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サムライの格好で異世界に来たんだが  作者: 志村けんじ


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悪魔への変化


「頼む。助けてくれ! 欲しいものがあったら、何でもやる! リッチ様に頼めば」

 マヒムはそう言って、懇願する。


「呆れた……。ここまで来て、まだリッチなの」

 クレアは、本当に呆れる。


「じゃあ、何をもらいましょうか」

 少年は、マヒムにそう言う。


「ちょっと、十兵衛!?」

 クレアは、この予想もしていない少年の言葉に驚いたが、少年は冷静に左手で慌てるクレアを制止する。


「何が欲しい! 欲しいものを言ってみろ!」

 一転強気になったマヒムが、少年に上から目線で聞いてくる。


「そうだなぁーー。何がイイかなぁーー」

 そう言って少年は、悩むしぐさを見せると。


「なら。リッチのフィラクトリーが欲しいです! それをください!」

 そう答える。


「馬……馬鹿!? ふざけんな! そんなの無理に決まってるだろうがよ!」

 マヒムは、慌ててそう言った。


「どーしてですか? もしかして、フィラクトリーの場所を知ってたりします?」

 そう聞く。


「クソガキが! 知るわけないだろうが、オレのような下っ端が」

 マヒムは、そう毒を吐く。


「メイスはオレと戦ったときに、貰っていた情報に間違いはなかったと言っていました。その「魔を斬るヤイバ」はあなどれないとも言っていました。そのことを教えたのは、あなたですよね」

 そう聞いた。


「そうだ! それがオレの与えられた役目だからな」

 マヒムは、そう改めて白状する。


「十兵衛殿。この男をどうするおつもりですか?」

 ヒューゴが聞く。


「私は、この男が許せません。姫のせっかくの優しさを利用するなどとは」

 そのヒューゴの言葉には、マヒムに対する怒りが満ちていた。


「私もです!」

 ビクトルもヒューゴに強く同意する。


「どうするの? 十兵衛」

 クレアも聞いた。


「じゃあ、おとりにしますか。餌になればですけど」

 少年はそう言った。


 マヒムの両腕を縛り、ロープで大きな木の枝に吊るす。


「ふざけんな! 降ろせ!」

 マヒムが激しく暴れる。


 ビクトルもヒューゴも190cmはある屈強な大男だったので、それ自体は容易なことだった。


「それでどうするの、十兵衛」

 クレアが聞く。


「取りあえず、待ちましょう。あの男が大事な仲間だったら、助けにくるかもしれないし」

そう少年は、落ち着いた声で言った。


 そうしてマヒムから少し離れたところで、その助けが来るのかを待ってみる。


 しかし、しばらく待っても一向にその気配はない。


 もう無駄だと、諦めたそのとき。マヒムの体に変化が表れる。


 マヒムの体は、黒く変わっていき、頭には二本の角が生え、背中にはコウモリのような翼が生える。


 その姿は、まさに悪魔そのものだ。


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