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婚約破棄→国家消滅(原因:俺)  作者: はるかに及ばない


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10/10

番外編②

 場所は、新首都。

 簡素な応接室。

 無駄がない。

 ラーハルトは座っていた。


(帰りたい)


 その一言に尽きる。

 扉が開く。

 入ってきたのは――

 元大公ヴァルシュタイン。

 今は。

 ヴァルシュタイン大統領。


 向かいに座る。

 無駄がない。

 間もない。


「……」


 沈黙。


(気まずい)


 ラーハルトが耐えきれず口を開く。


「……あの」


「何だ」


 即答。

 怖い。



「……その」


「俺の国、なくなったんだけど」


「そうだな」


「軽くない!?」


「処理済みだ」


「業務!!!!」




「……なんでこうなった?」


「積み重ねだ」


「雑!!!!」


「お前たちは何もしなかった」


「刺さる!!!!」




 ラーハルトは、少しだけ顔を上げる。


「……でもさ」


「何だ」


「俺たちの国、全部ダメだったのか?」


 初めて。

 少しだけ、真面目な問いだった。


 一瞬。


 沈黙。


 大統領は、ほんのわずかに考える。

 そして。


「一つだけある」


「え」


 予想外の答えだった。


「何」


 一拍。


「奴隷制度を採用しなかったことだ」


 静かな声。

 だが。

 はっきりしている。


「……あ」




「それは評価する」


「……」


 短い。

 だが。

 重い。


「人を資源として扱わなかった」


「それは正しい」


 断言だった。



「だが」


 一拍。


「それだけでは国家は維持できない」


 現実だった。


「……」


 ラーハルトは、何も言えない。

 褒められた。

 だが。

 同時に、否定された。



「……じゃあさ」


「何だ」


「俺、そこは頑張ってたってことでいい?」


「お前ではない」


「ですよね!!!!」




■自由の話


「……王って必要だった?」


「必要な時代はあった」


「今は?」


「不要だ」


「やめてくれ!!!!」


「……俺、これからどうすればいい?」


「好きに生きろ」


「急に優しい!!!!」


「役割はない」


「それは知ってる!!!!」


「ならば自由だ」


「自由って何!?」


 一瞬。

 大統領が考える。

 ほんの少し。


「……選べることだ」


「何を」


「どう生きるかを」


 一拍。


「ただし」


「維持されるものではない」


「……」


 ラーハルトは黙る。

 どこかで聞いたような。


 そんな気がした。



「……なあ」


「何だ」


「一個だけ聞いていい?」


「許可する」


 一拍。


「俺、ちょっとはマシだった?」


「……一つは」


「良かった」


「おお」


「それで十分だ」


「……そっか」


 笑う。


 初めて。


 少しだけ。


 その日。

 王は消えた。

 だが。

 一人の人間は残った。



 ――国家が終わっても。

 人生は、普通に続く。

実は、なんか詰んだと思われている登場人物は、全員元気に生きていたりします。


元騎士団長子息は、恵まれた体格を活かしてフットボールの選手に。


宰相の息子は白熱電球を発明した変人に付き纏われて会社を設立。


伯爵令嬢は没収されたブドウ畑で働き、ワイン作りを極めてブランド化。毎年、今年のワインの出来は10年に一度の最高の出来だと言っています。


公爵家嫡男は未確認飛行物体に連れ去られ、よく分からない空間で「宇宙の位相が乱れているので対処してほしい」と言われ、そのままスペースセキュリティポリス(SSP)の設立メンバーに採用され、気付いたら銀河の調整業務を任されています。


そして、元王太子で元王のラーハルトは、鉄道にハマり、職員でもないのに毎日「出発進行!」って言っています。


ざまぁじゃないような気がするし、なんかスカッ!とするわけじゃないけど、これにて完結です!

お読みいただき、ありがとうございました。


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