第18話 氷布のシャツ
ルミはアイスティーを飲みながら、アイスケーキを食べる。フェルナンドは熱い紅茶を飲みながらそれを眺めていた。
「……フェルも食べる?」
「一口でいいわ」
「はい、あーん」
「……抵抗ないのかよ」
「お母様とお父様はいつもこうだよ」
「マジか」
彼は苦笑しながら口を開ける。冷たい甘さが口に広がった。
「やっぱ美味いな」
「食べたことあるんだ」
「作らせたからな。何度も試食した」
「作らせた?」
「おう。アイスが上手いパティシエに」
彼は軽く笑う。
「俺の婿入りに随行する人員として調整中だ」
「いいの?」
「そもそも料理人は何人か連れて行く予定だったしな。……帝国料理は恋しくなる」
「美味しいよね。たまに食べたいな」
「その時はルミの分も作らせるわ」
そんな話をしているとケーキを食べきってしまった。
「……もっと食べたいな」
「まだあるから、明日以降にしとけ」
ルミは唇を尖らせる。フェルナンドは満足げに口角を上げた。
「喜んでもらえてよかったわ。じゃあ、二つ目渡すな」
彼はそう言って二つ目の包みを取り出す。
「……開けていい?」
「いいぞ」
彼女は丁寧に包装紙を取る。中から出てきたのは白陽学宮の制服シャツ数枚だった。
「……制服?」
「おう。……触ってみろ」
彼はニマニマと笑う。恐る恐る触れると、ひんやりとしていた。
「え、冷たい」
「氷布って言ってな。氷属性魔法を織り込んだ布なんだ。暑い帝国だと人気だぞ」
「……すごく助かりそう」
「だろ?」
「……暑いの、もっと苦手になっちゃったから」
「……マジ? 贈ってよかったわ」
フェルナンドは頭の後ろで腕を組む。ルミはシャツを抱きしめて、満面の笑みを浮かべた。
その時、部屋の扉がコンコンとノックされる。
「フェルナンド殿下。女王陛下のご準備が整いました」
「分かった。あいさつに伺うな」
フェルナンドはそっと立ち上がる。
「私も行っていい? ……皇子様してるフェル、かっこいいもん」
「……急に爆弾ぶっこんでくんなよ」
彼は顔を赤くして視線を反らした。甘い空気が漂う。フェルナンドは空気を変えるようにつぶやいた。
「……移動中の廊下って、コート着ててよかったっけ」
「大丈夫だよ」
ルミはクスクス笑う。フェルナンドは頭をぼりぼりとかいた。
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