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またあした。  作者: 竹の花
2章.不尽の魔王編
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おはよう

知りたくないことに目を背けていたら、

きっと空しか見えなくなる。

…。


目を開けた。


もう朝かと思ったが、外は暗い。

そう感じて、天井からすっーと壁に視線を移した。


まだ、朝の3時だった。


天井へと目を戻す。二度寝しよう、と思った。


目をつぶる。


「…無理だな。」


鈴木は体を起こした。池田のほうを見ると、昨日の夜と同じように、穏やかに横を向いて眠っていた。

夢の事がどうにも気になって、何となく眠ることができそうにない。

そうだ。

黒眼、居るか?


(ん?おはよう。どうしたの?)


あぁ、いたか。お前さ、『秩序』とか、『混沌』とかって、知ってる?


(知ってるよ。結構名の知れてる異変らしいからね。)


そうか。…なんか詳しい事って知ってるのか?


(そうだな。『秩序』はね、主に魔王に力が集中するようになっている集団なんだよね。討伐依頼出たんでしょ?魔王を叩くってのは正しい判断だよ。)


もう、黒眼について、今更驚くことはない。


(逆に『混沌』は、全員の力が均等に強い。それに、能力も特徴的なものが多い。こっちのほうが相手に回せないね。)


なるほど。


(ちなみに、過去にも『秩序』と『混沌』のバランスが崩れた事があるから、それについての報告書とか、本部で調べればあるんじゃないかな。)


すらすらと情報が出てきた。鈴木は、このことに関してどう思えばいいのか戸惑っていた。

黒眼の言うことが嘘ではないと思えるのだ。しかし、信頼ではない。信用でもない。


(ボクに嘘を付く理由が無いからね。アイツラの事なんかどうでもいいし。)


…ま、そういうことにしておくよ。


そういって、鈴木は立ち上がった。まだ朝早いとはいえ、起きるとトイレに行きたくなってきたのだ。


(あれ、ブーメラン持たなくていいの?アイツ、なんか言ってたじゃん。)


あ、そういえば確かに。


鈴木は、バックに目を移した。ブーメランは入りきらないので、バックからいつも少し飛び出している。ケースに包んでいるから危険性はないが、バックをしまうときに、時々手痛くぶつかることもある。

その時のことを思い出し、鈴木は少し笑った。


ブーメランのケースを背負って廊下に出る。薄暗かったが、歩けないというほどではない。


「…急ごっと。」


音を立てすぎないように注意しつつ、廊下の先にある扉へと飛び込んだ。


そうして用を足した後、また廊下に出た。さっきは気にならなかったが、結構暗くないか、ここ。

それに、眠気も出てきた。やっぱり二度寝すべきだろうか。


「部屋、戻るか。」


うっすらとしている照明をちらっと見つつ、少し長い廊下を歩く。そうしてだんだん部屋に近づくにつれ、鈴木はあることに気づいた。

麻績の部屋の扉が、ほんの少し開いている。


だからなんだと思うところだろうが、昨日の麻績のことを思いだすと話は変わってきた。あの後起きたのかとか、夜ご飯を食べたのだろうかとか、なんとなく気になることはある。


