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サムライの格好で異世界に来たんだが  作者: 志村けんじ


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一閃


「これでもう、あなた一人です。まだ他にもいますか。正々堂々と勝負しましょう」

 少年は、そうエクセラに提案する。


「フフ。よかろう。ならば剣で勝負いたそう」

 エクセラは、そう答えて姿を現す。


「そう来なくっちゃ」

 少年は、エクセラが実体を現すことを待っていた。


 霧のままでは、気配を感じることも、ましてや斬ることなどできない。


 エクセラが、魔力でどのようにあの魔剣を出し入れしているかはわからないが、それでもカタナと剣が激しくぶつかり合ったときには、その物体としての重さや衝撃は感じるし、剣が空気を切り裂く音も聞こえる。


 それに、エクセラの気配のようなものも感じるのだ。


 あのカタナが、エクセラの胴に入って、何か硬いものに当たったときに、エクセラは明らかに、苦悶の表情を浮かべていた。


 そこに勝機はあるはずだと、少年は思った。


 カタナは、激しくエクセラの魔剣とぶつかり合っても、折れるようなことはないことはわかった。


 それならば、エクセラを後退させるぐらいに、カタナを打ち込むまでだ。


 エクセラの魔剣は、間合いがわからぬよう、魔力で伸びたり広がったりはするが、それは無限ではないはずだ。


 もしそうであれば、最初からそのような斬撃をしてきたはずである。


「では、正々堂々と参ります」

 少年はそう言った。


「フフ。来るがよい、若僧」


 そのエクセラの返しの言葉を合図に、少年は一気にカタナを打ち込んでいく。


 ただ、エクセラは、今度は魔剣の力がなくとも、鋭い剣技だけで完璧に応戦してくる。


「どうじゃ。我の剣技も捨てたものではなかろう」

 そう余裕を見せる。


「イイんじゃないですか。倒しがいがある!」

 そう返す。


「フフ。また減らず口を」


「こうやって、少しでも余裕を見せておかないと、負けそうなんでね」

 少年は、そう冗談とも本気とも取れる言い方をする。


 それでも、少年はずっと探っていた。エクセラの「魂」のような気配をだ。


 エクセラにカタナを打ち込むたび、エクセラが応戦してくるたびに、その「魂」の気配を強く感じる。


 ただこのままでは、その「魂」を斬ることはできない。


 激しい打ち合いから一転して、少し距離を取ると、少年はカタナさやに収める。


「どうした、若僧? 死ぬ覚悟でもできたか」


 少年は身を屈め、前傾姿勢を取ると、左手でさやを握り、右手で(つか)をあらためて持ち直す。


 深く息を吸い込んで集中する。


「では、覚悟いたせい」

 エクセラは、その身を屈めて低い姿勢の少年目掛けて、鋭い突きを放つ!


 少年は、その鋭い突きを右に避けてかわすと、一閃いっせん。居合切りで、エクセラの胴に隠されていた怪しく紫色に光る「魂の玉」を真っ二つにする。


 真っ二つにされた、その「魂の玉」からは、その怪しく紫色に光る液体のようなものが溢れてこぼれた。


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