第六章 言ってはいけないこと
二年の期末試験は大荒れだった。
翌日から学園はその話で持ち切りだった。
一年生は一年後の自分たちはどうなるのかと不安がり、去年同じ試験を受けたはずの三年生ですら顔を青くしていた。
当の二年生――中でも参組の動揺はとくに大きかった。
壱番隊所属の東堂梓は当然として、京極杏も次期五指隊候補として期待されていた実力者だ。そんなふたりでも歯が立たない怪異が現れて、揃って入院した。
「東堂くん、全治三ヶ月らしいよ」
「うわー……」
「いまもまだICUにいるんだって。生命に別状はないらしいけど、心配だよね」
「うん……それに杏ちゃん、大丈夫なのかな」
「……これ絶対内緒なんだけどね」
「えっ、なになに」
「じつは杏ちゃんのほうがヤバいんだって」
「どういうこと?」
「けがはないんだけど、メンタル壊れちゃってるって……ひとりになったら五分も経たずに泣きわめいちゃって、トイレにも行けないって。部屋の電気も消せないから、家族が交代で付きっきりの状態らしいの」
「えー……」
「かわいそう……それじゃ――」
そんなことは椿ですらも聞いていなかったのに、どこから聞きつけたのか、すでに噂は完全に広がってしまっていた。尾びれ背びれはついているかもしれないが、根も葉もある噂だから余計にタチが悪い。
チャイムが鳴った。
たったいま昼休みが終わったが、きょうは朝からずっと自習が続いている。
そもそも教室内に候補生が七割程度しかいない。しかも、それは参組だけにかぎった話ではなかった。
教官室を覗きに行ったクラスメイトが、顔を赤くして唾を飛ばしていた。
「退学届の持ち込みとか、一般高校への転校の相談がきのうからずっと続いてるらしいぜ!」
教室内での会話は、ずっとこんな調子だった。
「私も転入しよっかな……なんだか怖くなってきちゃった」
「ね……あの東堂くんと杏ちゃんでもあんなになっちゃうんだもんね」
「私はそんな気ないんだけど、うちの親がもうカンカンになっちゃってさ。他の子の親とかも巻き込んでるの。恥ずかしいからやめてほしいんだけど――」
そんな会話や相談にはいっさい乗らず、椿はずっと机に突っ伏したままだった。クラスメイトも、とくに話しかけたりはしない。
やさしさというよりは、腫れ物に触れたくないような距離感だった。
「神宮寺さんも大変だったね」
「いえ、わたくしは――」
「聞いたよ。なんかお化けみたいな怪異を祓ったんでしょ。すごいね」
「あれはわたくしだけの力ではなく――」
柊は、杏がいないことを気にかけたグループに囲まれていた。その気遣いはありがたく思いつつも、柊の意識はずっと椿に向けられていた。
そうこうしているうちに、やっとひとりの教官がやってきた。
「きょうはもう帰りなさい」
午後の二コマ目の途中だった。教官はそれだけ言うと足早に肆組の教室へ向かっていった。
そんなことを言うだけなら放送ですませても良さそうなものだが、教官側にも色んな考えがあるのだろう。ついさっきまで騒がしかった教室は、水を打ったかのように静まり返っていた。
その静寂を打ち破るように、がたっ、と椅子の動く音がした。
全員の視線が一斉に集まる。それらをぜんぶ無視して、椿はさっさと教室から出ていった。
●
教室を出た椿は、普段なら絶対に訪れない場所――図書室を訪れていた。
「失礼しまーす」
鍵は開いていたが、中は真っ暗だった。開いていた、というより閉め忘れたのだろう。
照明のスイッチを入れると、パッと暖色の照明が灯った。目の前に広がる馬鹿げた光景に、思わずため息が漏れた。