中をなるべく見ないようにしつつ、鈴木は扉をノックした。


「麻績さん、起きてますか?」


声をかけてみる。


「麻績さん?」


寝ているのかもしれない。それはまあ当然かもしれないが、しかしそうやって考えると、あまり声をかける気にはならなくなってきた。


「とりあえず、大丈夫だったのかな?」


そう思ったので、鈴木はおとなしく戻ることにした。また起きた時に聞こう、と思いつつ。とはいえ、まだ少し心配はあった。

ちらっと、部屋の中をのぞく。変なの見ちゃったら黙っておこう。と考えた。


「…!」


その時、自分がブーメランを持った意味を、理解した。



…。


目を、開ける。


気づいた。ここは、自分の見知ったところではない。

麻績は、とてつもない警戒をしながら、全身を逆立てるように飛び起きた。


「、ゴホッ…!?」


思わず咳込んだ。それに、全身に力が入らない。飛び起きてすぐ、麻績は今度は倒れ込んだ。


「こ、ここは、どこなんでしょうか…」


目もよく見えない。けれど、天井が真っ白なことは分かった。それに、床が妙にふかふかしているのも、何となく感じていた。


「病院ですかね?」


思い出すところまで思い出したい。そう思ったけれども、頭も痛くて、何かを考える気力が無くなってきていた。

その時、ガチャリと扉の開く音がした。


「あ、おはよう。麻績さん。」


「…神崎さん?」


「そ。調子は大丈夫?ほんと何日も寝たきりだったんだよ。鈴木君が凄い心配してた。」


神崎はのんびりこちらに歩いてくると、ぬっと顔をのぞき込んできた。何ともいえない、複雑で、暗い表情を浮かべている。

…ともかく、ここは安全な場所、なのだろう。


「ここは、病院ですよね」


「うん。…2人さ、なんか、いろいろあったみたいだね。」


「…そうですね」


「そっか。とりあえず、病院の人呼んでくるよ。」


そう言って、神崎は扉から出ていった。



しばらくすると、今度は打って変わって、ドタドタと駆ける音が聞こえてきた。

何だ、誰だろうと考える間もなく、部屋の扉は勢いよく開いた。


「ゆづきちゃ〜〜ん!!!」


「あれ、ちづる?」


少し泣きながら入ってきたのは、髙橋千鶴…、私の親友だ。彼女は扉を開けると、そのままの勢いでこちらに飛びついてきた。


「大丈夫なのぉ!!心配したんだからぁ!!!」


「だ、大丈夫だよ、元気だから、ほら」


自分の顔をみた瞬間、千鶴は顔を赤くして、急に大泣きし始めた。

心配させまいと、起き上がって力こぶを作ってみせた。千鶴にみせる、いつものポーズだ。


「嘘つきぃ!!顔に元気じゃないってかいてあるよぉ!!」


が、しかし、上手くいかなかったようで、千鶴はますます顔を赤くし、少し怒ったような口調になった。

とてつもない勢いで泣く千鶴に困っていると、後ろからもうひとつ人影が近づいてきた。


「こんにちは。麻績さん、お久しぶりですかね。」


「あ、木村さん」


木村は、大泣きする千鶴を見ながら苦笑いを浮かべた。同じ支部の人間でもなかなかこういう姿を見ることはないだろうから、驚いているんだろう。


「神崎のヤローからいろいろ聞きました。なかなか大変だったみたいで。」


「そう、ですね」


何も覚えていないとは言わないほうがいいかな。


「って、木村さんも、手に包帯巻いてるじゃないですか」


「あぁ、これは…、ちょっと数日前の異変でやっちまいましてね。」


「そうですか、大変でしたね」


「…、お互い様ですよ。」


ぼんやりと、木村はそう返事をした。

そうこうしている内に、またいくつか足音が聞こえてきたのを感じた。そろそろ病院の人が来たのだろう。


「おはようございます。麻績結希さん。」


その予想は合っていたが、もう一人、今、一番会いたかったような、一番会いたくなかったような、彼も来ていた。


「…、麻績さん。」


「鈴木君、」


控えめに病室に入ってきた彼は、ここにいる誰よりも辛そうな顔をしていた。それに、何だか声も上の空な感じがする。


「えっと、その、お元気ですか…?」


「はい、大丈夫です」


「そうですか…。良かったです。」


じっと見つめてみても、なぜだか目を合わせようとしてくれない。少し経って何となく焦れったくなってきた。それで、口を開こうとしたとき、それを遮るように、鈴木はしゃべり始めた。


「その、謝りたくて…。麻績さんの鎖、使えないくらいボロボロにしてしまったので…。」


ぼそぼそと口から出てきたその言葉を、理解しようとして、次の言葉を待った。


「首、大丈夫ですか?」


そう聞いて、急にまた、頭が痛くなってきた。

たぶん、考えないほうが、いい。

麻績は、ベッドにうずくまる千鶴を気にしながら、また横になった。


「…。」


何かいい返事をしようとした。でも、それより、頭が痛いのが強かった。


「麻績さん、しっかり休んでくださいね。」


酷く疲れた声がして、少し後、去っていく音が聞こえてきた。


私に、何が、いろいろあったのだろう、と、そう思った。

夏なのでね。

どんどん書こう!

と思うて書いておりまする。



みなさん、魔王たちのこと、まだ覚えてますか?

なんかアイツラのほうが楽しく生きてそうで辛いですね(笑)

たぶん、そろそろ出てくると思います。

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