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サムライの格好で異世界に来たんだが  作者: 志村けんじ


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少年の新たな決意


 そこで、そのまま一夜を過ごし、朝を迎えた。


 クレアが目を覚まして、湖のほとりに行くと、少年がカタナさやを左手で握って、右手をつかえて、抜刀の構えをしている。


 その少し張り詰めた空気の中で、一瞬のうちにカタナを抜いた。


 少年は、これから現れるであろう、もっと強い敵を倒すために、自分ももっと強くならねばと考えていた。


 最初にこの異世界に来たときは、わけがわからなかったこの世界も、いまはなんとなくだが理解できる。


 この少年に与えられた三つの武器のチカラもわかってきた。


 ただ。大刀だいとうの最初に感じた、「魔物を感じるチカラ」は、少し弱くなったように感じる。


 それは、どうしてなのか。


 あの「魔を感じるチカラ」があれば、もっと正確に早く、これからの強敵を倒せるのではないかと思った。


 元居た世界では、よく「人馬一体」という言葉が使われていたが、同じように、カタナとも、「人馬一体」ならぬ、「人刀一体」にならなければいけないのかもしれない。


 そのためにはどうしたら良いのかを見つけなければならない。そう思った。


 少年が、カタナさやに収めて、後ろを振り向くと、クレアが立っている。


「おはよう。クレア。良く眠れたみたいだね」

 そう、声を掛ける。


「おはよう。十兵衛。きのうはありがとう。全部の思い出したわ」

 そう返す。


「なら。良かった。安心したよ」

 そう、お互いに声を掛け合った。


 これから、またリッチのフィラクトリーを見つけ出して破壊するための旅をしなくてはならない。


 その前の、少し穏やかな朝だった。


 朝食を済ませ、出発の身支度を整えて、途中の山のふもとの村で待っているマヒムを迎えに行く。


 迎えに行くといっても、またあの獣道のような馬車道を通って、戻らねばならないので容易ではない。


 また2・3日掛かることは、目に見えていた。


「それにしても十兵衛。ずいぶんと馬に乗るのが上手くなったわね。最初のときとは、大違いよ」

 クレアがそう言った。


「そりゃ、どーも。まだ、人馬一体と言えるほどではないですけどね」

 それに少年が、冗談で返す。


「でも、ホントに上手くなったわ。今度、後ろに乗せてもらおうかしら」


「……」

 そのホントとも冗談とも取れるクレアの言葉に、少年は固まった。


「もぉーー!? ジョーダンはやめてくれよ、クレアぁー!」

 少年は照れ隠しで、そう返した。


「ええ。もちろん、冗談よ。後ろに乗るなら、まだもう少し、上手くなってからね」

 そう、クレアは言った。


 但し、このクレアの言葉が、本当に冗談だったかどうかは定かではない。


 それは、この二人の会話を聞いていて、どこか焦った様子だった、ビクトルとヒューゴの様子を見れば明らかだった。


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