『話せば長くなる』とか言う奴に限ってだいたい三分の一も伝わらないし残りの三分の二はだいたい自慢話
ルカがすかさず口を開いた。
「箝口令を敷く」
ジークはニヤリと笑い、いきなり本題から入った。
「帝国皇室は既に魔物の巣窟だ」
「!」
「現皇太子は魔物とすり替わっている」
ジノを除く、その場の全員が驚く。
「……それは確かなのですか?」
ルカがジークに再度確認を取る。
「魔導の塔主の私が、こんなところで嘘をつく必要がない」
ジークは不快そうに口を尖らせた。
「どうしてそんなことに……」
ルミナの呟きに、ルディも同調する。
「どうして、魔物に皇室が乗っ取られてるのですか?」
「話せば長くなるのだが……」
ジークはゆっくりと話始めた。
「元々帝国の皇太子に当たる王子は生まれつき病弱で、成人まで生きられないと言われていた」
これにはルカも頷く。
「確かに。後継者には向かないと噂に聞いていた」
「そんな皇太子が突然元気になり、病に倒れた皇帝に代わり、執政まで行うようになったのだ。不自然だろう?」
一同が顔を見合わせ納得する。
「早い話が、皇后が側室の生んだ皇子に皇位をやりたくなくて、魔物と契約し、自らの息子を魔物に変えた」
「!!」
「……現皇帝は婿養子だからな。純潔主義の皇后は、何としても自分の息子に皇位を継がせたい」
ルカが掠れた声で呟いた。
「……たとえ魔物と手を結んでもか」
「皇帝の病も、おそらく皇后と皇太子の仕業だろうな。タイミングが何もかも良過ぎるだろう?」
「我々魔導の塔は、帝国内に拠点を構えるが、完全に独立した機関だ。皇太子の正体については、調査して裏付けを取ったので間違いがない」
「それは信用出来るのですか?」
疑い深いルカに再度聞かれ、ジークはみるからに膨れっ面になる。
「私自身が調査した。証拠はこいつだ」
ジークは懐から、ネメアを取り出した。
小さなコウモリを一同が凝視する。
「そんなみんなで見ないで! 恥ずかしいじゃない」
ジークの掌の上で、小さなコウモリが顔を翼で覆った。
「喋るコウモリ!?」
ルカが目を見開く。
「これは皇太子の使い魔だったものを、私が調伏した。つまり皇太子の正体は……」
食い気味にリネットが答える。
「吸血鬼!」
「コウモリが使い魔って……」
ルディが溜め息をついた。
「吸血鬼は魔物の中でも高位の存在だ」
チラリとジークがジノを見つめる。
「……何だよ?」
「現魔王も吸血鬼の一族だと言われている」
「つまり、皇太子は魔王に近い存在だと仰りたい訳ですね?」
ルゥの言葉に、ジークは頷く。
「魔導の塔の次期塔主と、ルミナス王国の王女との結婚ということになれば、帝国皇室に牽制は出来る」
「次期塔主!?」
その場の全員の視線が、ジノに集まる。
ジークはゴホンと軽く咳払いをして続けた。
「勿論、魔導の塔は実力主義なので、次期塔主の座は、実力で獲得して貰う」
「……何だよそれ。めちゃくちゃだろ」
ジノがボヤいた。
「縁談の返事はまだなのだろう?」
ジークがルカに訊くと、ルカは頷いた。
「あぁ、まだです。これから返事に……」
「キッパリ断るんだ」
ルミナの目を真っ直ぐに見つめて、ジークが言う。
「首都に到着次第、次期塔主選抜試験を開催する」
「そこでジノが勝ち抜けばいい」
(どうして、どいつもこいつも俺をいつも巻き込むんだ?)
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