『運命で結ばれてる』とか言う女の突進を躱すとだいたい後ろの男が死ぬ
「みなさーーーーん、真っ直ぐ列から外れないでねーーーーー!!」
車両を降りたジノ達に聞こえたのは、誰かが乗客を誘導している声だった。
何処かで聞いたような声にジノは背筋がゾッとする。
遠目に声の主をチラッと確認するが、ゴツイ上半身に金髪のツインテールはどう見ても──。
「あらー、ひょっとしてルミルミじゃない?」
「リリィさん!」
(チッ、見つかった……)
「てか、どうしてお前がここにいるんだよ?」
「そ、その声はジノたん!!」
リリィはジノの姿を見つけると、両腕をくねらせながら走り、突っ込んで来た。
「ジノたぁーーーーん!!」
それを華麗に躱わすと、リリィはジノの背後にいたルカに突進する形になった。
リリィに押し倒されたルカは動けない。
ルミナは口をぽかんと開けて固まった。
「やだわぁ、ジノたんたら…」
「お、重い」
「あら、ここにもイケメン!!」
「うわああああああーーーー!」
ルカの悲鳴は、暫く続いた。
ジノは見てはいけないものから、目を背けた。
双子達もあまりの突然の事態に固まっている。
「プッ、面白いもん見た」
ジークは腹を抱えて笑い出した。
「塔主様、不謹慎ですよ……」
隣にいたリネットが嗜める。
「どうして、リリィがここにいるんだ?」
ジノが不思議そうに尋ねた。
ルカに覆い被さったまま、首だけこちらに向けたリリィが答えた。
「首都のギルドに行くのよ。そう、ジノたんのことでよ!」
「まさかギルドカードの件?」
「そうよ! マスターがギルドカードの仕組みは、魔導の塔の塔主が詳しいから、直接聞いてこいって……」
その場の全員が、ジークに視線を移す。
「うん?」
ルディがジークを指差した。
「魔導の塔の塔主ならそこに……」
リリィはジークを見つめた。
「キュピーーーーン!!」
リリィの目に映ったのは、灰金髪の銀縁丸眼鏡の男。
ジークは危機を本能で察した。
「……魔導の塔で待ってる」
そう言い残すと、リリィの渾身の突進の前に姿を消した。
「んもーーーぅ、あのイケメンメガネ君、何処に行っちゃったの!?」
キョロキョロして辺りを見回す。
小さなコウモリが、ジノの肩に止まった。
「ジーク様が、ジノ様といろって」
「アイツ、自分だけ逃げやがったな……」
茫然自失のルカを放置し、ジノはリリィを他の皆に軽く紹介した。
「冒険者ギルドのリリィよ。みんなよろしくね!」
「それにしても、首都に行こうとした列車で、ジノたんと再会出来るなんて……」
「やっぱり私達、運命で結ばれてるんじゃない?」
「それは違うと思います」
笑顔で強く否定したのはルミナだった。
「あら、ルミルミちゃんたら。言うようになったわね!」
「リリィさんには負けません」
「そういうことなら、私はジノに負けたくないわ」
リネットまで参戦し、見えない火花が散る。
(一体何の勝負をしてんだろう? こいつらは)
よく分からず、首を傾げるジノ。
一方双子は、まだ放心して動かない兄を眺めていた。
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