第5話「十三歳の父」
父は、曾祖父、祖父、祖母、二つ上の姉との五人家族だった。
曾祖母は、父が生まれる前に亡くなっている。
父が十三歳のとき、祖母が病気で亡くなった。
その三か月後、曾祖父も亡くなった。
残された土地は、本来なら祖父が引き継ぐはずだったという。
しかし、祖父は婿養子だった。
そこで、祖母の妹の息子が、
「婿養子にやるくらいなら、自分がもらいたい」
と、土地を自分のものにしようとした。
その人自身も、土地を持っていなかったらしい。
けれど、その土地を自分のものにはできなかった。
そしてなぜか、その土地の所有者になったのが、当時十三歳だった父だった。
父の記憶では、裁判所から自分宛てに連絡があり、土地の所有者になることを承諾したという。
母親を亡くしたばかりだった。
その三か月後には、曾祖父まで亡くしている。
そんな十三歳の子どもに、土地のことなど分かるはずもない。
父は、言われるまま承諾した。
曾祖父と祖母が生きていた頃、父は長男として可愛がられていたという。
けれど、二人が亡くなった。
そして、父は土地の所有者になった。
それを境に、父を取り巻く環境は一変した。
その一年後。
祖父は、二人の連れ子がいる女性と再婚した。
連れ子は、当時三歳と二歳だったという。
その後、祖父と再婚相手との間にも男の子が生まれた。
父には、新しい家族ができた。
しかし、父だけいつもご飯が用意されていなかった。
父は中学を卒業すると、家を出て働き始めた。
それから十三年後。
祖父から、父に電話がかかってきた。




