表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
底辺から始める、《与える》だけの無双伝 ~えぇ、与えていただけですよ?でも実は……知らないうちに守られていました!!♪!!?~  作者: わっぱるぅ
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
133/136

第百二十七話 誇りと、誇り

一 武人の、一撃

 手合わせが——始まった。

 ゼルダが——先に、動いた。


 長身から、繰り出される、戦斧の、一撃。豪快で、しかし、洗練された、武の国の、剣技。その、速さと、重さは——並の、戦士なら、一撃で、沈むほどだった。


 だが——ヴィナは、それを、見切った。

 カトレアで、受け流し——身を、翻す。


「……ほう」ゼルダが、目を、細めた。「私の、一撃を、受け流すか。並の、腕では、ない」

「あんたこそ」ヴィナは言った。「重くて、速い。——いい、斧だ」


 二人が——再び、激突した。


 戦斧と、剣が、火花を、散らす。ゼルダの、豪快な、攻めを、ヴィナが、巧みに、いなし、隙を、突く。一進一退の、攻防が、続いた。


 ガラントの、騎兵団も。アステリアの、住民も。固唾を、呑んで、見守った。

「すごい——!」住民の一人が、言った。「ヴィナ様が——あの、軍団長と、互角に——!」


二 一人の、強さ

 戦いの、中で。

 ゼルダが——感心したように、言った。


「ヴィナ。お前、強いな」ゼルダは言った。「これほどの、剣士は——ガラントにも、そういない。

——だが」


 ゼルダの、攻めが——一段、激しくなった。


「一人の、強さでは——私が、上だ」ゼルダは言った。「武の国で、磨いた、この武。——お前一人では、いずれ、押し負ける」


 ゼルダの、言う通りだった。


 純粋な、個の、武では——長年、武の国で、鍛え抜かれた、ゼルダに、分が、あった。ヴィナの、剣が

——次第に、押され始めた。


「……っ」ヴィナが、膝を、つきかけた。


 以前の、ヴィナなら——ここで、一人で、無理を、して、押し返そうと、しただろう。三年間、一人で、戦ってきた、癖で。


 でも——今の、ヴィナは、違った。


「ゼルダ殿」ヴィナは言った。息を、整えながら。

「あんたは——強い。一人の、武なら、あんたの、勝ちだ。認める」


「なら——」ゼルダは言った。

「でも」ヴィナは——立ち上がった。「あたしは——もう、一人じゃ、ない」


三 縁の、力

「アルク!」ヴィナが、叫んだ。「力を、貸してくれ!」


「ああ!」アルクが、応えた。


 アルクが——ヴィナに、付与を、かけた。アルファの力で。「速く、鋭く、強く」

 エニが——縁の糸で、ヴィナと、仲間たちを、繋いだ。


 ネッサの、想い。ガドルの、想い。バルガの、想い。リィナの、想い。ライナの、想い。ガレオの、想い。——町の、みんなの、想いが。


 ヴィナの、剣に——宿った。

 ヴィナの、《守護の剣聖》が——輝いた。


「これが——あたしの、強さだ」ヴィナは言った。

「あたし、一人の、力じゃ、ない。——みんなと、繋がった、力だ」


 ヴィナの、剣が——一段、鋭く、速く、なった。押されていた、攻防が——一気に、逆転した。

「これは——!?」ゼルダが、目を、見開いた。


「《双花繚乱》——!!」


 ヴィナの、剣が——舞った。仲間の、想いを、乗せて。

 ゼルダの、戦斧を——弾き飛ばした。

 ゼルダの、戦斧が——宙を、舞い、地に、突き刺さった。


 勝負が——ついた。


四 ゼルダの、問い

 ゼルダが——武器を、失い、立ち尽くした。

 だが——その顔に、悔しさは、なかった。むしろ

——困惑が、あった。


「……今のは、何だ」ゼルダは言った。「お前

——途中まで、私に、押されていた。なのに——急に、力が、跳ね上がった。あれは——付与の、力か?」


「それも、ある」ヴィナは言った。「でも——それだけじゃ、ない。あれは——みんなの、想いだ」


「みんなの——想い?」


「あたしの、後ろには——仲間が、いる」ヴィナは言った。「アルクが。ネッサが。みんなが。——あたしが、押されたとき。みんなの、想いが、力を、くれた。あたしは——一人で、戦ってるんじゃ、ない。みんなと、戦ってるんだ」


 ゼルダが——アステリアの、人々を、見渡した。


 ヴィナを、見つめる、仲間たち。住民たち。多種族の、人々。皆、ヴィナを——自分のことのように、応援していた。


「……お前たちは」ゼルダは言った。「皆が——一人の、剣士を、支えているのか。一人の、勝利を——皆で、喜んでいる」

「ああ」ヴィナは言った。「それが——アステリアだ」


五 二つの、生き方

「ゼルダ殿」アルクが、進み出た。「あんたは——

『一人の、強さでは、自分が、上だ』と、言った。その通りだ。個の、武なら——あんたの、勝ちだった」


「アルク——」


「でも」アルクは言った。「アステリアの、強さは

——個の、強さじゃ、ない。みんなで、与え合い、支え合う——縁の、強さだ。ヴィナが、強いのは——一人だからじゃ、ない。みんなと、繋がってるからだ」


「縁の——強さ」ゼルダは、つぶやいた。


「あんたたち、武の国は——個の、武を、磨いてきた」アルクは言った。「それは、立派なことだ。尊敬する。——でも、ネブロスの、魔の獣の、群れに、苦戦してるんだろ? 多くの、戦士を、失った、と」