なにせ高等学校程度の養成機関の図書室のくせに、吹き抜けで二階層もあるのだ。ずらりと並ぶ背の高い書架と敷き詰められた文献の背表紙を見ているだけで、頭が痛くなってくる。
「ふぅ」
気合いを入れ直し、入り口横に設けられた検索用の端末に触れる。本には詳しくなくとも、こういった機器の扱いはお手の物だ。
手際よく探している資料の区画に当たりをつけると、怪異に突撃するかのような険しい顔で書架の間を進む。
ほどなく目当ての区画にたどり着いた。背表紙を吟味し、何冊かを手に取って、近くの机に投げるように置いた。
そうして乱暴に音を立てて椅子を引く。
それからは食い入るように資料に目を落としていった。かと思えば、目当てのものではないと断じると雑に置く。そうして不要な資料がある程度溜まると、テキトーに書架へ戻す。
それを何度も繰り返していく。
「………………」
しばらくして、ようやく欲していた情報が見つかりはじめた。必要な資料だけを机に広げ、不要な資料は足元に転がした。
(ここからだな)
カバンからガーゼに包まれた紙片を取り出した。
梓に託された土蜘蛛の手がかり。
その紙片に記された内容を確かめるために、図書室を訪れたのだ。
そっとガーゼを広げて、紙片を取り出し――
「それがずっと引っかかっていたことですか」
「うぉっ!?」
ガタガタッ、と音を立て椅子から転がり落ちた。ひっくり返ったまま、椿は声の主に言った。
「驚かすなよ、神宮寺……」
「すみません」柊が差し伸べた手を取り、立ち上がる。
「ずいぶん熱心に資料を探していましたね」
「……ああ」
「その紙片は――」
「なんでもない」
紙片を雑にガーゼで包むと、目当ての資料だけを持ち去ろうとする。まるで逃げるように柊の隣を抜けようとして、
「待ってください」
腕をつかまれた。
「なんだよ、オレちょっと忙しい――」
「どうして、なにも話してくれないんですか?」
「なにが?」
「杏さんたちのことです」
つかまれている腕が痛む。
必死ににぎり締めているのだろう、柊の腕は震えている。
「東堂さんとなにを話したかは訊きません。けれど、やっぱりなにか隠していますよね」
「おまえ、なに言って――」
「もしかして、ひとりでなんとかしようとしていませんか?」
答えられなかった。
図星だったから、というのもある。だがそれ以上に、柊の表情があまりにも鬼気迫るものだったから、首を縦にも横にも振れなかった。
「べつに、オレは――」
濁そうとしてやめた。
柊は真剣にふたりの身を案じ、こうして自分の元まで来ている。ここで誤魔化したり、あしらったりするのは誠実でないと思った。
「……梓と杏がやられたんだ。オレがこの手で仇をとらないと、気がすまないんだよ……!」
子どもじみていると笑われてもいい。
それでも、
「ぶっ殺してやる……! あの土蜘蛛も、他の怪異も……! オレから大切な人を奪う怪異は、全部祓ってやる……!」
それは梓以外にはじめて見せた、番匠谷椿の偽りのない本音だった。
まるで牙を剥いた肉食獣のような目で柊に言った。
「だから、邪魔しないでくれ。神宮寺には迷惑かけないし、そもそもおまえには――」
「関係ない、とでも言うつもりですか」
スッ、と。
図書室の空気が一気に冷え込んだ。風もないのにふわり、とカーテンが揺れる。
椿は眉をひそめた。
柊の身体から、陽炎のように霊力が立ち上って揺らめいている。
現役の祈祷兵や学園の教官たちを何人も見てきたが、こんなのははじめて見た。
「番匠谷さんの気持ちはわかりました。わたくしも似たような思いを抱いています」
「だったら――」
「そのうえであえて言わせていただきます――うぬぼれないでください」
「――は?」
うぬぼれている?
だれが?
自分が?
