なんでこうなったのか聞いたら俺のせいだった
大公家領都。
会議室。
静か。
「……」
ラーハルト、座っている。
もう元気はない。
「……で」
やっと口を開く。
「なんでこうなった」
シンプルな疑問。
「ご説明いたします」
案内役。
いつもの調子。
「大公家は産業に投資しました」
「うん」
「工業を発展させ」
「鉄道を整備し」
「活版印刷を領土の産業の核にして」
「知識の幅広い普及、そして一般化」
「教育を拡充させました」
「ちなみに殿下の通っていた学園もその一環です」
「え?」
「知識の幅広い普及により、平民からも天才と呼ばれる人材が多数現れて、さらに産業が発展」
「うん」
「発展した産業を保護し、さらに先へと促すために、時代遅れとなっていた法整備と議会制度を導入」
「うん?」
「軍制改革を実施」
「うん」
「これらを数十年継続」
「長い!!!!」
「一方」
嫌な予感。
「王家は」
「……はい」
「従来の制度を維持しました」
「……はい?」
「騎士」
「工房」
「慣習」
「すべてそのままです」
「確か、品位が無いとか、前例がないとか言っていろんなものを却下していましたね」
沈黙。
「……つまり?」
一拍。
「何もしていません」
「言い切った!!!!」
「なお」
「大公家の支援により王家は維持されていました」
「……え?」
「インフラ・物流・治安」
「すべて間接支援です」
止まる。
ゆっくり理解する。
「……俺たち」
一拍。
「支えられてた?」
「はい」
「めちゃくちゃ?」
「はい」
「ずっと?」
「はい」
「……」
「そして」
「婚約破棄により関係が断絶」
「支援見直しが発動しました」
沈黙。
「……あれ」
「トリガー?」
「はい」
「……俺?」
「はい」
「……全部?」
「はい」
「……」
天井を見る。
「……帰りたい」
心の底からの本音だった。
「……あのさ」
「はい」
「俺、何してた?」
「支援を受けておりました」
「俺、何した?」
「支援を切らせました」
「アホすぎる!!!!」
「……なあ」
「はい」
「もう一度支援してもらえる可能性は?」
一瞬。
「ございません」
「丁寧に絶望!!!!」
その日。
ラーハルトは理解した。
国家が滅びる理由。
それは戦争ではない。
何もしなかったことだ。
■おまけ
王太子:
「俺がやらかした?」
案内役:
「はい」
王太子:
「歴史レベル?」
案内役:
「はい」
王太子:
「なんでこうなった??!!!!」




