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第7話 太陽の檻

 眩い光の中、壁と屋根が砕け散る。リカルドを包む氷、フェルナンドを包む氷がルミに向かう光を弱める。絶対防御は全く揺るがない。


「……っ、熱い……」


 彼女の防御魔法にピシ、ピシ、とヒビが入っていく。パリン、とあまりにも軽い音を立てて防衛魔法が割れた。むき出しになった彼女を、光が呑み込む。数秒後、ようやく光が止んだ。ルミはその場に倒れている。

 フェルナンドは辺りを見回すように視線を揺らした。


『しまちゃん、空は? ……光ってない? ……よし。解除』


 フェルナンドがそう言った瞬間、氷がダイヤモンドダストのように砕け散る。


「ルミ!」


 彼はすぐにルミに駆け寄る。全身が赤く、弱く荒い息を繰り返している。フェルナンドはその肌に触れた瞬間、顔が真っ青になる。……人肌のように温かい。


「……すぐに医者を! すごい熱だ!」


 リカルドはすぐにルミを抱き上げた。キョトンと「……平熱では?」と呟いた彼に対し、フェルナンドは「ルミがあったかい時点で高熱だ。急げ」と指示を飛ばす。指示を聞いた彼はすぐに病院に駆け出して行った。二人は、解放された学生たちや救助隊が混乱する廊下を駆け抜けていく。


「生きてる……!」

「医療班を!」

「誰か担架を――!」

「……え? 体はなんともない?」


 あちこちで怒号が飛び交う中、フェルナンドはただルミだけを見ていた。



 病院に運ばれたルミは、すぐに処置を受けることになった。フェルナンドは静かに廊下のソファに座っていた。


「……リカルド」

「どうなさいましたか?」

「……お前は戻って、見たまんま証言してこい」

「……かしこまりました。では、ここは別の騎士に。すぐに戻ります」

「おう」


 リカルドが駆け出していく。フェルナンドは処置中のランプが消えるのを、今か今かと待っていた。

 その時、処置室のランプが消えた。疲れた顔をした帝国の医療魔術師と、ルミ専属の医療魔術師が処置室から出てくる。


「……どうだった?」

「……全身の至るところに軽度の火傷がございましたが、治癒いたしました。……ですが」


 専属の医師は静かに言葉を切る。


「……36度の()()が続いており、決して予断を許す状況ではございません」


 帝国の医師が息を呑む。


「通常体温との差が大きすぎます。臓器への負荷も無視できません」


 フェルナンドは静かに目を見開いた。


「……下がる、見込みは」

「現状では、なんとも。……冷却を続けてみます」

「……頼む」


 彼は静かに頭を下げる。医師たちはこくり、と頷いた。


「……面会、は」

「当面は謝絶です」

「……分かった。……アイスクリームを、届けさせる。食べられそうと判断したら、渡してやってくれ」

「かしこまりました」


 医師たちは「最善を尽くします」と頭を下げる。フェルナンドは「……どうか、ルミを救ってくれ」と願い、病院を後にした。

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