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「私が本物」と叫ぶ奴ほど、だいたい腹に一物抱えてる

ダンスホールは一気に緊張と興奮で包まれた。


二人の『騎士』が現れ、殺されたダグラスに『騎士』を追う盤面ではなくなった。


皆がどうするべきなのか、判断に困っていた。

確定役がいないので、場を(まと)める人間がいない。

その時、スッと手を挙げた一人の女性──。


「あの、私は『霊媒師』です。処刑した人が人狼かそうでないか判断が出来ます」


「クラリスさんが『霊媒師』だそうです」


執事が盤面を整理した。


「……えっ、待ってよ」


「私が『霊媒師』だよ……今出てくる盤面なの? これ」


「ニコさんも『霊媒師』主張です」


ここでホールは再びざわめき、盤面は一気に進んだ。


『占い師』『騎士』『霊媒師』──役職持ちが全て露呈して、それぞれ対抗がいる状態。


(つまり、3人外露呈……)


「それなら、フェリクスを処刑しませんか?」


栗毛のパーマ男が立ち上がり、提案した。


「フェリクスは、『占い師』のリネットから『人狼である』と結果が出されている。『霊媒師』のどちらかは本物なのだから、処刑して確かめるべきだ」


「シモン、正気なの?」


これに反論するのは浅黒い肌の女性だ。


「『占い師』主張は二人いて、ミレイユはフェリクスを『人狼でない』と結果を出してるのよ? もしそちらが真の『占い師』なら、大変なことになる」


「ゼノビアさんの言うことも一理あります!」


丸眼鏡のティアが叫んだ。


「フェリクスさんを安易に処刑するのは、良くないかと」


「いっそ霊媒師をローラーしてみたらどうだろう?」


茶色の長い髪を一つに括った男がボソッと呟いた。


「ヴォルフ、それは本気で言ってるのか?」


そう言ったのは、昨夜談話室にいたロルフだ。


「大真面目だよ。『占い師』『騎士』『霊媒師』に3人偽物が出ているんだから。『霊媒師』をローラーすれば確実に一人の人外を排除出来る」


「『霊媒師』を処刑したら、処刑した結果が分からなくなるわ!」


リネットが反論した。


「それなら『占い師』をローラーすれば良くないか? リネットさんは偽物なのだし」


すかさず、フェリクスがリネット処刑を再提案する。


「私は偽物じゃないわ!! この『人狼』!」


(埒が明かないな……)


「『占い師』も『霊媒師』も大切だわ。情報が落とせるのだから……『騎士』を処刑すべきよ、私はジノの処刑を提案するわ」


今まで静観していたイリスが、突然口を開いた。


「ジノはフェリクスが『騎士』と名乗り出てから、対抗に出てくるのが遅かったわ。私にはジノが偽物に見える」


イリスは鋭い目つきで、ジノを睨みつけた。


(……確かに俺は本物の『騎士』じゃない。なかなか鋭いじゃねぇか)


「ジノは昨夜、ダグラスに話しかけられて、面倒そうにしていたわ、私はこいつがダグラスを襲撃したんじゃないかと思ってる」


「それは聞き捨てならない話ね……」


ゼノビアが即座に同調した。


「待って下さい」


ルミナがスッと立ち上がった。

毅然として言い放つ。


「ジノ様が人狼なら、ここでわざわざ『騎士』の対抗に出る必要がありません。潜伏したまま、フェリクスを襲撃すれば良いからです」


「『占い師』も『霊媒師』も二人いらっしゃって、かつフェリクスはリネットから『人狼である』と言われているのなら、フェリクスから処刑するべきです」


「……確かに」


ロルフが頷いた。


「『霊媒師』が二人いるなら、『霊媒師』が襲われる可能性も低い。『占い師』の真偽もつくし、『騎士』の処刑に賛成だ」


「俺はフェリクスを処刑しろと、最初から提案してたからな!」


シモンが得意げに言った。


民意が『騎士』のフェリクスの処刑に流れ始めた。


「……そんな僕が本物の『騎士』なのに」


フェリクスが項垂(うなだ)れた。


シモンが一際大きな声で、


「それじゃ、処刑はフェリクスで決まりだ」


ジノはホッと胸を撫で下ろした。


(……危なかったが、どうにかなりそうだ)

読んでいただきありがとうございます。

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