「……ああ」ゼルダは、苦渋に、満ちた顔で、言った。「我が国の、最強の、戦士ですら——あの、群れの前には、一人では、敵わなかった。次々と——倒れていった」


「一人の、武では——限界が、ある」アルクは言った。「どんなに、強くても、一人は、一人だ。

——でも、みんなで、繋がれば。一人では、退けられない、群れも——退けられる。俺たちが、あの群れを、退けられたのは——みんなで、戦ったからだ」


 ゼルダが——黙った。


「個の、武と。縁の、力」アルクは言った。「どっちが、上とか、下とか——じゃない。両方、大事だ。あんたの、武も。俺たちの、縁も。——だから、ゼルダ殿。脅威と、見なすんじゃなく。——一緒に、戦わないか? ネブロスという、共通の、敵に」


六 武人の、敬意

 ゼルダは——長い、沈黙の後。

 地に、突き刺さった、自分の、戦斧を、見た。それから——ヴィナを、見た。アルクを、見た。アステリアの、人々を、見た。


 そして——ふっと、笑った。


「……負けたよ」ゼルダは言った。「武では、なく。——その、生き方に」


「ゼルダ殿——」


「私は、武の国で、生まれ、育った」ゼルダは言った。「『強き者が、全て』だと、信じてきた。一人で、強く、あれと。——だが、ここに来て、わかった。お前たちの、強さは——私の、知らない、強さだ。一人では、決して、たどり着けない、強さだ」


 ゼルダが——ヴィナに、手を、差し出した。


「ヴィナ。——いい、勝負だった」ゼルダは言った。「お前は、強い。そして——お前を、支える、仲間たちは、もっと、強い。私は——それを、認める」

「ゼルダ殿」ヴィナは——その手を、握った。「あんたも、強かった。一人の、武人として——尊敬する」


 二人の、女剣士が——固く、握手を、交わした。


 武の国の、誇りと。与え合う国の、誇りが——今、互いを、認め合った。

「アルク」ゼルダは、アルクに、向き直った。「我が王に——報告しよう。『アステリアは、脅威に、あらず。共に、戦える、得難い、隣人なり』と。——そして、提案する。ガラントと、アステリアの、同盟を」


「同盟——!」アルクは言った。


「ああ」ゼルダは言った。「個の、武を、誇る、我らと。縁の、力を、持つ、お前たち。——共に、戦えば。ネブロスの、脅威にも、立ち向かえる。お前の、言う通りだ」

「ありがとう、ゼルダ殿」アルクは言った。

「——よろしく、頼む」


七 鋼の、友

 その夜。

 ゼルダと、ガラントの、騎兵団を、もてなす、宴が、開かれた。


 ネッサの、ごちそう。星の雫。歌と、竪琴。


 ゼルダが——星の雫を、一口、飲んで、目を、見開いた。

「これは——うまい!」ゼルダは言った。「ガラントの、武人は、皆、酒好きだ。——この酒、ガラントでも、売れるぞ!」

「ぜひ!」ネッサが、商会長の、顔で、言った。「ガラントとの、交易も、お願いします!」


「商売、上手いな」ゼルダは、笑った。


 ヴィナと、ゼルダは——すっかり、打ち解けて、酒を、酌み交わしていた。


「ヴィナ。お前——昔は、一人で、戦っていたな?」ゼルダは言った。


「わかるか」ヴィナは言った。

「同じ、匂いが、する」ゼルダは言った。「私も——長く、一人で、強く、あろうと、してきた。だが——お前は、仲間を、見つけた。——羨ましいよ」


「あんたも——見つかるさ」ヴィナは言った。「武の国にも、仲間は、いるだろう」

「……そうだな」ゼルダは、少し、笑った。「これからは——アステリアという、仲間も、できた」


 二人の、女剣士が——杯を、合わせた。


 アルクは、その光景を、見て、微笑んだ。


 武の国との、初めての、出会い。

 それは——力比べから、始まって。

 今は——友情に、変わっていた。


「アルク」ヴィナが、言った。「いい、出会いだったな」

「ああ」アルクは言った。「ガラントとは——いい、友に、なれそうだ」


 星空の下。


 アステリアに——また一つ、大きな、縁が、結ばれた。


 武の国、ガラント。


 力を、尊ぶ国が——縁の、強さを、認めた、夜だった。

お読みいただき、ありがとうございます。

ご評価、リアクション、ブックマーク頂けますと執筆の励みになります。

どうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