓矢の武器を手にしたスケルトンアーチャー、槍や弓矢の武器を手にしたフライングスケルトンがざっと見るかぎり、五十体は出てくる。
その中には、あの少年の刀を受け止めた、あのスケルトンウォリアーもいる可能性もある。
ここから逃げようにも、少年の刀では、この門を斬ることはできない。
それに馬よりも速いスピードで飛ぶことができるフライングスケルトンから逃げ切ることはできないだろう。
それに家の中にいた村人たちは、本当の人間のようだ。
村人たちは、みんな助けを求めて泣き叫んでいる。
このまま自分たちだけ逃げるわけにもいかない。
この村人たちをスケルトンウォリアーたちから護りながら、どう倒すのかが先決だ。




