禁忌の村
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翌朝を四人は、何事もなく無事に迎えられた。
昼食を簡単に済ませて、再びクレアがリッチのフィラクトリーの気配を感じる方に向かう。
三十キロメートルほど馬を歩かせると、集落の周囲一帯を太い丸太の高い壁で囲った村が見える。
「姫、あの村で少し休ませてもらいましょう」
そうビクトルが言った。
この村までくる間に、敵の気配などは一切なかった。
村の入口の門の前に立ち、ヒューゴが声を掛ける。
「すまぬが誰か! 旅をしている者だが、この門を開けていただけないか!」
そう叫んでお願いする。
「すまぬが誰か! 誰か居りませんか!」
そうヒューゴが何度叫んでも、一向に返事がない。
それどころか、中からは何の音もしなければ、人の気配も何も感じられない。
さすがにこれを不審に思い、ビクトルが剣の柄に手を掛けたとき、目の前の門が少し開く。
その開いた隙間から、大きな目をした蒼白い顔の男が出てくる。
「何か御用か?」
そう男は言った。
「すまぬが、この中で少し休ませてはくれぬか」
そうヒューゴがお願いする。
男はまるで値踏みするように四人を、足先から頭まで舐めるように眺める。
「いいだろう。お前とそこの娘だけは入って休んでもいい。おかしな格好をした小僧と、もう一人はダメだ」
そう言った。
「なっ!? どうして二人はダメなんだ!?」
そうヒューゴが聞く。
「二人はタダで入れてやってもいいが、あとの二人も入りたいのであれば、金を払え」
そう男は言った。
「いいわ! いくら払えばいいの」
そうクレアが聞く。
「姫!? しかしそれでは!?」
ヒューゴが思わずクレアのこと、ここで「姫」と言ってしまう。
ここまでクレアが、この国の「姫」であることは、少年が用心棒として滞在していた村を出て以降は、他の者には隠したままでいた。
それは国の民たちに余計な気を使わせないためと同時に、命を狙われる危険を極力避ける為でもある。
「姫……。これはこれは、クレア様でしたか。大変失礼をいたしました。どうぞ皆さま、お入りください」
そう言って男は、馬が入れるぐらいに門を開けて、クレアたち四人を村の中に迎え入れる。
外からは人の気配はしなかったが、四人が中に入ると、各々の家の中から人が出てくる。
「みんな! この国の姫のクレア様だ! 丁重にもてなしてくれ!」
そう男は、家の中から出てきた村人たちに言った。
「では、あらためまして、私の名前はアムルにございます」
そう男は名乗る。
「よろしく、アムル。馬たちに水を飲ませてやりたいのだけれど」
そうクレアが言う。
「わかりました。では、馬はこちらへ」
そう言って、アムルが馬の水飲み場の方へ案内する。
「では、馬たちは我々が」
そうビクトルが言って、ヒューゴと二人で四頭の馬を引いていく。
少年はこの村の中を、あらためてゆっくりと見渡した。




