嘘を嘘と見抜ける奴が集まっても声の大きい嘘つきには勝てないのが世の常
「占い位置、ゆっくり考えたいから部屋に戻るわ」
「私も、今日は少し寝不足なので早めに休みます」
昼間のしつこさと打って変わり、二人は夕食が済むと、早々に部屋に切り上げてしまった。
ジノは何だか拍子抜けしてしまう。
(とりあえず、飯をコース料理でゆっくり食えたのは良かったが……)
一人で情報収集に行くか迷ったが、『騎士』を名乗る以上、それらしき行動を取る必要がある。
実際自分に護衛能力がある訳でもないので、護衛位置を考えたところでどうにもならない。
(なるようにしかならないな)
仕方なく、自室に戻ってベッドに横になった。
ゴーーーーン!
0時の鐘が鳴り、もう消灯の時間だと知れる。
(もし自分が本当に『騎士』なら、守るべき人物は……)
「真『騎士』のセンスに任せるしかないか……」
──気づいたら、いつのまにか眠ってしまっていた。
コンコン!
ドアをノックする音で目が覚めた。
身体を起こして、ドアを開けた。
「……あぁ、ジノ様」
ジノの顔を見て、ルミナが安堵した顔を見せる。
「起こしてしまってごめんなさい」
「……別にいいさ。支度するから少し待ってくれ」
朝食の席で、リネットががっくり肩を落としていた。
その顔を見て、結果が芳しくないのは分かった。
「才能ないのかも……」
そこでジノは気づいてしまう。自分の向かいの席、その隣がいつまでも空白なのを。
「……昨夜の犠牲者はイリスだ」
「あっ」
ルミナも気づいたようだ。
「まさか、イリスさんを……」
「どうしても俺に縄をかけたいんだろうなぁ……」
(さて、《霊媒師》ロラになるのか、俺が処刑されるかどちらかだな)
朝食後、昨日と同じようにダンスホールへ移動した。
「皆様、昨夜の人狼による犠牲者はイリスさんです」
執事によるアナウンスで犠牲者が全体に知らされた。
「それでは只今より、話し合いを行なって頂きます」
「まず『占い師』と『霊媒師』によるそれぞれの結果を教えて下さい」
「リネットさん結果をどうぞ」
リネットがおずおずと立ち上がり、結果を述べた。
「私の占い結果は、ティアさんが『人狼でない』と出ました」
(丸眼鏡は白か……)
「それではミレイユさん」
スッと立ち上がったミレイユは、少し声を張り上げ、
「私の結果はルミナさんが『人狼である』と出ました」
「ええっ!?」
これにはルミナ本人も驚きを隠せない。
ジノはすかさずアドバイスをする。
「……動揺するな。冷静に反論するんだ」
ミレイユは理由まで添えた。
「私はフェリクスさんが『人狼ではない』という結果を保持しています」
「私目線、ジノさんが偽物なので、ジノさんを執拗に庇っていたルミナさんが怪しかったからです」
「ジノさんが襲撃されないで、生きていることが、そもそもおかしいと思いませんか?」
ミレイユが参加者を見回しつつ、声をより張り上げて言った。
会場がざわつき、静まるのに多少の時間を要した。
「ミレイユさんは偽物です! 嘘をついています!」
ルミナは落ち着いて、はっきりと反論した。
執事は続いて、クラリスとニコに注目する。
「それでは《霊媒師》によるフェリクスさんの結果をお願いします」
「クラリスさん結果をお願いします」
「霊媒の結果は、フェリクスさんは『人狼』でした」
「ニコさんは?」
「私の結果はフェリクスさんは『人狼ではない』です」
(やはり結果が割れたか……)
ジノはルミナと顔を見合わせた。
「クラリスが真だ」
「ええ」
他の参加者達は、それぞれの結果に一喜一憂している。
「僭越ながら、意見させてくれ」
栗毛パーマ頭のシモンが立ち上がった。
「片方の『占い師』から『人狼である』という結果は出ているが、僕は今日は『霊媒師』ローラーを提案したい」
「『霊媒師』ローラーで、人狼陣営を一人処刑出来ると思うんだ」
「賛成だ。僕は昨日やるべきだったと思ってる」
茶髪を一つに括ったヴォルフがすぐに手を挙げた。
「ルミナさんを処刑しないんですか? フェリクスは処刑されたのに……」
おどおどしつつ、丸目眼鏡のティアがルミナを見て言った。
「私は今でもフェリクスが真『騎士』だと思ってる」
ジノはやれやれと溜め息をついた。
(これはリネットも占いしたくなるわな……)
不安そうにこちらを見つめるルミナに、ジノは頷く。
「大丈夫だ……」
「ねぇ、ここは多数決を取らない?」
浅黒い肌のゼノビアが提案した。
「『霊媒師』ローラーするか、ルミナの処刑をするか。当事者は抜いて、挙手で」
「ローラー希望の人?」
これにはシモン、ヴォルフ、ロルフ、そしてジノとリネットが手を挙げ、それを見てゼノビアも手を挙げた。
「ルミナの処刑を希望する人?」
手を挙げたのはティア、ミレイユだけだった。
「『霊媒師』ローラーに決まりね」
「クラリス目線、人狼を一人処刑出来ているのだから、吊りは飲める筈」
クラリスは目を見開いた。
「確かにそうだけど……」
「別にローラーするからどちらからでもいいのよ」
これに意を唱えたのが、シモンだった。
「僕はニコから処刑したい」
しかし、ゼノビアは首を縦に振らない。
「クラリスからでいいわ。彼女の仕事は終わってるの。明日ニコを処刑すればいいのよ」
「『霊媒師』ローラーで確実に人狼を消しましょう」
「ゼノビアさんがそこまで言うなら」
ティアも同調し、『霊媒師』ローラーはクラリスから処刑することになってしまった。
「……みんな聞いて。ニコの結果は絶対に信じないで。私が真『霊媒師』よ」
それがクラリスの遺言だった。
(真からローラーは流石についてないが……ここでルミナに黒塗りは、正直ありがたいな)
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