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はじめましてを何度でも  作者: ぽんた7
エピローグ
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68/73

再生


 全ての戦闘?が終了した。ごく普通の恒星系に戻ったロイデ系。当たり前に恒星は燃え、当たり前に惑星が周回する。


 宇宙空間に漂っていたチビと健二は、ユグドラシルまで〈静かな波〉に遷移で運んでもらった。サーシャが居住区として使っていた洞に出現し座り込む。

 船内は静かだった。ただでさえ木製のでこぼこした部屋で音が吸収されがちなのに、あの騒がしい奴がいないとほぼ無音だった。


 健二はインベントリからお絹の銀の簪を取り出した。精緻な模様の細いスティックが、健二の手元で鈍く光る。


「なあ、〈静かな波〉。ここにサーシャが入ってるって?」


『肯定。君たちが欠片と呼んでいたデータから、百合子の構成部分を削除したものがまとめて詰められている』


「つまり、サーシャだけじゃない? お絹さんも百瀬さんもみんな?」


『肯定。ただ比率的にはユニット・サーシャが大半を占める。再生した場合はほぼユニット・サーシャになるだろうと予想される。あとは矢内絹が意識を持つか持たないか境界線の量で、その他の人格は記録として残っている程度になるだろう。顕現はしないと思われる』


 なるほどね、と理解する健二とチビ。


「じゃあさ、サーシャの人格だけを分離できる?」


『否定。現状データは不可分。乱雑にまとめられており、分離再構成は破損の危険があると思われる』


 百合子が雑な仕事をしたって事か。あいつらしい。


「仕方ないなあ。じゃそのまま肉体の再生をお願いできるかな?」


『了承』


 健二は、一つだけ要望を追加する。


「できれば、突入の時のナノマシン・サーシャじゃなくて、最初のちょい強化サーシャが良いと思うんだ」


『賛意。状況的に仕方なかったが、最終形態には各種の問題が散見された。人類からの乖離が大きすぎ、いずれ精神に障害が発生すると危惧していた。元のスペックに戻す事には賛成する』


「そうだにゃあ。なんか調子に乗って色々盛っちゃったけど、今にしてみればやり過ぎだったわ。にゃはは」 とチビ。


「にゃはは、じゃねえよ」


『簪を借り受ける』


 宙にパネルが現れ、形式的な人体表示が描画された。健二の手から簪が消える。


『再生工程を開始。完了予想時間120時間22分』


 え、ずいぶん早いな? 前は2ヶ月とか掛かってたよな?


『今までの試作品でノウハウが蓄積されている。既に作成したものでもあり効率化が可能』


「試作品って俺たちの事だよね……」


---


「あとさ、もう一つ頼みがあるんだ」


 〈静かな波〉に話しかける健二。


「俺のこの体って、本当は乗組員のカズト・N・クラークのものだろ? 俺を分離して、体を返したいんだよ。出来るかな?」


 返答がない。ただリィンが何か忙しく動いてる事は伝わってくる。部屋が微振動している。


『演算完了。分離は可能』


「それは良かった」


『ただ問題がある。カズト・N・クラークの再構成は問題無い。記憶的にはユニット・健二出現時にリセットされるが』


 それは仕方ないね、と健二。


『しかしユニット・健二の遺伝子情報が無いので受け皿が作れない』


「あー」


 そりゃあそうだ。カズトはただのアバターでペルソナだ。物理的には健二は存在していない。


「そこはだいじょぶよ?」 とチビが口を挟んだ。


「どういう事? 階段ってもう無いんでしょ? それとも第一層まで降りられるん?」


「それはもう無理。だけど階段登る時にどうやって次のアバターに乗り移らせてると思うの」


『理解。その層の肉体を分解して次層に注入しているのか』


「そんな感じ。正確には分解じゃないけども」


 またまた怖い事言ってるよ、この人たち。


「なんか俺、分解されすぎじゃね?」


 誰も聞いてくれない。チビが続ける。


「はいこれ第一層の身体データ。ぴっちぴちの自衛官」


『受領した。オプションは如何に?』


「いいよ、元の、素のヒト種のままで」 即座に答える健二。


『否定。そうはいかない。ユニット・サーシャの相手をするのに純粋な人体では困難が予想される』


 珍しく強めの口調で主張する〈静かな波〉。何? 実は親バカなのリィンって?


『しかし人類が自分の肉体に執着する心理はデータとして理解できる。最低限のオプションをこちらで選択しておく』


「なんでお前ら、そろって人の話聞かないかなあ」




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