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はじめましてを何度でも  作者: ぽんた7
第七章 地球外文明
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テロ対策


 方針が決まったところで、そのまま部屋で具体的な作戦を話し合う。

 お茶とミルクは入れ替えた。茶菓子として草加煎餅と、猫用の煮干も追加する。レプリケーターって神。洗い物が無いって素晴らしい。


「困った事に、毎回テッラ・プリマのテロの方法が違うにゃ」


「テッラ・プリマ?」


「ああ、毎回毎回潜入してくる独立派の名前」


「へー。過去のテロ方法は?」


「外部からのミサイル1回、会議中の爆弾2回、直接刺し殺したのが2回」


「あれ? ここには7人到達してるんだよな? 残り2回は?」


「テロの前に交渉が決裂してサーシャがバイバイ」


 あ~。そういう可能性もあるのか。草加煎餅をおかわりしながら頷く健二。


「今回は俺様とお前が塔として認識されてる限り、交渉決裂はたぶん無い。何せ『小さな和音』だからな俺様」


 確かに。サーシャは人間離れした表情なりに、チビに興味津々だ。自分から離脱する事は無さそうだ。


「ところで、その和音、って何?」


「たぶん、同じ時間を何度も繰り返してるから、存在が重複してるんだと思う。それが重なった音に聞こえてるんじゃないかにゃ」


「なるほどね。ああごめん、話の腰折って。テロに戻ろう」


 チビ、新しい煮干をレプリケーターから取り出して囓る。ばりばり良い音がする。食い過ぎな気がしてきた。


「ミサイルは、俺様が自重しないなら対処できるにゃ。爆弾も事前に場所が分かれば封印対処できるし、分からなくても爆発を即封じ込められるにゃ。五百万年先の技術だからな俺様。んで刺殺も銃撃も前もって分かってれば、お前なら防げるだろ?」


「たぶん」


 まあ確かに。最近はサーシャ、ほぼ俺の隣に陣取ってるからな。でも、会議室以外、医務室を襲撃されたら?


「そこは、俺様が付く。同じ部屋にいるのはサーシャなら許してくれるだろう。今や、にゃーにゃー仲間だし」


「サーシャはともかく、団長は許可してくれるかな」


 チビは、両前足を顔の前で左右に広げる。猫はそんなポーズしません。


「はっ。頭使うにゃ。『チビ様と一緒にいたい』ってサーシャに言わせればいいにゃ」


「どうやって……あ、念話でネゴればいいのか」


「そゆこと」


 そうだ。


「もういっそのこと、サーシャに事情を話して協力してもらう、ってのは?」


「ニワトリ頭。前に言ったろ、お前がお前として相互作用しないと欠片出てこないの。百合子の話しちゃったら失敗するの」


「あ、もしかして実験済み?」


「そ。思いっきり失敗済み」


「そっかー。ままならないねえ」


「ままならんのよ」


 一人と一匹で沈黙。お茶をずずーっと啜る。チビは煮干をカリカリし続ける。


「そのテロリストって、前もってメンバー分からないの? 分かれば事前に拘束するなり警戒するなりできるでしょ」


 煮干の尻尾を口の横に張り付かせながら顔をあげるチビ。テーブルの上が煮干のカスだらけだ。


「それがねー、なんか毎回メンツが違うの。どうも2000年代からの誤差が蓄積してるみたいで、不確定性が大きいんだよね。だから殺害方法も様々」


「そっか、ぶっつけ本番か」


「にゃ」


 残りの煮干と煎餅を黙々と食べる一人と一匹。焼きたてをすぐにデータ化した煎餅の旨いこと。


「そうそう、もう一つ聞きたい事があった。ロイデで船が沢山遭難してるじゃん?」


「ああ、百瀬の音がまだ聞こえる、って奴ね」


「あれって結局どういうことなん?」


「うん、遭難した連中はみんな生きてるよ」


 ケロッとした顔でチビは言った。


「え! マジ? 百瀬さんもヨルゲンさんもノアも? ついでにサラも?」


「ついでって、お前酷いにゃ。まあ時間が停止してるから、厳密には生きてる訳じゃないけど。ロイデから出せれば再起動するにゃ」


「元の俺、なんで出してやらないの?」


「できないのにゃ」


 できない?


「あそこからは情報以外の何者も出られないにゃ。五百万年研究したオリジナル健二でさえも。時間の特異点は伊達じゃ無いにゃ」


「おおう……」


 口の周りを煮干のカスだらけにした猫がすっくと立ち上がる。


「テロの件を片付けたら、そっちを検討するにゃ。幸い連中は停止してるから、考える時間はいくらでもあるにゃ」


「口拭こうぜ」




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