⭐️ 第百四十六話 総攻撃、来たる⭐️
一 集結
決戦の、朝が——来た。
ヴァルガルドの、宣告通り——七日後。
北の、地平線を——埋め尽くす、黒い、軍勢。鉄帝国ヴァルガルドの、全軍。澱みの力で、強化された、兵が——数万。
大地を、踏み鳴らし。アステリアへ——押し寄せてくる。
だが——アステリアの側も。
もう——独りでは、なかった。
「来たな」ヴィナが——カトレアを、抜いた。ファーストレディの、ドレスでは、なく。剣士の、装いで。
「ああ」アルクは言った。「でも——こっちも、揃ってる」
アルクの、隣には——仲間たち。
そして——背後には。
武の国ガラントの、軍勢。ゼルダが——戦斧を、担いで、先頭に。
「待たせたな、アルク殿——!」ゼルダが、笑った。「ガラントの、精鋭——一万。貸しは、返すぞ!」
空には——ウィンドラ族の、翼の、群れ。シエルが、率いて。
「空は——任せて!」シエルが、叫んだ。
故郷からも——ゴウダが、率いる、冒険者の、大軍が。エニの門を、通って、駆けつけていた。
「アルク——!」ゴウダが、叫んだ。「故郷の、冒険者——千人! 暴れさせて、もらうぞ!」
知の国の、支援物資。発明した、武器《浄めの刃》と、防具《守りの軽鎧》を、装備した、防衛隊。隠密部隊。多種族の、戦士たち。
「アステリアは——独りじゃ、ない」アルクは言った。「みんな——ありがとう」
二 開戦
ヴァルガルドの、全軍が——迫った。
その、先頭。
巨大な、黒い、鎧を、まとった、男が——馬上に。鉄帝国ヴァルガルドの、皇帝、バルドル。
「新興国、アステリア——!」バルドルが、叫んだ。声が、戦場に、轟いた。「同盟国を、呼んだか。だが——無駄だ! 我が、ヴァルガルドの、力の前には! 全軍——突撃ぃ!!」
数万の、ヴァルガルド軍が——津波のように、押し寄せた。
「迎え撃つぞ——!」ライナが、筆頭武官として、叫んだ。「配置に、つけ!」
「バルガ——!」アルクは、叫んだ。
「任せろ——!」バルガが、ヴェルガルムを、地に、突き立てた。「《不落の城壁》——!!」
アステリアの、前面に——巨大な、光の城壁が、立ち上がった。ヴァルガルド軍の、第一波を——受け止める。
「ガドル——!」
「おう——!」ガドルが、《開拓の豪傑》で。「大地よ——立てぇ!」
戦場の、大地が——隆起し、岩の、壁と、なって。ヴァルガルド軍の、側面を、塞いだ。戦場を——アステリアに、有利な、地形に、創り変える。
「リィナ——!」
「了解です——!」リィナが、トニトルスを、掲げた。「《嵐の瞬獄雷・極》——!!」
極大の、雷が——空を、覆い。ヴァルガルド軍の、一角を、撃ち抜いた。
三 アルク、無双
「俺も——行く!」アルクは言った。
「アルファ——!」
『おうっ!』アルファが——竜化した。橙色の、リボンを、なびかせ。アルクを、背に、乗せて、舞い上がる。
「《自己付与・全開》——!!」アルクが、全力の、付与を、自らに。竜化アルファの、桁違いの、付与で
——アルクの、力が、爆発的に、跳ね上がった。
アルクが——竜の、背から、戦場に、飛び降りた。ヴァルガルド軍の、ど真ん中へ。
「《創生・百刃》——!!」
空間に——無数の、光の刃が、出現し。雨のように、降り注いだ。ヴァルガルド軍の、一帯を——一掃する。
「まだまだ——!」アルクは、叫んだ。
アルクは——新たな、技を、繰り出した。
「《創生・武装顕現》——!!」
アルクの、両手に——巨大な、双剣が、創られた。光を、まとった、双剣。
アルクが——それを、振るう。一振りで、十人。二振りで、二十人。ヴァルガルドの、兵を——次々と、薙ぎ倒していく。爽快に。だが——命までは、奪わず。澱みの、鎧を、砕き、戦意を、削いで。
「速い——!」「あの男、一人で——軍勢を!?」ヴァルガルド兵が、慄いた。
「アルクさん——すごい!」ネッサが、後方から、叫んだ。
四 天門連撃
ヴァルガルド軍が——アルクを、囲もうとした。四方から。
「囲んだぞ——!」「賦活師を、討て!」
だが——アルクは、笑った。
「囲んだ、つもりか?」アルクは言った。「俺には——関係ない」
「《創生・天門連撃》——!!」
アルクの、周りに——いくつもの、空間の門が、開いた。
アルクが——一つの門に、飛び込み。次の、瞬間。囲んだ、兵の、背後の、門から、現れた。斬る。また、門へ。別の、方向から、現れる。斬る。
神出鬼没。
四方から、囲んだ、はずの、ヴァルガルド兵が
——逆に。あらゆる、方向から、現れる、アルクに。翻弄され、一瞬で、無力化されていく。
「ど、どこから——!?」「囲んだ、はずなのに——!!」
アルクが——門を、通って、戦場を、駆け巡る。瞬間移動の、連続斬り。囲みは——意味を、成さなかった。
「これが——アステリアの、賦活師か——!」バルドルが、馬上で、唸った。「化け物め——!」
五 同盟国の、競演
アルクだけでは——なかった。
同盟国連合の、戦いも——爽快を、極めた。
