第百三十八話 縁を、繋ぐ者
一 新たな、力
セナの村を、守り——アステリアに、戻った後。
アルクは——自分の、新たな、力を、確かめていた。
『お前は——空間を、繋ぐ力を、得た』エニが、言った。『《創生》の、新たな、段階だ。お前が、縁を、結んだ、場所となら——その、空間を、手繰り寄せ、門で、繋げる』
「縁を、結んだ、場所と——」アルクは言った。
『そうだ』エニは言った。『一度でも、訪れ、縁を、結んだ場所。あるいは——お前が、強く、想い、縁の糸が、届く場所。——そこへなら、門を、開ける。距離に、関係なく』
「すごい、力だ」アルクは言った。「これがあれば
——故郷の、澱みの残り火が、暴発しても。すぐに、駆けつけられる。アステリアの、各地にも。同盟国にも」
「アルクさん——すごいです!」ネッサが、言った。「もう、二日も、かけて、移動しなくて、いいんですね!」
「ああ」アルクは言った。「でも——まだ、慣れない。縁の、糸を、しっかり、たぐらないと、開けない。それに——遠ければ、遠いほど、力を、使う。練習が、要るな」
二 無双の、応用
その、新たな、力は——戦いにも、応用できた。
数日後。アステリアに、ネブロスの、魔獣の、群れが、現れた。だが——今度は、いくつかの、亀裂から、同時に。町を、囲むように。
「囲まれた——!」ガレオが、言った。「複数の、方向から、同時に!」
「いや——」アルクは言った。「囲まれてない」
アルクは——《創生》の、力を、使った。
「《創生》——転移の、門!」
アルクの、周りに——いくつもの、小さな、門が、開いた。
アルクは——その、門を、通って。一瞬で、東の、戦線へ。次の、瞬間、門を、くぐって、西の、戦線へ。そして、北へ。南へ。
神出鬼没。
アルクが——各地の、戦線に、瞬時に、現れ、《創生》の、刃で、魔獣を、討ち、《還元》で、澱みを、浄化していく。
「アルクさんが——あちこちに、同時に、現れてる!?」ネッサが、驚いた。
「すごい——!」ガレオが、言った。「囲まれても
——アルクさんには、関係ない! どこへでも、一瞬で!」
アルクは——囲みを、逆に、利用した。門で、自在に、移動し、各個撃破していく。
戦場を——空間ごと、支配する。
それは——まさに、無双だった。
三 みんなを、繋ぐ
アルクが——門を、開く。
すると——劣勢の、戦線に。アルクが、門を、繋ぎ、ヴィナや、ガドルを、瞬時に、援軍として、送り込んだ。
「ヴィナ、東へ!」アルクが、門を、開いた。
「任せろ!」ヴィナが、門を、くぐり、一瞬で、東の戦線へ。「《百花の円舞》——!!」
「ガドル、西だ!」
「おう!」ガドルが、門を、くぐり、西へ。
アルクの、門が——戦場の、あちこちを、繋いだ。仲間を、必要な、場所へ、瞬時に、送り込む。連携が——一気に、加速した。
「これは——すごい」リィナが、データを、取りながら、言った。「アルクが、戦場の、要所を、門で、繋ぐことで。私たちは——どこへでも、瞬時に、駆けつけられる。戦術の、幅が——無限に、広がります」
アルクの、新たな、力は——個人の、無双だけでなく。仲間、全員を、強くする、力でも、あった。
魔獣の、群れは——あっという間に、退けられた。
四 女神の、訪れ
戦いの、後。
アルクが、新たな、力を、噛みしめていると——空が、ふわりと、光った。
女神が、現れた。
『アルク——!』女神は言った。嬉しそうに。『見てたわ! あなた——ついに、空間を、繋ぐ力に、目覚めたのね!』
「女神様」アルクは言った。「ああ。——縁を、結んだ場所となら、門で、繋げる。距離を——越えられる」
『それは——《創生》の、とても、高い、段階よ』女神は言った。『「もの」を、創るだけでなく。「空間」を、創り、繋ぐ。——それができる、賦活師は。長い、歴史でも——ほとんど、いなかった』
