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『試験』と名の付く場所で床が抜けないと思ってる奴は人生の落とし穴にもハマりやすい

「お前はその場にいなかったし、そもそも自分の力で突破するもんだろ……」


「姫様はちゃんと連れて来てるじゃない!」


リネットは納得がいかないようだ。


(先越されたのも悔しいけど、姫様だけ連れて行くのもなんかイヤ)


「ルミナは魔導の塔へ連れて行くって決めてただろ」


「二人とも喧嘩は辞めて下さい!」


ルミナが仲裁に入り、(ようや)く二人は黙った。


「えーっと、もう移動していいかな?」


完全に傍観していたジークが聞いてきた。


「さっさと案内しろよ」


「──それなら、行ってらっしゃい」


その瞬間、足元の床が抜け、全員落下した。

落ちる瞬間、こちらを見下ろすジークは笑っていた。


「きゃああああああーーーーっ!!」


(……あんのクソ野郎、姫ごと落とすとは)


ジノは咄嗟に魔法で落下を止めた。

宙に浮く格好になり、漂うルミナを自分の方へ引き寄せる。


「ジノ様!」


ルミナの腰を抱き寄せ、辺りを見回す。


(……リネットは?)


リネットの姿は見つからなかった。


「リネットは下まで落ちたかな……」


「大丈夫でしょうか?」


ジノは上を見上げるが、床自体消失していて、上に戻る意味はない。


(やたら反響してたし、幻影だろうなぁ)


「とりあえず下まで行くしか」


ジノは目を凝らして下を見る。


「……うーわ、趣味悪いな」


地面に蠢く無数の虫。見るからに不快になる。

リネットが虫の山に埋もれていた。


「ジノ様、どうしたんですか?」


「下には行かない方が良さげ」


(ルミナにわざわざ見せるものじゃないだろう)


「きゃ……ぎゃあああああああーーーーっ!!」


「む、虫ぃーーーーっ!!」


正気を取り戻したリネットが、火炎魔法で虫を焼き払っていた。


ある程度処理したところで、悠々と降下する。


「あんた、また私を見捨てたわね……」


リネットの恨み節に、ジノは何処(どこ)吹く風だ。


ジノはルミナの腰を抱き寄せたまま浮いている。

ルミナも当然のように腕を回していた。


その絵面(えづら)にリネットはただ怒りを覚えた。


「だ、大丈夫ですか?」


「自分はしっかり落下防いでた癖に……」


ルミナの心配する声すら無視した。


「あのさ、これは試験なんだぜ?」


ジノの言うことはもっともだ。

理屈では分かっているのに、どうにも腹が立って仕方がない。


「落ちないように対処出来ないお前が悪いだろ」


リネットは全く、反論出来なかった。


(……こんなの八つ当たりだ。私が何も出来なかったのが悪いのは分かってんのよ)

読んでいただきありがとうございます。

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