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サムライの格好で異世界に来たんだが  作者: 志村けんじ


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死の歌姫の呪い


「ぎゃぁーーーー!」

 エクセラは、断末魔の悲鳴をあげる。


 その甲高い音の悲鳴が、耳をつんざく。


「ぐぬぅぉーーーっ! おのれぇー、若僧がぁーー! このままでは終わらぬ! 最後に、呪い殺してくれる!」

 下半身は、もう実体を維持できずに黒い霧となり、上半身だけの姿となったエクセラが、大蛇のように大きく口を開け、その恐ろしい牙をき出しにして、少年の首元に嚙みつこうとする。


 瞬間。少年のカタナは、エクセラを真っ二つにして、エクセラは黒い霧となって消える。


 そこには、もうエクセラの気配を感じさせるものはなかった。


 それでも、少年の首元には、その最後にの悪あがきというべき牙の痕が、しっかりと赤い血の点で残されている。


 だが、これで終わりではない。


 そのエクセラが消えたあとの、黒い霧の中から、リッチのフィラクトリー (魂の器) の「黒く妖しい光を放っている黒い球」が、浮かぶように現れて落ちる。


 その地面に落ちた「フィラクトリーの球」は、、ゆっくりと宙に浮き上がったかと思うと、まるで夜の暗がりの中にある、一つの明かり目掛けて、グルグルと回り続ける虫のように飛ぶ。


 それでも、そこにエクセラという「うつわ」がないとわかったのか、その「黒い玉」は、ピタリと動きを止めた。


 次の瞬間。「黒い球」は、この場から逃げようと加速する。


 少年は、その「黒い球」を真っ二つにして落した。


「ぐぬぅぉーーーう! よもやエクセラが倒され、我がフィラクトリーも、こうも容易たやく破壊されようとは!」

 真っ二つにされた「リッチのフィラクトリーである黒い球」の中から、リッチの無念の叫びがこだまする。


「だが、これで終わると思うな! 次は貴様らの首、すべてねてくれる!」

 そう言い残して、すべて消えた。


 辺りをおおっていた深い霧はすべて晴れ、光が望む。


「十兵衛……」


 エクセラもリッチのフィラクトリーも、すべて少年が倒し、破壊してくれたことに安心して、クレアが少年に近づいたとき、「死の歌姫・エクセラの最後の呪いの叫び」が、少年の頭の中で叫び渡る。


「なんだよ、これ!? ……」

 少年は、頭を両手で抑えて倒れ込んだ。


「大丈夫、十兵衛!?」

 クレアが少年に駆け寄る。


 クレアは、少年の首元に、エクセラの牙の痕があることを見つけると、迷わずそこに口を持っていき、その傷口から汚れた血を吸いだした。


 そうすると、少年の頭の中で鳴り響いていた、「エクセラの呪いの叫び」が次第に小さくなっていくのがわかる。


 それでも、先ほどまでの激しい戦いの代償なのか、少年は気を失った。


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