「ちょ、っと、意味がわかんなかった……神宮寺はオレを買いかぶりすぎだな、はは……オレ頭わりぃんだから、もっとわかりやすく――」
「番匠谷さんのことは、ずっと馬鹿だと思っていました」
「………………」
「けれど、認識をあらためざるを得ません。――番匠谷さんは大馬鹿です!」
「んだと!」
詰め寄る。
頭ひとつ低い少女は、椿に負けず劣らず険しい表情を浮かべている。
「黙って聞いてりゃ調子に乗りやがって! 何様のつもりだ!? あぁ!?」
「それはわたくしの台詞です! なにをひとりで抱えているのですか!? ひとりでなんとかできると、本気で思っているのですか!?」
「できるできないの話じゃないんだよ! やるかやらないかだ!」
「やった結果次第では、東堂さんや杏さんがいま以上に傷つくかもしれないとわかったうえで言っていますか!?」
「っ、それは……」
「番匠谷さんの過去は訊きません。怪異に対する思いや考えも尊重します。ですが、いまのあなたはただの無鉄砲です。そんなことでは討てる仇も討てないのではないですか?」
「くっ……!」
「気持ちはわかりますが、もう少し冷静に物事を考えてみてください」
ぐうの音も出ない正論だった。
なにも言い返せない。
だから椿は、静かに――それでいて癇癪を起こした子どものように吐き捨てた。
「黙れよ……! まともに破魔矢も当てられないくせに……!」
柊のまぶたが、ぴくりと揺れた。
「偉そうに講釈垂れてるけど、結局は嫉妬してるだけだろ! 梓や杏の仇を討ちたくても討てない自分がなさけないから、オレに八つ当たりしてるだけだろ! そんなに言うなら、おまえだって自分でなんとかしてみろよ!」
違う。
こんなことが言いたいんじゃない。
そう頭では理解しているのに、口が――心が止まらない。
「神宮寺家の次期当主だかなんだか知らないけどな! 時代遅れの祈祷師が、軍用祈祷にまで偉そうに口出してんじゃねぇよ! 破魔矢の一発もまともに当てられないくせに、生まれつきの化け物みたいな霊力にかこつけて、好き勝手言うのも――」
乾いた音が響いた。
「……あっ」
沸騰していた頭が一瞬で冷え切った。口の中がカラカラに乾いているのは、一瞬前まで叫んでいたせいではない。
柊は顔を真っ赤にし、己の手を押さえていた。ふるふると震える手と身体は、さきほどまで椿を睨みつけていた少女とは思えないほど弱々しい。
吸い込まれそうな深い黒瞳から、一筋の雫が伝った。
「最低です」
柊は踵を返し、図書室から出ていった。
頬を押さえたまま、椿はしばらくその場から動けなかった。
●
「くぁ……ぁっ」
「ずいぶんと疲れているではないか、杠」
「ったりめぇだろ。朝からずっと退学と転校の相談やらされてんだ。腰がいてぇよ」
「うへぇ……担任になってクラスを受け持つなんて、あたしには絶対無理だね!」
「おれだって好きで雑兵どものお守りなんかしねぇよ。ったく」
虫の鳴き声ひとつない夜。パソコンのモニターだけが怪しく光る教室に、三人の教官がいた。
お互い気安く軽口を叩いてはいるが、教室の空気は鉛のように重い。
「で?」
「ちゃんと調べといたよ。あー、疲れた! 報酬がないとやってらんない」
「どんな取引があれば、私の膝枕が報酬になるんだ?」
むっちりとした膝枕を堪能しながら、桃が言った。
「榊くんの言うとおり、こないだの期末試験で暴れた土蜘蛛は人工の怪異で間違いないよ。血中霊値の純度が高すぎるし、Ω波にあそびが少なすぎる。BP値やMR値も――」
「専門用語並べんのは論文か学会だけにしろ。素人にもわかりやすく言え」
「怪異としての完成度が高すぎるの」
