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好きな男の胸元に潜り込むためなら、人間をやめることなんて安い御用だ

部屋のドアがノックされて全員が目を覚ます。

窓から日が差し込み、朝になったと分かる。


ジノが少しドアを開けると、老人が盆を持って立っている。


「サービスの朝食だ」


(素泊まりじゃなくて、朝食まで付くのか? 流石にこれは……)


盆を受け取ると、老人は階下へ戻っていく。

盆には一切れのパン、野菜スープ、そしてミルク。


王女の変化が解けていることに、ハムスター達も首を(かし)げていた。


「姫さんの薬が切れたのは、たまたま薬の効果が薄かったか……」


「それで、この胡散臭(うさんくさ)い飯をどうするか」


胡散臭(うさんくさ)いんですか?」


「いや、そりゃ……たったの50Gで、朝食付きなんか聞いたことがない」


ジノはハムスター達に目線を移す。


「ジノ様? まさか……」


「こいつらで試そうかと一瞬思ったが、毒でも入ってたら、致死量だな……」


その言葉に、ハムスター達が一斉(いっせい)にジノに飛びかかった。


「っ痛ぇ! 冗談に決まってんだろ……」


「ルディ、ルゥ!!」


姫の制止で、(ようや)くジノから離れたが、一匹はまだ鼻息が荒い。


「つまり、俺が食うのが正解かな」


「えっ?」


ジノはパンを千切って、スープに付けて一口食べた。

ジノの顔が一瞬歪む。


(……ふむ。これは)


「……お前達は、バスルームに隠れてろ」


そう言うなり、ミルクを一気に飲み干すと同時に、その場でぶっ倒れた。


「えっ、ジノ様!?」


動揺するルミナの袖を、ハムスター達が必死に引っ張る。


「えっ?」


「ジノ様はバスルームに隠れてろって……」


こくこくと(うなず)くハムスター達。

ルゥがぴょんと荷袋の上で跳ねる。


ルミナは意を決して、荷袋だけ手に取るとハムスター達を連れて、バスルームへ隠れる。


(しばら)く息を潜めていると、ドアを開ける音、そして複数人の足音が響く。


(誰か来た!)


「……相当、値打ち物の剣を下げてた。こいつは高く売れそうだ」


「荷も、上等な薬草だ」


「こいつも行商人っていう割に、細いが丈夫そうな身体(からだ)をしてる」


「若いし、顔は……おっと、こいつは奥様方にモテそうだ」


(……なんてこと、この人達は、ジノ様を(さら)う気だわ!!)


ルミナは居ても立っても居られず、荷の中から変化薬(へんげやく)の袋を取り出すと、躊躇(ためら)いもせずに一粒飲み込んだ。


そして、みるみる再びハムスターの姿に。


(ジノ様から離れる訳にはいかないわ)


「キュッ!?」(姫様!?)


双子の制止も聞かず、無我夢中で飛び出した。

浴室のドアの下の隙間から、運び出されそうになっているジノを目指す。


何とかギリギリ間に合って、するりと胸元に滑り込んだ。


取り残された双子のハムスター達は、もうどうすることも出来ず、顔を見合わせる。


ルミナはジノの懐から、様子を(うかが)う。

昨日の荷馬車の親切な男と、後の二人は知らない男だった。


「よし、袋に入れて運ぶぞ」


ジノとルミナはすっぽりと大きな袋に入れられてしまった。


男に(かつ)がれて、部屋を後にする。


「親父、また頼むぞ」


「あいよ」


宿の入り口でそんなやり取りを聞きながら、あっという間に外に運び出された。


馬車の荷台に乗せられたようで、(しばら)くして馬車が走り出す。


ルミナの心臓は早鐘のように打っていた。

ジノの心音を聞きながら、ギュッと目を(つぶ)った。


(ジノ様……)


当のジノは寝息を立てて眠りこけていた。

誰も読んでないやんけwwww

更新は淡々とするで〜

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