表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
晩餐のおとぎ娘  作者: つぶ貝
少女と皇太子
14/15

十四.「麻婆豆腐・其の弐」

すずめは内心焦っていた────

とんでもない食材を食べてしまったかもと……。


「先帝は争いが嫌いで、そもそも民の事なんて考えてねぇ奴だった。…自分が幸せになれればそれで良い人間。」

皇太子達はそんな帝に呆れていたという。

「まさか…、真心茗荷(マゴコロミョウガ)を食べさせて、自分と同じ思考にしようとしてたってことですか!?」

絆現(バンケン)は頷き、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。

「あのジジイが天辺なんて…───そもそも無理な話だったんだ。」

「バ、絆現(バンケン)さん!!───言っときますけどあたしは洗脳なんて考えてませんからね!?」


すずめの慌てた様子に、絆現(バンケン)は鬱陶しい…と小声で呟いた。

「んな事ァ分かってんだよ。…──問題は黄榴(ファンリィ)の事だ」

「…もしかして、例の身代わりの暗殺事件のことですか?」

「あれは別件だ───黄榴(ファンリィ)は、西の国・黄昏(トワイライト)という国から入内した……ちと厄介な妃だ。」


黄榴(ファンリィ)の生まれ故郷・黄昏(トワイライト)(ロン)国は深い親交があった。

貧しい黄昏(トワイライト)の国の衣食住を支援する代わりに、守護神である「麒麟」の加護を、瓏国は国の平和の為に与えてもらう約束をしていた。それは、麒麟の血が流れた姫を瓏国の妃として入内させる事だった。


黄榴(ファンリィ)が、帝とその一族を殺そうとしているのは間違いない。身代わりが殺されたのは確かに別件だったが、試食会で皇太子を殺そうとした食婦(しょくふ)は、黄榴(ファンリィ)の為に自滅したんだ。後で妃が疑われないようにな」


黄榴(ファンリィ)様は……どうして先帝を憎んで、殺そうとしているのですか?。無理やり入内させられたとしても…殺そうとするなんて!」

「…───黄榴(ファンリィ)の母親を殺した───正確に言えば「心」を…だけどな」


すずめは息を呑んだ。

(心を…?)


「おい───そこで何をしているの?」


後ろを振り返ると、琵琶(ビワ)が立っていた。


「ビ、琵琶(ビワ)様!?」


「…そろそろ夕餉の時間だけど───まさか、まだ出来てないなんて言うんじゃないよね?」

「い、いえ!、黄榴(ファンリィ)様の夕餉はできてます!。今から持っていこうと思ってて…」


琵琶(ビワ)は不機嫌そうに「さっさと持っていけ」と急かす。

すずめは内心「なんだコイツ偉そうに…」と、思いながら盆に乗った麻婆豆腐を持って小走りで麒麟宮へと急ぐのだった。

絆現(バンケン)───君は自分の立場を理解していないようだけど…」


琵琶(ビワ)は射抜くように絆現(バンケン)を睨み付けた。

「へいへい。()()は大人しくすれば良いんだろ?」

「…あの娘は、今夜の晩餐に死ぬ───」

「!……どういう意味だ」

「君があの娘を助けたいと思う気持ちがあるなら…───既に「心」を動かされた証拠だね。」


琵琶(ビワ)は不気味な笑みを浮かべた。

黄金色の瞳は、夕闇に染まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