番外編①
新首都。
議会前広場。
人が集まっていた。
貴族ではない。
王族でもない。
商人。
職人。
労働者。
この国を実際に動かしている者たち。
壇上に、一人の男が立つ。
元大公ヴァルシュタイン。
今は、ヴァルシュタイン大統領。
歓声はない。
静かだった。
だが。
全員が見ている。
(……前世と同じだな)
ふと、思う。
遠い記憶。
土の匂い。
冷たい風。
短い時間。
長く話す必要はなかった。
(今回も同じでいい)
視線を上げる。
「……」
そして。
口を開く。
「この国は」
「人民の、人民による、人民のための政治を行う」
一瞬。
空気が止まる。
だがすぐに。
理解が広がる。
誰もが分かる。
それが何を意味するか。
「血統ではない」
「過去の権威でもない」
「人そのものが、基盤となる」
ゆっくりと視線を動かす。
逸らす者はいない。
「我々は」
「それを機能させるために」
「整えた」
産業を。
法を。
教育を。
すべて。
「故に」
一拍。
「この国は続く」
それだけだった。
短い。
だが。
十分だった。
沈黙
数秒。
静寂。
そして。
拍手。
大きくはない。
だが、確かだった。
■内心
(……これでいい)
長く語る必要はない。
必要なのは。
定義だけだ。
――国は、王のものではない。
最初から、人のものである。
というわけで、転生者はアメリカ合衆国史上最高の大統領と言われるあの偉人でした。
悪人か変人かアホの子しか登場してこなかったのに、珍しく偉大な人物が登場してしまった。
万能感がありすぎて違和感が凄い。