膝枕から立ち上がり、キーボードを叩く。カタカタと音を立て、モニターに様々な数字や検分の結果が流れる。
それをざっと流し見しながら桃は見解を述べた。
「ただし、生物学的に見れば欠陥しかないよ。……というより、あんなの生物じゃない」
「どういうことだ?」と楓。
「生体機能を戦闘力に全振りしてるから、それ以外のすべてが壊滅的。食事も取れないし、繁殖もできない。生まれてから壊れるまで暴れ続けるだけの……怪異というよりは、使い捨ての生体兵器だね」
「あんな灰から、よくそこまでのことがわかるものだな」
「ま、怪異生物学の権威! この綾小路桃様の手にかかれば――」
「わーったわーった」
堂々と見得を切ろうとしていた桃の白衣を榊がひっつかむ。長い裾を踏み「むぎゃっ!」と奇声をあげて、桃はひっくり返った。
「まあ、綾小路教授による生体兵器についてのありがたい講義は、またの機会にゆっくりと拝聴させてもらえればいいわけだが」
座っていた椅子から立ち上がり、楓は机に置かれた試験管を手に取った。中に詰まっているのは真っ白な灰――土蜘蛛の成れの果てだ。
「問題はこれを造った大馬鹿者がどこにいるのか、という話だが――」
「あっ……くっ、その話はまた次にしようぜ……もう帰って寝てぇんだよ」
と、榊が伸びをしながら言った。いつも以上に寝癖も激しい。
ふたりの視線が榊に集まる。
桃が逆さまの状態で露骨にため息をついて言った。
「いくらなんでも、それは無理があるよ」
「なにがだよ。こちとら疲れて頭回んねぇんだっての」
「どうせ貴様だけで好き勝手に暴れるつもりなのだろうが、そうはいかんぞ」
「あのなあ、どうしておれが――」
「そして、あとの尻ぬぐいだけをわたしたちに押し付けるつもりなのだろう。いつもの手には乗らんぞ」
「………………」
榊は内心で口笛を吹いた。
さすが付き合いの長いふたりだ。こっちが考えていることは筒抜けらしい。ふたりのことは信用しているし、信頼も厚い。だからこそ、こうして色々と話しているわけだが。
(とはいえ、さすがに今回はヤマがヤマなんだよなぁ……)
自分の考えているとおりだとしたら、相当にまずい。つつく藪がデカすぎるし、出てくるのもおそらく蛇どころの話ではない。相当に大きな龍か虎だ。
(しゃあねぇな)
本当はもう少しふたりにも協力してほしかったが、これ以上情報を与えると、ふたりのほうが突っ走りかねない。あとのことは自分でなんとかするとしよう。
「わーったわーった。ちゃんと巻き込むからいったん待てよ。おれだってまだ確信持てねぇんだ、ちゃんと尻尾つかんだら共有すっからよ」
「その言葉に何度騙されてきたことか」
「ねー!」
「ぐっ……! 少しは信用しろよ……! 同期のよしみだろ」
「その同期のよしみを、貴様が何度も裏切ってきた結果がこれだ」
「ねー! ほんっと、榊くんって油断ならないからね!」
「言いたい放題かよ……ったく、まぁいいや。とにかく次はおれのターンだからな」
ふたりがジト目を向ける中、榊は三人の秘密基地――理科準備室をあとにした。
●
暑い。
まず感じたのはそれだった。
次に硬い感触を全身で感じて、椿は目を覚ました。
着ているティーシャツは汗でぐっしょりとしている。首の壊れた扇風機は仕事をしていたが、うだるような暑さを前にまったく役に立たなかった。
クーラーが欲しい、と言ったのは自分だったか、梓だったか。ついこの間そんな話をしたとこなのに、まるで思い出せなかった。
「あっ……くぁっ」
あくびを噛み締め、へたった革張りのソファから起き上がる。文字盤が半分割れた時計に目を向けると、昼過ぎだった。
頭を振って廊下に出る。
