人、消えてない?
数日後。
王都。
静かだった。
「……」
ラーハルト、街を歩く。
「……人、少なくない?」
普通に気付いた。
「いやそんなことは……」
取り巻きA、否定しかけて。
周囲を見る。
「……少ないですね」
「だろ!?」
露店、減ってる。
馬車、減ってる。
人、減ってる。
「なんで?」
「分かりません」
「分かれ!!!!」
■さらに観察
歩く。
閉まってる店。
張り紙。
『新首都へ移転しました』
「……」
別の店。
『こちらも移転しました』
「連鎖!!!!」
さらに別。
『もう全部移転です』
「雑!!!!」
■現実
「……これ」
「人、流れてない?」
取り巻き、誰も否定できない。
「どこに?」
一斉に答える。
「大公家領都です」
「そりゃそうだよな!!!!」
■伯爵家
その頃。
エルフォード伯爵家。
応接室。
空気が終わっていた。
「……どういうことですか」
マリア、震える。
目の前には書類。
父である伯爵は、無言。
「読め」
短い。
読む。
止まる。
「……え?」
もう一回読む。
「……え??」
三回目。
「……え????」
理解拒否。
■内容
簡単だった。
借金、回収。
以上。
「……え?」
「我が家のワインを作っているぶどう畑は?」
震える声。
「差し押さえられた」
「軽い!!!!」
■解説
「お前が遊んでいた間に」
伯爵、冷静。
「王都の経済は死んだ」
「え」
「人が消えた」
「え」
「金が消えた」
「え」
「支払いが止まった」
「え」
「借金が残った」
「え」
「終わりだ」
「まとめ方!!!!」
■さらに
「……でも」
マリア、まだ粘る。
「うちは名門で……」
「担保にしただろ」
「え」
「ぶどう畑」
「……あ」
終わった。
■王城
「殿下!!」
報告が飛び込む。
「伯爵家の領地が――」
「没収されました」
「何で!?」
「借金です」
「現実的!!!!」
■理解
「……ちょっと待て」
ラーハルト、整理する。
「人がいなくなって」
「金がなくなって」
「借金が残って」
「土地を取られた?」
「はい」
「綺麗すぎる!!!!」
■核心
「……なあ」
「はい」
「これ、戦争じゃないよな?」
「はい」
「じゃあ何?」
一拍。
「市場でございます」
「怖っ!!!!」
その日。
伯爵家は。
戦うこともなく。
市場に敗北した。
■おまけ
王太子:
「剣で負けるなら分かる」
側近:
「今回は金です」
王太子:
「だれかお金貸して!!」




