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サムライの格好で異世界に来たんだが  作者: 志村けんじ


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裏切り者の嘘


「ぐっ……ぐぬぬ」

 気がついて、目を覚ましたマヒムは、自分が気に縛りつけられいることに気づいた。


 両手両足も拘束されて、自由には動くことはできない。


「悪いけど、手足の自由は奪わせてもらったわ」

 クレアは、そう言った。


「いつから、リッチの仲間なの?」

 単刀直入に、そう聞いた。


「わからない。気がついたらだ」

 マヒムは、そう答える。


「わからない? リッチに、あやつられていたというの?」

 クレアは聞いた。


「さあな。とにかく、気がついたらだ」

 マヒムは、吐き捨てるようにそう言う。


「どういうことなの?」

 クレアは、完全には理解できずに、首をかしげる。


「姫さんさぁー。もー少し、人を疑うことも、必要だと思うよー」

 少年は、そう言う。


「どういうことよ、十兵衛」

 クレアがそう聞き返す。


「第一に。リッチにあやつられていた人間の態度には見えない」


「第二に。この人は、噓をついている」

 少年は、続けて、そう言った。


「どうして、そんなことがわかるの?」

 クレアは、それが疑問だった。


「姫だって、さっきまでは、しっかりと疑ってたじゃないですか。やっぱりって」

 少年は、さっきまでのクレアのことを指摘する。


「それは……。そう思うのが、自然だから」

 クレアの一番の根拠がそれだった。これまでのマヒムの行動を見る限り、疑うほかない。


 しかし、「わからない」と言われてしまうと、操られていたということも、否定できない。


「そうですよねぇー。そう思うのが、自然です」

 少年も、そう言う。


「じゃあ、なんで噓をついているとわかるの」

 クレアは聞く。


「いいかい。クレア。目は口程に物を言うという言葉が、オレが元いた国にはある。この人は、オレがずっとこの人の目を見ているのに、一度もオレと目を合わそうとしない」

 少年は、そう言った。


「そんなことでわかるの?」

 クレアは、そう聞く。


「じゃあ、試してみようか」

 そう言って、少年はカタナを抜いた。


 そして少年は無言のまま、マヒムに向かって、カタナを構える。


「や……やめろ!? 斬るな!?」

 マヒムは慌てて、藻掻もがきだす。


 少年は、マヒムに向かって、カタナを振り下ろす。


「ヒッ!?」

 マヒムは、完全に斬られると思って、強く目をつぶる。


 しかし、刀身がマヒムの脳天に当たる寸前に、少年はカタナを止める。


「どうして、このカタナが、魔物しか斬れないと知っているくせに、斬られると思ったんですか」

 少年は、マヒムにその事実を突き付ける。


 少年がこの異世界に来たときから、この旅に出るまで生活していた、同じ村の住人であるマヒムは、少年のカタナが、魔物しか斬れないことを知っている。


 当然、それ以外のものには、傷もつけられないことも知っていた。


 少年のカタナが、人を斬ることはできないが、強い打撃を与えることができるとわかったのは、マヒムと別行動をしていたときに、山賊に襲われたときに初めて知ったことだ。


「リッチの仲間であるあなたは、自分も斬られてしまうと思いましたか?」

 少年は、そう言った。


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