ひとりで秘密基地に泊まったのはいつ以来だったか、まるで思い出せない。
それに答えてくれる相棒は、ここにはいない。
トイレで用を足し、そのまま手洗い場で雑に顔も洗う。
気持ちいい。
つい頭まで洗いたくなって、やめた。タオルもないし、着替えもない。汗でぐしょぐしょに濡れているとはいえ、これ以上気持ち悪くなるのは避けたい。
そんなことを気にしている自分に、ひどく嫌気がさした。
あのあと図書室から出て、気がつけばここに来ていた。頭の中のもやもやを振り払うように筋トレして、的当てして、持ってきた資料を読み漁った。
そういえば貸し出しの手続きをしなかったが、まぁいいだろう。そもそも図書委員もいなかったし、鍵を閉め忘れたやつが悪いに決まってる。
そう、自分が悪いんじゃない。
「……なにやってんだか、オレは……」
自分が悪いに決まっている。
勢いよく蛇口をひねって、噴き出した水を頭からかぶる。
梓や杏のことがあったとはいえ、きのうのアレは完全に八つ当たりだった。自分のことを心配して注意してくれた少女に、売り言葉に買い言葉とはいえ最低の暴言を吐いてしまった。
「どっちが嫉妬してんだよな……」
柊は実際に土蜘蛛を祓っている。それに比べて自分はなにをした。
梓の放った破魔矢はたしかに効いていなかったが、もしも自分にまともな霊力があればまたべつの方法が――
「いま考えることじゃないな」
頭を切り替える。
自分がやるべきことは、うじうじタラレバを考えることじゃない。
顔を上げる。したたり落ちる水は、思っていたよりも不快に感じなかった。
●
教室に戻った椿は、机に積んだ資料を広げた。
資料は皇帝家にまつわるものばかりだ。不敬も甚だしいが、帝に対する忠誠心や愛国心は持っていないし興味もない。怪異を祓うこと以外に興味もないから、今後も学ぶ気はない。
それでも、とある資料の内容には興味をもった。
皇帝家には派閥が存在する、というものだ。
遠く、新校舎のほうからチャイムが聞こえる。腹の減り具合からして昼休みか。
「……あっ」
違う、きょうは一学期の終業式だった。
あしたからは待ちに待った夏休み。梓や杏、柊と一緒に柊の実家で訓練合宿だ。
なんでもやたらめったら広いらしい。流鏑馬ができる馬場のある家なんて帝国広しといえど、数えるほどしかないだろう。おまけに護摩堂や道場まであると言っていた。
久しぶりに梓と組手を交えるも良し、柊に頼み込んで霊力に対する特訓をつけてもらってもいい。杏は護摩堂で坐禅を組んでメンタルを整えるのもありだ。
もちろん、いくら候補生の訓練合宿とはいえ、それだけではあまりにも味気ない。
じつは梓とこっそり画策していたことがある。
夏の風物詩といえば、花火や流しそうめんなどがあるが、今回選んだのはバーベキューだ。近所のホームセンターでそれっぽいセットとテントを買う。ただし、炭はホームセンターでは買わない。炭で肉の旨さがまるで変わってくるからだ。ちゃんとした炭屋さんから調達する。
肉だって良いものを揃える。梓の実家のツテで、肉にも炭にも心当たりがあるらしい。
そいつらをちゃんと用意してから、合宿開始だ。
きっと柊は目を点にするだろう。見るからに箱入り娘の彼女のことだ、こういったことははじめてかもしれない。
そんな柊の様子を見て、杏もきっと笑ってくれるはずだ。あるいは呆れるか。なんにせよ、笑顔になってくれるはず。そうすれば土蜘蛛で得た傷も癒えるんじゃないか。
そうして四人で一緒に笑って頑張って、来年は五指隊に――
そんな未来は木っ端微塵に砕けて、二度と見られなくなった。
「見とけ、仇は討ってやるからな……!」
装備一式を整えて独りごちる。
まずは腹ごしらえだ。




