勇者の仕事は魔王を倒すことだが、その前に大抵『パシリ』という試練が待っている
こんにちは
この辺何書いたのかあんまり覚えてなかったり
赤毛に白金髪の三人はとにかく目立つ。
平穏地味をモットーに生きてきたジノからしたら、三人は住む世界からして違う人種だった。
裏通りの魔法道具屋で、高級な魔法薬を金に糸目をつけずに買おうとしている。
変装──そんな生易しいものではない。
これは変化だ。
「姿は変わりますが、効果時間は長くないですね」
「流石に5分は短過ぎるだろ」
「姫様の美しい御髪を、染める訳にはいかないですからね……」
店主が勧める物はどれも今ひとつだった。
一番効果の長い物は、動物の姿に変化するもので、双子と王女はどうにも決めかねている。
手持ち無沙汰のジノは、ふと店の外を見やる。
「!」
路上でゴザを敷いて、商売をしているフードの子供。
「何やってんだ? アイツ……」
子供は顔を上げて、明らかにこちらを見ている。
「……」
「ジノ様、どうされました?」
窓の外を見ていたジノに、ルミナが声を掛けた。
「いや……」
しかし、ジノの視線の先を追っていたルミナは、路上にいる子供の存在に気がついてしまった。
「あら?」
「ジノ様、外で何か売ってますわ」
「ルディ、外を見て来るわね」
「あっ、姫様!」
ルミナはジノの手を引き、魔法道具屋を出る。
「どんな物をお探しでしょうか?」
フードの子供は、顔を上げずに単調な口調で尋ねる。
「変化薬が欲しいのです。なるべく効果が長いものはありますか?」
「それなら、一日中持つ物もあります」
(こいつは何をしてんだろうか?)
フードの子供は、いくつか小瓶を取り出した。
「変化薬にも種類があります。実在する他人に変化するもの、自分の姿を歪ませるもの、どちらをご希望ですか?」
「……ええと、この場合、どちらが良いのでしょうか?」
王女がジノを見上げて、首を傾げた。
ジノは返答に困ってしまい、フードの子供に提案する。
「……で、お前は、何してん?」
「?」
「折角、勇者一行の危機を、華麗に救う魔法使いをやろうと思ったのに」
ぶつぶつ言いつつ、フードを脱ぎ、ふわふわの金髪巻毛が顕になる。
「こいつは森の賢者でイリアス」
「まぁ、ジノ様のお知り合いで……?」
王女はその場で膝を折って頭を下げ、
「私はルミナス王国の第一王女……」
口上を聞くのが面倒なようで、途中でイリアスがそれを遮った。
「挨拶はもう良い。ルミナ王女」
「あっ、はい、イリアス様」
ジノは早急に要件を伝える。
「これから、帝国へ侵入するんだとさ。目立つから、変装が必要だ」
「大体は把握しておる。帝国内の聖域からも穢れを感じるからな」
(こいつは何処まで事情を知ってんだ?)
「帝国で不穏な……戦争を仕掛けるみたいな話があるんだが、ひょっとして聖域の穢れも関係あるのか?」
イリアスは口を尖らせて、うーんと唸った。
「全く関係がないとは、言い切れんが……」
「変装などと、面倒なことはせずに、私が帝国内へ転移してやろうか?」
「!!」
「──但し」
イリアスはじっとジノを見つめ、言葉を続ける。
「一方通行だ。私は同行出来ぬ上、帝国内の何処に飛ぶのかも分からぬ」
「狙った場所に送れるんじゃ?」
「穢れが邪魔をしておるから、精度が落ちてしまう。行きたい場所に行けるかは保証しかねる」
「それなら、変装して行く方がマシじゃね?」
「ふむ」
「……あの、ジノ様」
王女がおずおずと話し始めた。
「私達の誰か一人が行商人となり、他は皆、小動物に変化するのはどうでしょう?」
「王女、それは割とアリかもしれぬ」
「あっ、本当ですか? 行商人の手形も、それなら一枚で済みますし……」
(どうせ手形も偽造するしなー…)
「姫様」
ルディ達が、いつのまにか背後に立っていた。
「その案ですと、行商人の役は、勇者のこいつで決まりです」
読んでいただきありがとうございます。
ここに何を書くのか毎回迷うなぁ




