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婚約破棄→国家消滅(原因:俺)  作者: はるかに及ばない


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8/10

王、いらなかった

戴冠式。


 盛大だった。

 音楽、旗、拍手。

 形式は完璧。

 ただ一つ。

 誰も期待していない。


「……これより戴冠の儀を執り行う」


 粛々と進む。

 ラーハルト、前に出る。


(帰りたい)


 それしか思ってない。

 冠が乗せられる。


 パチパチパチ。


 拍手。


 軽い。


「軽くない?」


「通常通りでございます」


「通常が軽い!!!!」


■数日後


 王城。


「ご報告いたします」


 もう嫌な予感しかしない。


「王家への財政支援、縮小完了」


「はい」


 もう驚かない。


「軍の指揮権、移管完了」


「はい」


「行政機構、移転完了」


「はい」


「……」


 全部終わってた。


■さらに数日後


 王城。

 静か。

 めちゃくちゃ静か。


「……人いなくない?」


「はい」


「はいじゃない!!!!」


 廊下。

 誰もいない。

 広い。


「……無駄に広くない?」


「元からでございます」


「そういう問題じゃない!!!!」




「ご報告いたします」


 また来た。


「首都機能の移転が完了しました」


「うん」


「王都は地方都市へ再編されます」


「地方!?」


「人口・経済ともに劣後しておりますので」


「合理的すぎる!!!!」




「また」


「王家の統治機構ですが」


「うん」


「既に機能していないため」


「うん?」


「廃止されます」


「うん」


「……うん?」


 一拍遅れて理解。


「え?」


「今なんて?」


「廃止でございます」


「軽いな!!!!」




「……ちょっと待て」


「俺は?」


「王でございます」


「仕事は?」


「ございません」


「権限は?」


「ございません」


「意味は?」


「歴史的存在でございます」


「展示物!!!!」




 玉座。


 一人で座る。


 静か。


 誰も来ない。


「……なあ」


 誰もいないのに話しかける。


「王って何だったんだ?」


 返事はない。

 外から音が聞こえる。

 人の声。

 商売。

 生活。

 普通の音。


「……そっか」


 小さく呟く。


「いらなかったんだな」


 あっさり納得。




 その日。

 王家は滅びた。

 戦いもなく。

 反乱もなく。

 ただ。

 誰も困らなかったので終わった。



■おまけ


王太子:

「俺、何だったの?」


側近:

「時代の遺物でございます」


王太子:

「優しい言い方をありがとう!!!!」

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