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後日談.結婚式編 勝負開始

「おおぉっ〜、物凄い人数だなぁ〜」


 俺はアレクシアたちと今日の会場となる演習場にやって来たのだが、物凄い人数に圧倒されていた。俺が見ているのは観客席……では無くて演習場なのだが。


 もちろん観客席にもかなりの数の人たちが、アレクシアたちと結婚する俺を一目見ようとやって来ている。だけど、その人数にも負けないほどの兵士や傭兵といった武器を体のどこかしらに装備した人たちが会場に立っているのだ。


 数としては2千ぐらいだろうか。軍の演習用のこの会場だからこそ入る事の出来る人数だろう。誰が雇ったとかわかるのかな?


「うわぁ〜っ! 凄い人だねぇ〜、ママぁっ!」


「ふふ、そうねエレネ、凄い人だね」


 俺の隣では、エアリスと手を繋いだエレネが人の多さにびっくりしてはしゃいでいる。アレンはこの人の多さにびっくりしてしまってアレクシアの胸の中に顔を埋めてしまってた。


「レイ君、負ける事はないと思うけど気を付けてね?」


「ああ、みんなは安心して見ておいてくれ」


「パパぁ、頑張ってねぇ〜!」


「ーー! おうっ! エレネのためにパパ頑張っちゃうからな!」


 くぅ〜〜〜! この1ヶ月頑張った甲斐があった! 初めは知らないお兄さんからだったけど、ゴーレムの劇を見せてから少しずつ慣れて来て、今ではパパと呼んでくれるまでなった。


 アレンはまだエレネほどでは無いけども、それでも、前みたいにびっくりして隠れたりはしなくなった。


 俺はみんなと別れてそのまま会場まで進む。各国の王は既に貴賓席にやって来ている。その中には当然ながらミーティアさんもいる。ミルアちゃんはアレクシアたちと一緒にいるから大丈夫だろう。


 俺が会場まで行くと、対戦者たちが割れるように左右に分かれる。その分かれた間からはデブが先頭に昨日喚いていた貴族たちが歩いて来た。


「ぐふふ、この人数相手によく逃げずに来たな。だが、この人数では勝てんだろう。今降参すれば命だけは助けてやるぞ? さぁ、どうする?」


 ニヤニヤニヤニヤしやがって、気持ち悪いなこの野郎。俺はアイテムリングからガラドルクを取り出し、自分の周りに直径1メートルほどの円を作る。デブたちは訝しげに見て来るので、俺はニヤリとしながら


「ただやるんじゃ面白く無いからお前たちにハンデをやるよ。お前たちは俺をこの円から外に出せば勝ち、俺はお前たちが用意した参加者全員が気を失うか、降参させたら勝ち。これでどうだ?」


 俺がそう言うと、周りの貴族たちは顔を真っ赤にして怒るが、デブだけはニヤニヤとして周りの貴族を止める。こいつだけ偉い余裕だな。なんだ?


「ぐふふ、良いだろう。しかし、お前がその円から出ても勝者が決まっても戦いは終わらんぞ?」


 デブもそう言い会場から出て行く。どうせ、殺すとか言い出すんだろう。そして、デブたちが出て行くのと同時に参加者たちが武器や魔法を放つ準備をする。


 さっきの俺の言った勝利条件を聞いてキレる奴もいれば、俺を見て顔を青くさせる奴もいる。そんなものは御構い無しにと、審判にダグリスが立つ。


 ダグリスはランウォーカー王国の将軍であるメリア将軍の補佐をしている3児の父親だ。レーネが長男を生んで、アルマが双子の姉妹を生んだんだっけな。たまにエレネたちと遊んでいるのを見かける。


「それでは、勝敗条件は先ほど聞いた通りだ。双方とも無茶はしないように」


 ダグリスはそう言うが、目線は俺に向いている。無茶なんかしねえよ。ほんとだぞ? アレンやエレネが見ているに血生臭い事なんかするわけないだろ。


「それでは……始め!」


 ダグリスが開始の合図をすると共に一斉に放たれる魔法。おお、訓練したわけでもないのにまるで事前に話していたかのようにタイミング良く放たれたな。放った魔法師たちは、円から出ようとしない俺を見て笑っているけど、さてさてどうしようか。


 このまま魔力を放って消し飛ばしても良いのだが、それじゃあ凄さがわからないからなぁ。取り敢えず円から出ないようにガラドルクで捌くか。


 ガラドルクに魔力を流して俺に向かって来る魔法を次々と振り払う。おっ、何だか楽しくなって来た。穂先でかき消して、石突きで振り払う。


 参加者たちからすれば、ただ魔法が降り注いでいるようにしか見えないのだろう。魔法の後に混ざって笑い声が聞こえる。ただ、それよりも聞こえるのが


「パパぁ〜、ふぁいとぉ〜!」


 愛しい娘の応援だ。娘の応援があればもう一度魔神とやっても負ける気がしねえな!


「エレネにかっこいいところを見せるぞー! 雷撃の滅槍(タケミカヅチ)!」


 魔力を流して帯電しているガラドルクを横薙ぎに振り払う。一気に開けた視界。その先では高笑いしたまま固まっているデブの姿が。俺が死ぬのが1番よく見える位置にでもいたのだろう。観客席の1番前にいやがる。


 客先には被害が行かないようにキャロが作った結界が張ってあるけど、突破してやろうか、あの野郎。でも、それをするとキャロが怒るからやめておこう。命拾いしたなデブ。


 その間に、俺がまったく傷ついていない事に驚いていた参加者の内の前衛の奴らが武器を構えて迫っていた。


 中には見覚えのある兵士もちらほらと。あれ? あいつって確か……そうだ、グランドって奴だ。何度かエアリスと話しているのを見たことがある。あいつも参加していたのか。誰かの命令か、はたまた自分の意思かは知らないけど。


 俺は迫って来る参加者たちが円に近づかないようにふき飛ばす。大怪我しないように気を失う程度で。怪我しても治せるから良いのだが、正直に言うとこの人数をするのは面倒だ。


 100人くらい気を失わせた頃には近づく奴らはいなくなってしまった。グランドもさっきより後ろに下がってやがる。どうしようか。魔法でもぶっ放そうかな。


 そんな事を考えていたら、参加者たちの中から仮面を付けた男がやって来た。そしてデブのテンション上がる。あいつがデブの雇った奴なのか?


 まるでピエロのような仮面に黒髮の頭。両手には魔剣らしき剣が握られている。双剣か。そして感じた事のある魔力。


「……行きます」


 3年ぶりか。なんであいつに雇われているのかは知らないが、試してやろうではないか。


「ああ、来い」

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