武の国ガラントの、ゼルダが——戦斧を、振るう。
「ガラントの、武を——見せてやる!」ゼルダが、叫んだ。
ガラント軍が——統率の、取れた、突撃で。ヴァルガルド軍の、一角を、突き崩す。さすが——武の国。個々の、武勇が、桁違い。
「ヴィナ殿——!」ゼルダが、叫んだ。「共に!」
「ああ——!」ヴィナが、応えた。「《絆守の剣・カトレア奥義——百花の円舞》——!!」
ヴィナを、中心に——光の、花弁が、円を、描いて、広がった。味方を、守りの円舞に、包みながら ——円に、入った、敵を、花弁の、斬撃で、一掃する。ドレスでは、ないが——舞うように、優雅に、戦う、剣聖。
そして——カトレアから。
亡き、仲間、四人の、魂が——現界した。女神の力で。
「ヴィナ——! あたしたちも、いるぞ!」四人が、笑った。
ヴィナと、四人の魂が——共に、舞う。五人の、剣と魔法が——ヴァルガルド軍を、薙ぎ払う。
「ヴィナ——強くなったな!」四人が、笑った。
「お前たちが——いるからだ!」ヴィナが、答えた。
空では——ウィンドラ族と、《空舞の翼》を、装着した、防衛隊が。
「空からの、攻撃——!」シエルが、叫んだ。
空を、飛ぶ、戦士たちが——ヴァルガルド軍の、上空から、攻撃を、降らせる。地上の、敵は——空からの、攻撃に、なすすべが、なかった。
六 ネッサと、ガレオ
ネッサも——戦った。
「コレン! アクオス!」ネッサが、二体の、召喚獣を、呼んだ。
白銀の、火の狐コレンと、青い、水霊竜アクオス。
「《絆炎・黄金奏》——!!」コレンの、黄金の炎が、敵を、焼き。
アクオスの、水が——味方を、守り、癒す。
「それに——!」ネッサが、《豊穣の招来者》で。「大地の、恵みよ——!!」
戦場の、地面から——無数の、蔓が、伸びて。ヴァルガルド兵の、足を、絡め取る。
「足止め——完了です!」ネッサが、叫んだ。
ガレオも——防衛隊を、率いて、奮戦した。《浄めの刃》と、《守りの軽鎧》を、装備して。義手の、二刀で。
「俺たちは——アステリアを、守る!」ガレオが、叫んだ。「誰一人——通さない!」
澱みに、侵された、敵兵が、迫っても。《守りの誓い》の、ギフトで——住民を、守りながら。
七 煌竜閃
戦況は——アステリア+同盟国連合の、優勢に、傾いていた。
だが——その時。
ヴァルガルド軍の、後方から。巨大な、澱みの、塊が——せり上がった。地下帝国ネブロスの、力を、引き込んだ、ヴァルガルドの、切り札。澱みで、創られた、巨大な、魔導兵器。
「これが——我が、ヴァルガルドの、最終兵器!」バルドルが、叫んだ。「ネブロスの、力で、創りし——澱みの、巨砲! アステリアを——塵に、変えてくれる!」
澱みの、巨砲が——アステリアに、向けて。膨大な、澱みの、エネルギーを、放とうと、した。
「させるか——!」アルクは、叫んだ。
「アルファ——!」アルクは、竜化アルファに、飛び乗った。「一緒に——あれを、止めるぞ!」
『おう——!』アルファが、咆えた。『うちの、炎と ——アルクの、創生で! ぶっ飛ばしたるわ!』
アルクと、アルファが——一つに、なった。
竜化アルファの、橙色の、炎。アルクの、《創生》の、光。それが——融合し。一つの、巨大な、力に、なった。
「いくぞ——!」アルクは、叫んだ。「《煌竜閃》——!!」
竜の、炎を、まとった、創生の、刃。
その、一撃が——澱みの、巨砲を。
真っ二つに——両断した。
爆発。澱みの、巨砲が——粉々に、砕け散った。
「馬鹿な——!?」バルドルが、絶句した。「ネブロスの、力で、創りし、巨砲を——一撃で!?」
「これで——終わりだ!」アルクは、叫んだ。
八 崩れる、軍勢
最終兵器を、失った——ヴァルガルド軍。
その、戦意が——崩れ始めた。
アルクの、無双。同盟国連合の、奮戦。空からの、攻撃。発明武器の、力。——あらゆる、面で、ヴァルガルド軍は、押されていた。
「ひ、退け——!」ヴァルガルド兵が、浮足立った。
「化け物だ——! あんな、軍勢には、勝てん——!」
「逃がすな——!」ライナが、叫んだ。「だが——殺すな! 澱みに、侵された者は——捕らえて、救う!」
ヴァルガルド軍は——総崩れに、なった。
数万の、大軍が——アステリア+同盟国連合の前に。なすすべなく——敗走していく。
「やった——!」ネッサが、叫んだ。「勝った——勝ちました!」
「まだだ」アルクは言った。竜の、背から、戦場を、見下ろして。「バルドルが——まだ、残ってる」
ヴァルガルドの、皇帝、バルドル。
軍が、崩れても——なお、戦場に、踏みとどまっていた。
その、目には——澱みの、光が、宿っていた。
「おのれ——アステリア」バルドルが、唸った。「ならば——私自身が。ネブロスの、力を、すべて——この身に、宿して。貴様らを——道連れに——!!」
バルドルが——自らの、身に。地下帝国ネブロスの、澱みを。一気に、引き込み始めた。
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