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またあした。  作者: 竹の花
2章.不尽の魔王編
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16/24

不尽の魔王

アルヒ トゥ テリュス

「魔王様!」


緊迫した声が洞穴に響いた。洞穴といっても、壁は綺麗に整えられ、カーペットもひかれ(少し古いが)、真ん中には黄金で仕立てられた立派な椅子、いや玉座が置かれている。さながら城の玉座の間…、といったところである。


「ご報告いたします!」


魔王は玉座の上でうっすらと目を開けた。仮眠をとっていたのだ。

いや、正確には、ガッツリ寝ていたし、ほんの数日前に起きた後またしばらく寝ていたので、ガッツリ二度寝、といったところである。


「なんだ…ワレは仮眠をとっていたというのに。」


「ずっと寝ていたでしょう!そんなことより、不味いことになりましたよ!」


魔王は、こいつ輪切りにしてやろうかなと少し思ったが、やめておくことにした。

ここは薩摩…、というと、部下に訂正された。今は鹿児島県と言うらしい、である。久しぶりに桜島の中の玉座の間で目覚めた魔王は、溶岩風呂の計画を立てつつ、部下の報告を聞いていた。


「つい先日に放った軍勢のうち、3つほどがすでに倒されていました!」


「ふむ…。確かに、昔と比べると大きく違うといえよう。あやつらは一つの軍勢に1週間はかかっていたからのう。」


魔王は大きいあくびを一つした。こんなことをするから、部下に少々舐められるのである。


「しかし、それの何が問題だというのだ。あやつらに充分な損害は与えられているからな。のう、テュモス。」


「あぁ、良かったです、魔王様。お久しぶりに目覚めたものですから、オレに気づかないかと思いましたよ。」


その声が聞こえるなり、天井のシャンデリアから、「テュモス」と呼ばれた部下が降りてきた。

大きい翼を翻し、兜が光に反射する。

ちなみに、自分たちは起きていた風に話していたが、部下たちも全員封印されていたので、あまり魔王に知った口を叩くことはできないはずなのだが…。


「テュモス。舐めたことすると。魔王様、怒っちゃう。また輪切りされたくない。やめて。」


今度は、玉座の後ろから声が聞こえた。声質は幼い少女のようだが、どこか知的な響きがある。

その声の主は、玉座の後ろからのそのそと、目元以外の全身を布に包まれて現れた。背丈もだいぶ小さい。


「まぁ、良い、エピシミア。久しぶりの再会だ。喜ぼうではないか…」


「お言葉ですが魔王様!そのようなことをなさるから、我々の魔王様に対する敬意というものが損なわれるのではないでしょうか!」


トドメの一撃かというように、突然大きな声とともに玉座のある部屋の扉を勢いよく開いた。そこには、青年ほどの背丈の部下が立っていた。白く長い特徴的な服を身にまとい、青髪で、茶色の眼鏡をかけている。


「ロゴスか。外出でもしていたのか?」


「それより、先ほどの質問に応答していただきたく!」


「たぶん、お前が一番魔王様を舐めてるぞ。」


何となくズレた掛け合いをしつつ、魔王は、やっぱりこいつら輪切りにしようかなと真剣に考えたが、後ろでエピシミアが泣きそうな目をしたので、やめておくことにした。


「我はあまり固い雰囲気は嫌いなのだ…。部下と少々仲の良いぐらいが丁度よいではないか。」


「なるほど!承知いたしました!」


そういうと、ロゴスはまた勢いよく扉を閉めて出ていった。我からの質問には結局答えぬのか。魔王は、やっぱりあいつだけは輪切りにしようと思いつつ、ヌブマとエピシミアにも戻るよう目配せした。自分で呼んだとはいえ、こうもうるさくなると面倒くさい。


「はいよ、魔王様。またあとで。」


「魔王様。ばいばい。」


テュモスとエピシミアは、今度はなぜか律儀に扉から出ていった。全く、変な部下を持ってしまったものだ。…いや、部下が部下なら上司も上司か。

まぁ、どうでもよい。

一通り静かになったところで、魔王は目の前で困惑しきった表情でいるものに声をかけた。


「さて、報告を遮って済まなかった。続けろ。」


「あ、はい。」


その部下は一瞬呆れた表情をして報告の続きを始めた。


「軍勢が倒された3カ所のうち、2カ所では以前と同じような状態だったのですが、一つ異なった状態になっている地域がありまして。」


「ほう?」


「そこの地域のみ、被害無しで抑えられているようです。」


その報告を聞き、魔王は一気に大きな笑みを浮かべた。


「ほう!面白い!そのようなことをできるようになったか、あやつらは!」


あの軍勢は、《将軍》が人を剣で殺す、もしくは重傷を与えることで増えていくような仕組みになっている(神崎たちが見たとおりである)。それを被害無しで済ませられるとは、流石に魔王も一切思っていなかった。

魔王は、自身が人間を侮っていてよかったと思った。侮っていなければ、今の状況がこれほど面白いとは思えなかっただろう。


「ちなみに、どのような技を使ったかはわかったか?」


「その点に関しては不明ですね。」


「そうか。わかった。」


魔王は更に大きく笑った。何も分からないなら、研究する余地があるというものだ。


「もう下がってよいぞ。」


「あ、いえ、もう一つ。」


「…なんだ?」


「魔王様の封印を解いたもののなかに、一人、『将軍』の素質を持ったものがいました。」


ほう。運がいい。あの場にいあわせたのなら異変調査屋の連中だろう。どうしてやろうか。異変調査屋の本部に戻るなら、そこで《将軍》にさせるのも面白そうだ。


「いかがいたしましょう?」


「ひとまず放置してよい。また条件が整ったら、導入も考えよう。」


魔王は喜びを抑えるのに必死だった。結果としては、いい目覚めになったではないか。


「それでは、報告は以上です。」


「礼を言う。今度こそ、下がってよいぞ。」


部下が去るのを見ながら、魔王は思案を巡らせた。世界はたった数百年でどこまで一気に変わったのだろう。

私が以前いた世界とは人間の技術が大きく向上しているに違いない。

異変調査屋の人間どもも大きく変わっているはずだ。

楽しみだ…!楽しみだぞ人間どもよ!


「ふふふふふふ…、」


扉の閉まる音がした。


「ワレの尽きぬ好奇心は、貴様らから受けたものだ!」


待っていろ人間よ。


「このワタシ、《不尽》の魔王、アンデリロ=リガードが今までにない最上級の土産を添えて還してやろうではないか!」


魔王の笑い声が、辺りに高らかに響いた。

ついに魔王キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!


・魔王アンデリロ=リガード

 通称、《不尽》

 魔王、等と肩書を持っていますが、彼自身の性格は研

 究者などに近いと思います。

 イメージとしてはよくある魔王でいいと思います。

 強いて言うならアンダーテールのアズゴアっぽい気がし

 ます。

 一人称は「ワレ」。


・テュモス

 にゃんこ大戦争のグラヴィティに甲冑(プレートアーマ

 ー)の兜をかぶせたイメージでいいです。

 一人称は「オレ」です。


・エピシミア

 ほぼメジェドです。一人称は「シミア」の予定。


・ロゴス

 着てる服はBLEACHの石田の滅却師の服みたいな感じ

 です。1000年決戦編のやつが近い。顔は特にイメージ

 ないです。

 一人称は「ワタクシ」の予定。

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