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晩餐のおとぎ娘  作者: つぶ貝
少女と皇太子
11/15

十一.「麒麟の姫」

四方の青龍宮(せいりゅうきゅう)白虎宮(びゃっこきゅう)朱雀宮(すざくきゅう)玄武宮(げんぶきゅう)には、四神妃(しじんひ)が暮らしている。四神妃(しじんひ)はただの上級妃ではなく、東西南北を守る役割などもあり、後宮の人間からは「四方の守り神」や「守妃(しゅひ)」とも呼ばれていた。

そして───中央にある麒麟宮(きりんきゅう)に暮らす特別な妃が黄榴(ファンリィ)妃。

国の四方と中心の幸運の象徴として崇められている。


「な…なんで皆さんお揃いなんですかね?」


通常であれば、麒麟宮(きりんきゅう)に足を踏み入れることは許されないが、すずめは後宮を仕切る宦官の琵琶(ビワ)に手配をしてもらい、特別に黄榴(ファンリィ)妃と面会をする機会を設けられたのだ。

───何故か蓮幻(レンゲン)藍幻(ランゲン)絆現(バンケン)も一緒に……


「僕は仲介役でっ」

「私は妃の診察で」

「俺は…着いてきてやったんだ!。…お前一人じゃ危なかっし──」

ゴンッ!!!!

偉そうに言う絆現(バンケン)の脳天に藍幻(ランゲン)の拳が振り下ろされた。

「何故貴方が偉そうにしてるのでしょうか?。」

「…いってぇなッ!!!!。何すんだこの馬鹿力!!!」

「ケンケンが小鳥(シャオニィ)にちょっかいかけるからいけないんだよ?。」

「その呼び方やめろ!!!」


(うわあ…、痛そう。)


この三人はお互いに面識があるらしい。

特に共通点も無さそうなのに、意外と仲が良さそうなのが不思議だ。

(この三人の感じ何処かで見たような──)


小鳥(シャオニィ)~、丁度黄榴(ファンリィ)妃と会えるきっかけが出来て良かったよ~。琵琶(ビワ)くんには頼んではいたんだけどねぇ…。」


なかなか難しくて…と、蓮幻(レンゲン)が頬をぽりぽりと掻く。

琵琶(ビワ)の性格上、真っ当な理由でなければ

ただの食婦(しょくふ)と妃が交流することなんて許される筈がない。然し、蓮幻(レンゲン)黄榴(ファンリィ)妃が暗殺事件に使われた煙草について何か知っているのならば、どんな手を使ってでも情報を手に入れるだろう。

今回はまぐれかもしれないが。


黄榴(ファンリィ)妃は、どうやら精神的に参ってるみたいです。新しい環境に慣れてないのが原因っぽいですが…」

「…───それだけでは無いかと思います」

藍幻(ランゲン)がぽそりと呟いた。

すずめが藍幻(ランゲン)に理由を問いただそうとした瞬間、間が悪く女官が現れた。


「お待ちしておりました…。琵琶(ビワ)様からお話しはお伺いしております。(わたくし)黄榴(ファンリィ)様の侍女を務めている(シー)と、申します。」

「は、初めまして!、すずめと申します。」


(シー)は弱々しく微笑みながら深々と頭を下げた。


黄榴(ファンリィ)様は…、今日はまだ機嫌が良い方なのですが…───」


黄榴(ファンリィ)が中に居ると思われる一室の扉を、(シー)は恐る恐る叩いた。


すると


バンッ!!!────


(と、扉が勝手に開いた!?)


独りでに開いた扉の先には

黄金色の常服(じょうふく)を身に纏う、薄紫色の瞳をした美しい妃がこちらを睨み付けていた。


(シー)!!──麒麟宮(きりんきゅう)何故(なにゆえ)そのような下賎な人間を入れたのじゃ!!。直ちに追い出せ!!!」


(めちゃくちゃ怒ってる…っ!!)


黄榴(ファンリィ)様…お許し下さい。琵琶(ビワ)様の計らいでございます。」


(シー)が少し脅えながら黄榴(ファンリィ)に伝える。


「…麒麟の眠りを妨げたのじゃ。その命が幾つあっても足りぬ事くらいは分かっておろうな?」


すずめは黄榴(ファンリィ)の威圧感に一瞬怯む───と、思ったが…そうではない。


黄榴(ファンリィ)様──本当に申し訳ございませんでした…!」

「謝れば良いものではない」

「因みになんですが……───麻婆豆腐はお好きでしょうか?」


ぐっぎゅるるるるるるるーーーっ


美しい妃から腹の虫の大合唱が響いた。


「き、貴様……───な、何故(わらわ)の好物を……」


すずめは口角を上げて

「その腹の虫が証拠です」

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