表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サムライの格好で異世界に来たんだが  作者: 志村けんじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/44

魔物以外


 死の王リッチの3つに分けられたうちの一つの、「魂の器フィラクトリー」を追って、クレア姫一行は山のふもとまでやって来た。


 マヒムにとっては幸いなことに、村があったので、マヒム一人だけ村の宿に滞在して、クレアたちの帰りを待つこととなった。


「では、いってらっしゃいませ。皆様お気を付けて」

 マヒムは、もっともらしいことを言って一行を見送る。


 このマヒムについては、旅に出て一週間を過ぎたあたりから、少し不信感があった。


 自ら一行の旅にお供したいと言ってきたわりには、旅の進行を足止めするようなことがよくあったからだ。


 但し、明確な裏切りの証拠があるかと言えば、それはない。


 それなので、一旦マヒムを切り離してみたというのが、クレアの判断だ。


 山と山の間の獣道けものみちのような馬車道を、馬で進んでいき、ようやく一つ目の山を抜けようとしたとき、一行を取り囲むように、山賊が現れる。


「へへへへっ。見たところ、貴族様のようだが、痛い目にあいたくなければ、金目のものを置いていきな」

 この山賊たちの首領が、そう言って脅してくる。


「そこの若くてきれいなオンナも、もちろん置いていきな」

 そのうちのもう一人が言った。


 取り囲んでいる山賊の数は、全部で12人。みんなそれぞれに、手に剣や斧などの武器を手にしている。


「ふざけないで! あなたたちのようなものに渡すものなど一つもないわ!」

 クレアは、勇敢に山賊たちの要求を断る。


「へへへへ。そういう気の強いオンナは好きだぜ」

 欲望の眼差まなざしで、山賊は返した。


「ところで、その変な格好をした若僧はなんだ? ずいぶんと細いのを腰のベルトに差しているようだが。それが剣か?」

 別の一人が、少年のカタナを見て言った。


 この突然の状況に、少年は驚くほど冷静だった。


 この山賊たち全員を相手にしても、剣術で負ける気はしない。


 ただ、この魔物以外は斬れないカタナで、山賊たちを斬れるのだろうか。


 もしできたとしても、実際に人を斬るなどということが、自分にできるのだろうかという不安もあった。


 それでも、クレア姫を護るために、少年は馬を降りる。


 ビクトルとヒューゴも、馬を降りて、クレア姫の乗った馬の前後に立ち、剣を抜く。


「姫様は、もしものときはお逃げください」

 ビクトルが言った。


「この国を救うためには、どうしてもクレア様のお力が必要なのです」

 ヒューゴが言った。


 少年は、左手をさやに掛け、右手をつかえる。


 カタナがが、「カタッ」と反応する。


 山賊の一人が、少年に向かって剣を振り下ろしてくるのに合わせて、抜刀する。


 少年はカタナに導かれるように、ヤイバをその山賊の腹に打ち込んだ。


 斬ることはできなかったが、飛ばされるように、その山賊が後ろに倒れる。


 後ろから別の山賊が少年に斬りかかるが、またカタナに導かれるように、少年はその山賊をあっさりと倒した。


 魔物以外は斬れないと思っていたカタナは、確かに魔物以外は斬れない。それでも向かってくる相手を倒せるということはわかった。


 次々と、少年に向かって山賊たちは、剣や斧で斬りかかってくるが、少年の思った通り、勝てない敵ではなかった。


 山賊の首領を含めて、残り3人。


 少年は、ヤイバの先を、その3人に向ける。


 倒された9人は、気絶しただけで生きているようだが、すぐに起き上がってくる気配もない。


「へへへへ。みんな、命拾いしたな。逃げるぞ!」

 そう言って、その残った3人は、森の中に姿を消した。


 この山賊の首領が最後に言った、「みんな、命拾いしたな」は、果たしてどちらに向かって言ったことなのだろうか。


 このあと、この山賊たちが、一行の前に再び現れることはなかった。


 倒された山賊たち9人は、やはり気絶しているだけで死んではいなかった。


 それに少年は、ほっと胸を撫でおろす。


 ただこれで、カタナの別の能力チカラもわかった。


「ありがとう。十兵衛。助かったわ」

 クレアは、少年をハグした。


 少年は、その初めての経験に、照れくささを感じた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