放課後
棚からぼた餅が落ちてきた?
じゃあそれを食べて思いっきり楽しもう☆
トンネルをくぐって、山道を超え、車をパーキングに停めて、駅に戻った。最初に新幹線に乗ったときに感じたワクワクはもうなく、あまり何もしていないはずなのに、疲労感だけが体に残っていた。
重い足を引きずりつつ2号店の扉を開ける。
「おかえり、鈴木君」
「た、ただいま戻りました。」
相変わらず神崎は鈴木のことを睨み続けていた。結局なんなの…。怖い…。
「おかえりー」
麻績は良くも悪くもいつも通りみたいで安心である。
「…神崎さん、早いですね。何に乗って帰ったんですか?」
「ヘリで送ってもらったんだよ。専属の運転手の人に頼めば乗せて貰えるよ。」
あれ、そうだったのか。なら、なぜ池田はわざわざ時間のかかる方法を選択したのだろうか?鈴木はあとで聞いてみることにした。
「じゃあ、全員そろったし、改めて自己紹介するね。名前は神崎倫太。年齢は20歳くらい。趣味は野鳥観察。得意武器は剣。まぁ、勇者とでも思って…とは言わないけど。よろしく!」
「ぱちぱちぱちー」
「…よろしくお願いします!」
そういえば、麻績の自己紹介はまだである。
「そうそう、そろそろ5月か。異変の減少月だね。今月は穏やかそうで嬉しい。」
「あ、そんなのあったんですか?」
「あれー、鈴木君、あんまりそういうの聞いてませんかー?」
そういうのは、緑塚から聞く予定だったのだろう。
鈴木は、仕事の基本は最初の数日で教わったけど、いろいろイレギュラーがあったから、その後の詳しいことはあまり知らない、と伝えた。
(…。)
「なるほどー、じゃあまだ知らないこともありそうですねー」
「なんか今すぐ知ったほうがいいことあるっけな?」
2人でうーんとした後、麻績が鈴木に振り返ってこう話した。
「おそらく…、今すぐにはないですー、基本的なことは教わってるのでしょー?」
「はい。だいたいは。」
「異変調査免許の更新方法とかはー?」
「聞きました。」
「じゃあ大丈夫かな?その他にもいろいろ聞いていると思うし。」
少し不安だったけど、まぁ大丈夫なのかもしれない。
「連絡先は交換してるのでー、何かあったら伝えましょうかー」
「あ、じゃあ、神崎さんの…連絡先も…。」
「わかった。」
あれ、結構すんなり。めっちゃ見てきて怖いけど、
話せば通じる…。なんか変な人ではないのかな。やっぱり怖いけど。
「じゃあ、僕からも何かあったら伝えるよ。」
「…はい、わかりました。ありがとございます。」
「うん。」
うーん、怖いなぁ。もっと笑ってくれればいいのに。
「じゃあ私はそろそろ帰りますー」
「さようならー。」
「お疲れさまでした。」
麻績さんが滑らかな動作で帰っていく。多分、通勤のときの動きが重いタイプだ。
「さて!鈴木君。」
「はいっ?!」
なになになに!神崎さんがめっちゃわらっ、…笑ってきてる!怖い!!!笑ってとは思ったけどこういうことじゃない!!
「いきなりだけど…、仕事つらくないかい?」
「へ?」
え?
「まぁ、当然の反応だ。まずちょっと説明するね。僕はもともと、2号店に来る予定だったんだよ。緑塚先輩の提案でね。」
神崎はせき止めていたものを吐き出し始めた。
「ただ、異変が手強くて…。時間がかかってね。本当は、君の初仕事のとき…、僕も一緒に行く予定だったんだ。」
「…。」
「その後のは君が一番知っているだろう。君が緑塚さんの最後の後輩だよ。」
神崎はそこまで一気に喋ると、落ち着こうとしたのか、深呼吸してから続けた。
「緑塚先輩が言ってたんだ。新しく後輩が来たんだけど、素直すぎるから、この仕事がつらくならないか心配だって。」
鈴木は、思い返すと緑塚からよく話しかけられたり、質問されたりすることが多かったことに気づいた。
いや、それは自分が話しかけなさすぎたからかもしれないけれど。でも、よくかまってもらっていた。
そうか。そんな風に思われてたか。
「だからさ。大丈夫かなって。」
「…はい!まだ特に、そんな、何か不満に思ったりはないです。」
「本当に?」
彼なりに心配してくれているのだろう。鈴木は嬉しかった。嬉しかったが。…目が怖いんだよなぁ。
「…はい!」
「そうか。」
そういうと、神崎さんは今度はニッコリと笑った。
「…ちなみに、もう一つ聞きたいんだけどさ。僕、ちゃんと笑えてる?」
「へ!?」
何で!?
(何で?)
あ、でも、さっきの笑顔より全然マシだ。
「はい。い、いい笑顔です!」
「そう、ありがとう。」
さっきまでは作り笑顔な感じもあったが、こんどはちゃんと嬉しそうな笑顔に変わった。
「じゃあ、これで最後だけどさ。…黒い奴によろしく。」
(…!)
「…黒い奴って。」
鈴木と黒眼は同じことを思った。この場で話題に出る、黒い奴といったら一つしかない。
「じゃね。また明日。」
そういうと、神崎はさっそうと用意を済ませ、これ以上は何も話すことはないと、扉を空けて出ていった。
「黒い奴。」
(なんだい?…と言いたいところだけど。そうじゃないんだろ。僕も驚いてるよ。)
改めて思ったけどさ。お前は俺の恩師の敵なわけだ。何でこんなに仲良くいるんだろうな?
(知らないよ。でもいいだろ。いろいろ手伝ってあげてるんだから。)
まぁいい。神崎さん、何か分かってそうだったけど、どう思う?
(何となくは気づいたんだろうね。だって僕は敵だろ?)
そうかな。
(あとはよく見てるね。あいつ。指が黒くなってるのに気づいてた。)
そういうことな気がするね。でも神崎さんは悪い人とも、変な人とも思えない。いや、変な人ではあるかもしれないけど。
とにかく、何かやばい力を持っているわけではないだろうし、お前がいるから、僕個人に危害が加わるのを望むわけでもなさそう。
(そうだね。お互い、特に問題はなさそう。)
鈴木は、そろそろ黒眼を追い出す方法を考えようと思った。まぁ、今すぐに気にしてもしょうがないから、いったん忘れよう。そろそろ久しぶりの休暇になるだろうし、メリハリはつけなきゃ。
街角異変調査屋2号店、全員集合!
ということで、これ以上増やすつもりはないです。
キャラ付けわかんないし…。
個人的には鈴木達をごりごり前線に送り込んで
ゴリゴリ戦闘してもらいたいのですが、そうもいかないので、そろそろ休暇パートです。




