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ポンコツ神様、戦争を終わらせるために伝説の殺し屋(OL)を召喚したら、状況が最悪になりました  作者: 凪塩 未来


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第9話:夜の共犯者たち

ご覧いただきありがとうございます!

第9話は物語最大のクライマックス、中央広場での東西同盟との大決戦です!


暗闇と混乱を駆使して立ち向かう由美さんの暗殺アクションと、彼女を救うために最後の力を絞り出すポンコツ神様の覚醒、二人の死力を尽くしたコンビネーションをお楽しみください!

雨が降り始めていた。

冷たい夜の雨が、激しい硝煙の匂いを重く地面へと押し込めていく。


街の中央広場。かつて市場として賑わったその広大な空間は、今や数百の武装集団によって埋め尽くされていた。


東城組と西清会。

本来ならば互いの喉元を噛みちぎり合っているはずの男たちが、肩を並べ、雨の中に銃口を構えている。大型ライトが広場を昼間のように照らし出し、逃げ場のない「処刑場」を作り上げていた。


「おい……本当に来るのか、あの女は」


「来てもらわなきゃ困るんだよ。ここで仕留めなきゃ、俺たちに明日はない」


張り詰めた緊張感の中、男たちが引き金にかけた指を震わせる。


その光景を、広場を見下ろす時計塔の陰から見下ろしている影があった。

黒のタイトスカートにジャケット。雨に濡れた黒髪をサッと手で払い、銃の動作確認を終えた女――桃西由美だ。


「敵の総数、およそ二百五十。重機関銃が二基、高所からの狙撃手が四人。……完璧な陣形ですね」


『桃西さん……本気かい? 正面突破なんて、いくら君でも――』


私の震える声に、由美は微かに口元を緩めた。


「正面突破などしません。……暗殺者の戦い方は『暗撃』です。どれほど敵が大勢いようと、闇と混乱があれば勝機は生まれます」


由美は懐から、先ほどまで街の配電盤に仕掛けておいた遠隔起爆装置のスイッチを取り出した。


「神様。合図とともに、広場の照明を落とします。……行きますよ」


「ああ……任せておけ!」


——ポチッ。


スイッチが押された瞬間、バチバチッ! という激しい放電音とともに、中央広場を照らしていた全ての投光器と街灯が一斉に破裂した。


世界が、唐突に深い闇へと叩き落とされる。


「なっ……なんだ!? 停電か!?」


「焦るな! ライトを点けろ! 陣形を崩すな!」


突然の漆黒に、広場は大混乱に陥った。

男たちが懐中電灯を取り出そうとした、まさにその一瞬の隙――。


闇の中から、一筋の黒い影が躍り出た。


——パン、パンッ!


時計塔の上に配置されていた狙撃手二人の額に、暗闇を切り裂く弾丸が正確に撃ち込まれる。悲鳴を上げて落下する狙撃手。


「狙撃手がやられた! 上だ! 上に——」


叫んだ西清会の幹部の首筋に、上空から舞い降りた由美のピアノ線が絡みついた。

落下の体重を利用した凄まじい絞首。首骨が折れる嫌な音が響き、幹部が沈黙する。


「そこだ! 撃てぇぇぇっ!」


パニックに陥った組員たちが、闇雲に銃を引き抜いて発砲を始めた。

だが、それは由美の思うツボだった。暗闇の中での無秩序な乱射は、味方同士の誤射を誘発し、混乱をさらに拡大させていく。


「ひぃっ! 撃つな、俺だ! 東の組員だ!」


「どけ! 前が見えねぇ!」


入り乱れる怒号と銃撃戦。

由美はその混乱の間隙を、まるで水の中を泳ぐ魚のように滑らかに通り抜けていく。


東城組の兵士の懐に入り込み、ナイフで腿の動脈を断ち切る。

西清会の乱射するアサルトライフルを奪い取り、背後から接近する敵を纏めて掃射する。


一切の無駄がない、死の舞踏。

数百の敵という圧倒的な絶望を、彼女は『暗夜』と『混乱』という牙で着実に切り崩していった。


だが――相手も長年修羅場をくぐってきた極道たちだった。


「慌てるな! 円陣を組め! 動く影はすべて撃ち殺せ!!」


東城組の頭目・獅子倉の怒号が響き渡り、生き残った男たちが急速に体制を立て直し始めた。発煙筒が焚かれ、赤い煙が広場を覆う。


「見つけたぞ、女ぁぁぁっ!」


物陰から飛び出した由美に向け、重機関銃の砲口が向けられた。

連射速度数百発の鉄の嵐。死角のない開けた場所へと追い詰められた由美の姿を、豪雨のような弾丸が襲う。


(しまっ――!)


避ける場所がない。

由美の瞳に、死の予感が走ったその瞬間。


『——させない!!』


私の魂の底からの叫びが、夜空に響き渡った。


私は神様だ。世界を書き換える奇跡も、天変地異を起こす力もない。

だけど、今の私はただ見ているだけの存在じゃない。彼女の『共犯者』だ!


天から集められる限りの神力を絞り出し、私は機関銃を撃ちまくる男の目元へ、一瞬だけ目もくらむような強い『光の目眩まし』を叩きつけた。


「グッ……!? 目が……!?」


ほんの僅かな狂い。機関銃の射撃軸が、数センチだけ上へと逸れる。

さらに私は、最後の力を振り絞って、由美の胸元へ迫っていた弾丸の軌道を——ほんの数ミリだけ横へと弾いた。


ズバババババンッ!


アスファルトが激しく砕け散る。

本来なら由美の身体を肉片に変えていたはずの鉄の嵐が、奇跡的に彼女の数センチ横を通り過ぎていった。


「……! 感謝します、神様!」


千載一遇の隙。

由美は一歩を踏み込み、空中で回し蹴りを叩き込んで重機関銃の射手を撃破。そのまま銃身を奪い取ると、旋回させて敵の本陣へと向かって引き金を固定した。


ドドドドドドドドドッ!!


凄まじい掃射が、東西同盟の本陣を粉砕する。

炎と悲鳴、そして倒れていく男たち。


「ば、化け物……! 神がついてやがる……!」


恐怖に引きつった顔で崩れ落ちる、東の頭目・獅子倉と西の会長・黒田。

二人の首領の前に、雨に濡れた黒スーツの女が静かに歩み寄った。


手には、二丁のハンドガン。

その背後には、形なき神様の強い光が宿っていた。


「これで……『仕事』は完了です」


パン、パンッ。


二つの銃声が夜の雨音に消え、中央広場に永遠の静寂が訪れた。

第9話をお読みいただきありがとうございました!


数百の敵を相手に、奇跡の連携でついに東西の暴力の頂点を討ち取った二人。街に長年溢れていた暴力を、ついに「掃除」し尽くしました。


次回、第10話(最終話)「定時退社と、明日からの業務」へ続きます!

召喚された暗殺者OLと、見守り続けた神様の最後の物語を、ぜひ最後まで見届けていただけると幸いです!

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