↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『他人が集まって住んでいた家。』  作者: 季波


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/7

第4話「二箇所目の土地」

母から昔の話を聞いていると、ふと、こんな話が出てきた。


「病気には関係ないけど、おじいちゃん、こんなことも言ってたのよ」


「なんて言ってたの?」


「土地を二箇所も持ってるなんて、立派だなって」


母の実家は農家だった。


母のエッセイでも書いたが、その家が建っていた土地は借りたものだった。


本当は日当たりがよく、広い土地が欲しかったという。

けれど、地主が売ってくれなかったため、借りることになったらしい。


「だから、ちょっと嫌味も入ってたんじゃない?」


「そうなんだ」


私はそこで、引っかかった。


「……二箇所?」


父は土地を二箇所持っている。


今、私たちが住んでいる家の土地。

それとは別に、もう一つあるらしい。


「もう一つって、どこにあるの?」


「お父さんの実家よ」


「え?」


私は思わず聞き返した。


父は長男だ。

そして、あの土地も父のものだという。


「だったら、どうして新しくここの土地を買ったの?」


「あそこには住みたくなかったんじゃない?」


「どうして?」


「お父さん、『あそこは他人が集まって暮らしてる家だ』って言ってたから」


「確かに、私たちへの接し方はおかしかったけど……どうしてそんな言い方するの?」


「詳しい経緯は、お父さんに聞いてみたら?」


「うん」


どうして、自分の土地に建っている家を「他人が集まって暮らしてる家」と呼ぶのだろう。


私は父に、直接聞いてみることにした。


その日の夜。

父はダイニングでテレビを見ていた。


私は父の向かいに座った。


「ちょっと聞きたいんだけど」


「なんだ?」


「なんで自分の土地なのに、『他人が集まって住んでる』なんて言うの?」


父はテレビを見たまま答えた。


「そのまんまだよ」


「そのまんま?」


「でも、おじいちゃんが住んでるんでしょ? 他人じゃないじゃん」


「血は繋がってるけどな。俺にとって、あそこは自分の家じゃないんだよ」


「それ、どういう意味?」


「俺の家って言ったって、俺の居場所なんかないだろ。あそこにいるのは、俺にとっちゃ他人みたいなもんだ」


「じゃあ、なんであの土地を持ってるの?」


「俺が欲しくて持ってるわけじゃない」


「え?」


父はテレビから目を離した。


「俺の土地にされちまったんだよ」


父が欲しくて手に入れた土地ではない。

それなのに、父の名義になっている。


「……どういうこと?」


父はしばらく黙っていた。

それから、テレビを消した。

「昔の話になるけどな」


そう言って、父は話し始めた。

話は、父が十三歳のときまで遡る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。