表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サムライの格好で異世界に来たんだが  作者: 志村けんじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/20

慈悲の心


「どうじゃ。もう打つ手なかろう」

 少年の背後を取ったエクセラは、余裕の笑みを浮かべる。


 エクセラの言う通り、確かにこのままでは、打つ手はなしだ。


 だがしかし、少年はたった一人で戦っているわけではない。


「コンッ」

 背後から、エクセラの鎧に小石が当たる。


 エクセラは思わず、その後ろを向いた。


 エクセラに向かって小石を投げたのは、クレアだ。


 少年は、その一瞬のエクセラの隙を見逃さない。


 少年は身をかがめて、エクセラの胴に向かって、カタナを打ち込んだ。


 ほとんど何の抵抗もなく、スッと入ったヤイバは、鎧の胴に半分斬り込んだところで、何か硬いものに当たって止まる。


「グヌッ……。この若僧めが……」

 エクセラは、再び黒い霧となり、姿を消した。


「もうたわむれは、やめることにしよう。この死の村の恐怖、味合わせてくれる!」


「出てくるがよい! ゾンビどもよ!」

 エクセラがそう言い放つと、一行を取り囲むように、地面から不気味なうめき声が、あちらこちらから聞こえる。


「うぅーーう……」


「あがぁーーっ……」


「ほぉーーっ……」


 そうして、土の中から這い出てきた数十体のゾンビが、あっという間に一行のまわりを取り囲む。


「一人じゃかなわないから、数でモノをいわせるっていうわけですか!」

 少年は、臆することなく、エクセラにそう返す。


 そのあとすぐに。


「クレア! さっき、エクセラの体の中で、刀が当たったのは?」

 そう聞いた。


「わからないわ!? なんのこと!? 何も見えなかったし、何も感じなかった!」

 クレアは、少年の質問にそう答える。


「わかった!」


 その間にも、ゾンビたちは、不気味なうめき声を上げながら近づいてくる。


 クレアたち三人も、剣を抜いて構える。


「グガァーー!」

 そのゾンビのうちの、三体が同時にクレアたちに襲い掛かる。


 三人は、各々《おのおの》にゾンビを斬りつけるが、それでもそのゾンビ三体は襲ってくる。


 三人がそうやって応戦している間に、他に近づいてくるゾンビの数は増す。


 少年は、自分にも襲い掛かってくるゾンビたちを、斬撃で斬り倒していく間に、あることに気づいた。


 このゾンビたちは、首をねない限りは、再び襲ってくる。


「可哀想かもしれないけど、首をねて! そうしないと、また襲ってくる!」

 なので、そうクレアたちに教えた。


「わかったわ!」


 このゾンビたちも、元は土の中で安らかに眠っていたはずの人間だ。


 それを無理矢理に、エクセラによってゾンビとしてよみがえらせられたのだ。


 だから、ゾンビたちに対しても慈悲の心があった。


「ごめんなさい」


「スマン」


「すまぬ」


 そう言いながら、三人はゾンビたちの首をねていく。


 しかし、クレアたちの持っている西洋剣は、元来斬るというよりも叩きつける剣。


 少年の持つ、切れ味鋭い、魔法を込められているカタナとは違う。


 だから少年は意を決めて、次々とゾンビたちの首をねていった。


 最後に残っていたゾンビの首をね。もう立ち上がってくるゾンビはいない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