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信じてた仲間に裏切られるより最初からバカな味方に足を引っ張られる方がよっぽど胃に穴が空く

──翌朝、事態は動いた。


『霊媒師』ローラーが決定している中で、昨夜の犠牲者が意外な人物だったからだ。


「昨夜の人狼による犠牲者は、ミレイユさんです」


執事によるアナウンスに、皆が驚きを隠せない。


それとは別に、残った『占い師』と『霊媒師』の結果がそれぞれ発表される。


「やっぱりクラリスは『人狼』だったわ。これでやっと人狼を一人処刑出来た」


ニコが得意げに言うのと対照的に、リネットは困惑しながら答えた。


「私の占い結果は、ゼノビアが『人狼』よ」


「偽の『占い師』の方を噛むなんて、人狼は何を考えてるのかしら?」


リネットは首を傾げつつ、


「わざわざ偽物を噛んで、人狼陣営を減らしてくれるなんて助かるわ」


「いや、そんな甘いもんじゃない」


「えっ?」


ジノの厳しい表情を見て、リネットは途端に不安になる。


「『占い師』の一人が襲撃されるなんて」


「あり得ない事態ではないが……」


ジノは唇を強く噛み締めた。


(これはやられた……)


「ジノ様、これは一体どういうことなのですか?」


ルミナが混乱した様子でジノに問う。


「これは、漂白だ……」


掠れた声で呟いた。


「漂白?」


「……本来人狼、黒であるフェリクスの白結果を持っているミレイユは偽の『占い師』。そして襲撃によって死んでしまったので『狂人』でしかないが」


「村目線の話をすると、ミレイユが襲撃されることで、彼女が真『占い師』に見えてしまうんだ」


「あっ!」


「……つまり、リネット処刑の流れになる」


「!」


状況の悪いことに、今は『霊媒師』ローラー中だ。

既に真『霊媒師』のクラリスを処刑してしまっている。


「えっ、まさか私が処刑されちゃうの?」


リネットの顔色がサーっと青ざめていく。


「『霊媒師』ローラーを先に完遂すべきだ」


ジノは立ち上がり、毅然と言い放った。


「正気か? ミレイユが襲撃されてしまったんだぞ?」


ヴォルフがすぐさま反論した。

隣のロルフもとうとう重い口を開く。


「『騎士』もいつまで生きているんだ?」


「……」


(それを言われてしまうと、厳しい)


「あの、リネットさんを処刑で良くないですか?」


丸目眼鏡のティアが手を挙げ、提案した。


「私も、リネットの処刑に賛成だわ」


ゼノビアが腕組みをしたまま言う。

リネットはゼノビアを睨みつけた。


「ゼノビア、あなたが『人狼』なのよ!」


これにゼノビアは、落ち着いたトーンで、まるでその場の全員に言い聞かすように言った。


「リネット、あなたは『狂人』確定なのよ」


「私が真『占い師』よ!」


リネットの悲痛の叫び。

──ジノは(たま)らず目を閉じる。


(この流れをひっくり返す手を……考えなければ)


「ゼノビアを処刑してみるという手はある」


そう言い出したのはシモンだった。


「僕はリネットを真で考えている。つまり今回の襲撃は、間違って襲撃をしたか、結果を歪ませて見せたい企みの可能性も考えてる」


「それでもわざわざ偽物だと分かっている方を襲うのだろうか? 考えにくい」


ヴォルフが異を唱える。


「ここで、私を処刑するだなんて、おかしいでしょ!」


ゼノビアが信じられないと言った風に、取り乱した。


「私は『狂人』に黒塗りされただけよ!」


ここでジノが静かに、再度『霊媒師』ローラーを提案する。


「『占い師』に狂人という事実が決定してるなら、『霊媒師』に『人狼』が出ているのは確定だ。村目線クラリスが真『霊媒師』の可能性がある以上、『霊媒師』ローラーは完遂すべきだ」


「私はたとえ狂人だとしても、偽物が確定しているリネットを処刑するべきよ」


「ミレイユがどうしても真『占い師』にしか見えない」


ヴォルフが言う。


「俺はいつまでも生きてる『騎士』か、ルミナを処刑するべきだと思う。ミレイユの黒結果だからだ」


ロルフがジノとルミナに視線を向けた。


「そこの二人が『人狼』なのでは?」


「ミレイユを真『占い師』だと考えるなら、ルミナかジノを処刑すべきだ」


ルミナに縄が波及してきたので、ジノは堪らない。

お互い無言で顔を見合わせる。


(姫さんを処刑させる訳には……)


ルミナは力強く頷く。


「『霊媒師』ローラーで確実に人外を消すと言ったのは、ゼノビアさんでしょう? ニコさんまで完遂すべきです」


ルミナも強い姿勢を断固崩さなかった。


「多数決を取ろう」


シモンが言い、皆が同意する。


「『霊媒師』ローラー完遂、ニコの処刑希望の人」


これにはジノ、ルミナ、リネットの3人が手を挙げた。


「次、リネットの処刑に賛成の人」


これにはティア、ヴォルフ、ニコ、そしてゼノビアもここで挙手した。


「つまり、ロルフと僕は少数意見になるな……」


ロルフが頷く。


「僕は『霊媒師』ローラーに賛成する。これで『霊媒師』ローラー希望が4人だ。ロルフ、君はどうする?」


全員の視線がロルフに集まった。


「……俺はリネットの処刑に賛成する」


「4対5でリネットの処刑だ……」


シモンが不服そうに告げた。


「そんな!」


悲鳴に近い声を上げ、ルミナがその場にへたり込んだ。


「……ふん、この大馬鹿どもが」


ジノが吐き捨てた。


「そんな、私を処刑するですって……嘘でしょ?」


リネットが狼狽(うろた)える。


「助けてよ……ジノ」


悲痛な面持ちでジノを見つめた。


「……」


多数決で決まった以上、どうにもしてやれなかった。


リネットを見つめ、小さく呟く。


「……俺を信じて待て。必ずゲームには勝つ」


「……うん、分かった。負けたら絶対に許さない」

読んでいただきありがとうございます。

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