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サムライの格好で異世界に来たんだが  作者: 志村けんじ


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悪魔の最後の言葉


 突然のマヒムの変化に、全員が動揺する。


 みんな剣を抜き、構えて警戒する。


 マヒムは、完全に悪魔に姿を変えて、両腕を拘束していたロープを引きちぎった。


「くだらぬ、くだらぬ! 人間など、くだらぬ存在よ!」

 生えた翼を広げて宙に浮く悪魔マヒムの手に、槍が現れる。


 次の瞬間。悪魔マヒムは、宙を飛び、その槍の先をクレアに向けた。


 ビクトルとヒューゴは、鋼鉄の盾を構えてクレアの前に立つ。


 二人とも、剣だけではクレア姫を護れないと、とっさにに判断した。


 その判断に間違いはなかった。


 すんでの所で、その槍を防ぐ。


 三人と少し離れたところにいて出遅れてしまった少年は、大刀だいとうではなく脇差を抜き、悪魔マヒムを捕まえた。


「ぐけっ……」

 悪魔マヒムは、必死に藻掻もがいて暴れる。


「ヒューゴさん! ビクトルさん! 今です!」

 少年はそう言った。


「おぉ!」

 二人は剣を、悪魔マヒムに突き立てる。


 二人のつるぎは、悪魔マヒムの体を同時に貫いた。


「グオォーーッ! こんな雑魚二人にやられてたまるものか!」

 悪魔マヒムは、そう叫ぶ。


「ビクトルもヒューゴも、雑魚なんかじゃないわ! 立派な衛士よ!」

 クレアも、二人のことを鼓舞する。


 クレアも、自身の(つるぎ)を、悪魔マヒムに突き立て貫いた。


「ぐぬぉ! おのれクレア姫よ! いずれリッチ様のモノになる分際でが!」

 悪魔マヒムはそう言った。


「どういうことよ!? わたしがリッチのモノになるって、どういうこと!?」

 クレアが聞く。


「リッチ様が、お前のような小娘を、簡単に始末できないとでも思っていたのか!」

 悪魔マヒムは、そう言った。


「でも、わたしはずっと命を狙われていたわ!」


「馬鹿め。単に生かされていただけよ!」

 悪魔マヒムは、そう断言する。


「いずれわかる……」

 悪魔マヒムはそう言って、黒い灰となった。


「わからない……。どういうことなの……」

 悪魔マヒムが最後に残した言葉に、クレアは例えようのない不安に襲われた。


「姫」「姫」

 ビクトルとヒューゴの屈強な二人の衛士も、これからのクレア姫の身を案じる。


「クレア……」

 少年も、そんなクレアの身を心配して声を掛けた。


「十兵衛。わたしのことを護って。そして、リッチを倒して」

 そう言ってクレアは、少年の胸に飛び込んだ。


 そんなクレアを、少年はただ抱き締めるしかなかった。


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