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午後九時
私は嫌いが嫌いだ。
普段通りの静けさを
取り戻しつつある午後九時。
この時間になって空間に溶け込む。
私は孤独を肌で感じるんだ。
君の感覚が抜けていく
寂しさを孤独で塗りつぶす。
これはきっと私のせいだ。
嫌いを積み重ねた事への罰だ。
天邪鬼に生きてきた私が背負うべき贖罪だ。
こんな私の事を君に早く伝えていたら
君は私を邪魔に思うんだろうか。
どれだけ君を思っても
君はそこにもここにもいない。
今も心は一人と一人のまま。
全てを嫌った私は
あの日の嫌いから目を背けたい。
どれだけ月日が経っても
私の嫌いからは背けられない。
時間は、月日は、季節は、
無口にその歩みを進める。
今日は君が眠ってから何度目かの夏祭りだ。
私は君からの手紙を読み返し
君への手紙を書き殴る。
今年の夏はいつかの夏を思い出し
私の存在と君の存在を否定する。
今日はあの日の私の命日だ。
この作品で3部完結です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。感想もお待ちしております。