あれ?
「え、喫茶店?白波が?」
「白波ルームを使うと言うことか……」
「出来ないことは無いだろうけどさ……。喫茶店って……似合わねー!」
宙を見つめながら言ったアオは、きっと作務衣姿の白波を頭に思い浮かべているのだろう。
「私も似合わないと思ったわ」
そう言って苦笑いするのは緑花だ。
「でも…うれ、しい……」
「ねー!あたしもーいいなーって思ったー!」
白波が喫茶店をしてくれたら嬉しいと歓迎しているのは黄魚と紅。
座敷童たちは河原に集まって座談会――というか、紅が聞きこんできた白波の喫茶店についての話しを聞いていた。
「白波、紅にアレ却下されちまって、あのあとどうしようかって……ずっと考え込んでるよ」
「えー……」
宝にそう言われて、顔を顰める紅。
「でもーあの場所にー、ひーらひらのーレースはー似合わないもーん!」
「そうね」
宝に抗議する紅の横で緑花が頷く。
「白波の喫茶店をしたいって気持ちは尊重したいし、あれば嬉しいって思うけど……」
純和風な白波ルームを、レースのカーテンで飾り付けるようなことは許せないという緑花。
「躙口まである『和』の場所なのよ?そんなところにレースのカーテンは無いわ!」
言い切る緑花の横で紅がうんうんと大きく頷く。
紅的に、図らずも目にしてしまった件のレースのカーテンを掛けられた白波ルームは、もの凄く違和感のあるものだったのだ……。
「まぁ、喫茶店って言ってしまうと、そっちのイメージになるのはしかたないさ。だからさ、茶屋って言えばどうかな?」
クロが言う。
「茶屋?」
「ほら、峠の茶屋とか、団子茶屋とか呼ばれて、人の世でたまに話題になってるヤツ……」
「あー、なんか軒先で緋毛氈とか掛けた台で、お茶とか飲んでるやつか!」
「そう、それ!」
テレビ好きのアオがクロの意図したものを言い当てる。
「ほう…なるほど、ああいうものか……。なかなか良いのではないか?」
「そうね、あんな感じなら良いと思うわ」
少し遅れて銀河と緑花がイメージを掴み、良いだろうと頷く。
「黄な粉ー団子がーぴーったりー!」
「…団子って…決まって、ない」
「美味いけどな」
紅たちに至っては、お店のイメージを通り越して、すでに展開されている状況へ思いは飛んでしまっている……。
「けど白波ルームって、軒先あるのか?オレ行ったことないけど、外に出れないとか言ってなかったっけ?」
「それ、俺も聞いたな……。外に出てしまうと守護が効かないとかなんとか……」
「ワシもそれは聞いた。戸を開け外に一歩出た途端、護りが無くなる感覚がすると言うておった」
だから長い時間外に居ることが出来ない。
時が普通の速度で進んでしまう――。
「うん、白波が自動で護られるのは、スズメの力の及ぶ界のみだよ。スズメの界にいないと普通に年とっちゃうんだってさ」
クロ、アオ、銀河の疑問に宝が答える。
「ダメじゃん!」
白波が護られなくなるなんて、許されるわけがない――。
「ルーム、の…中で、すれ…ばいい…」
「そう言うことよね」
「そっかー!」
女子三人が頷き合う。
「中でって……。土間にあんなデカイ台置くのか?」
土間に大きなものを置くのは見た目が良くないし、邪魔だとクロは指摘する。
「違うわ、囲炉裏部屋よ」
「は?囲炉裏の横にあんなデカイ台置くっての?」
テレビで目にした緋毛氈の掛けられた大きな台――そんなものを囲炉裏の部屋に置くなんて……。
「そんなわけないでしょ!」
眉を逆立て緑花は怒る。
「台、置かなくて、いい……」
緑花の言いたいことを理解しているらしい黄魚がそう言って笑う。
「囲炉裏の…周りに、お客…さ、ん用の、おざぶ…置けばいい」
「そっかー!別にー外でーお茶飲まなくたってーいーいよねー」
うんうんと紅が笑う。
「どういうことだ?茶屋すんだろ?」
クロが首を傾げるが、その肩を銀河がポンと叩く。
「外に台を出し、そこで持て成すだけが茶屋ではないと言うことだ」
「白波が外出れないから、囲炉裏部屋でお客を持て成せば良いって緑花たちは言ってんだ」
銀河とアオの言葉に緑花は頷く。
「和風喫茶ってやつよ」
自慢気に言う緑花だが……。
「だったらさ……」
クロは少しむっとした顔で言う。
「今とどう違うって言うんだ?」
「あら?」
「ん?」
「そー言われたらー?」
「…だ、ね」
「あはは……」
銀河が肩をすくめた。
「変わらんな……」
結論。
今までと何も変わらない――。
ちょっと呆れた顔で笑いあう座敷童たちなのだった……。
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