「そんなに——すごい、力なのか」アルクは言った。
『ええ』女神は言った。『でも——あなたなら、いつか、たどり着くと、思っていた。なぜなら——あなたは、誰よりも、「届きたい」と、願う人だから。困ってる人の、ところへ。離れた、仲間の、ところへ。——その、願いが。空間すら、越える力に、なった』
「届きたい、という、願いが——」アルクは、つぶやいた。
『あなたの、力は——いつも、誰かのため』女神は、微笑んだ。『無双の、力でも。それは、変わらない。——だから、美しいの』
五 二つの世界を
『そして——アルク』女神は言った。少し、真剣に。『この力が、もっと、育てば。——いつか』
「いつか?」
『二つの世界を——もっと、自由に、繋げるように、なる』女神は言った。『今は、エニが、門を、管理して、繋いでいる。でも——あなたの力が、極まれば。あなた自身が、いつでも、どこへでも。故郷と、この世界を。——いえ、もっと、たくさんの、場所を、繋げるように、なる』
「もっと、たくさんの、場所を——」アルクは言った。
『縁を、結べば、結ぶほど』女神は言った。『あなたの、繋げる、場所は、増えていく。世界中の、人と、縁を、結べば——世界中、どこへでも、駆けつけられる。それは——』
女神が、微笑んだ。
『「全部、救える」という、あなたの、言葉が』女神は言った。『本当に、形に、なる、ということよ。距離も、世界の、隔たりも——越えて。あなたは、誰のところへでも、行ける。与えられる。——縁さえ、あれば』
「全部、救える——」アルクは、つぶやいた。第一部で、皇帝に、言った、言葉。「縁が、あれば。距離を、越えて——全部に、手が、届く」
『ええ』女神は言った。『あなたの、その、願いが。——少しずつ、本当に、なっていく』
六 果てなき、可能性
その夜。
アルクは——一人、星空を、見上げていた。
「アルク」ヴィナが、隣に、来た。「すごい、力に、目覚めたな」
「ああ」アルクは言った。「でも——まだ、入り口だ。縁を、結んだ場所しか、繋げない。遠ければ、力も、使う。——これから、もっと、練習しなきゃ」
「でも——」ヴィナは言った。「お前の、その力が、あれば。困ってる人が、いれば。どこへでも——すぐに、行ける。お前らしい、力だ」
「ああ」アルクは言った。「俺は——ずっと、思ってた。すぐ、そこに、困ってる人が、いるのに。遠すぎて、届かないのが——もどかしいって。でも、これからは——」
アルクは——自分の、手のひらを、見た。創造の、光を。
「届く」アルクは言った。「縁さえ、あれば。どこへでも。——全部に、手を、伸ばせる」
「無双だな」ヴィナは、笑った。
「無双、か」アルクは、苦笑した。「でも——一人の、無双じゃ、ない。みんなを、繋ぐ、無双だ。俺が、門を、開けば——みんなが、どこへでも、駆けつけられる。みんなで——強くなる」
「お前らしいな」ヴィナは言った。
「ああ」アルクは、星空を、見上げた。
空間を、越える、力。縁を、繋ぐ、力。
それは——アルクの「与えたい」「届きたい」という、願いが、結晶した、無双の力だった。
いつか——この力が、極まれば。
二つの世界も。もっと、たくさんの、場所も。自由に、繋げる、ようになる。
距離も。世界の、隔たりも。——越えて。
すべての、困っている人の、もとへ。手を、伸ばせる、ように。
「まだまだ——強くなれる」アルクは、つぶやいた。「みんなと、一緒に。縁を、結びながら」
遠い、地底に——古き王の、影が、蠢いていても。
アルクは——もう、距離に、阻まれない。
縁さえ、あれば——どこへでも、駆けつけ、与え、守れる。
その、果てなき、可能性を、胸に。
星の国の、賦活師は——また一つ、大きな、段階へと、踏み出していた。
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